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哲学論集

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私の書いた短い哲学論文をまとめてみました。
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記事一覧

哲学書を読まないという哲学

私はここ五年ほど哲学書を読んでいない。 大学は哲学科だったので、哲学書は卒業後もよく読ん…

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分人主義批判。私はあの人の何を愛するのか?

作家、平野啓一郎に「分人主義」という思想がある。 「個人」はそれ以上分けられない最小単位…

SW大橋勇
1か月前
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物語を読む時間

最近、私は読書をしていない。 書く一方だった。 小説家になりたく、小説を書いていた。 それ…

SW大橋勇
1か月前
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分人主義と文体の哲学

分人主義とは小説家平野啓一郎の思想で個人というものはそれ以上分割できない存在(individual…

SW大橋勇
5か月前
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分人主義と文体。小説、エッセイ、論文などの文体

noteを初めて三年が経ち、現在「小説家になろう」にほぼ毎日連載小説を書いて一年以上経ち、私…

SW大橋勇
5か月前
5

言葉の牢獄

答えは言葉で出せるものなのか? 哲学的な追究では、言葉の外に出ることはできないのではない…

SW大橋勇
5か月前
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哲学の真実、人生の真実

哲学とは真実を曝露することである。 つまり真実を言語化すること、あるいは言語化しようとすること。 しかし、人生の真実はそこにはない。 仮に人生の真実を言語化することが哲学だとしても言語化したところで、それを手に入れたことにはならない。 もしかしたら、言語化することでそれは遠のくかもしれない。 人生の真実は、生きる中にある。 ゲーテみたいに、若い時は恋愛に真実を見つけるかもしれないし、歳を取ったら仕事を成し遂げることに真実を見つけるかもしれない。 人の数だけ人生があるから、人そ

言葉と思考の哲学

人は言葉を使って物を考える生き物であると色々な人が言っている。 しかし、私はそうは思わな…

SW大橋勇
5か月前
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分人主義を批判する。分人と分人のあいだ

分人主義とは小説家平野啓一郎が提唱する思想で、個人というものはさらに細かく分人というもの…

SW大橋勇
5か月前
5

文人主義。優柔不断の倫理学

先日、『「分人主義」∈「文人主義」』という記事を書いた。これは小説家平野啓一郎が提唱する…

SW大橋勇
5か月前
8

「分人主義」∈「文人主義」

私は作家の平野啓一郎の思想「分人主義」についてときどき、考えている者である。 私自身小説…

SW大橋勇
6か月前
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哲学と行為

三島由紀夫の美学や王陽明の陽明学は行為に至るまでの内面の在り方を論じているばかりで、その…

SW大橋勇
8か月前
7

分人主義について考える。ある分人が別の分人を人質に取った件

私の個人的な話だ。 もう三十年前になる。 私の父は優しい父だった。 そして、厳格な中学教師…

SW大橋勇
9か月前
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(試論)「将来の夢を持ちなさい」は迷惑だ

私は子供の頃、すべてに満ち足りていて、幸せそのものだった。 幼児期から大人たちは、「将来の夢は何ですか?」と質問してきた。私は幼児期はなんと答えていたか覚えていないが、小学三年生でソフトボールを始めてからは、「将来はプロ野球選手になりたい」と答えるようになった。 幼児期の将来の夢など、実は将来の目標とかではなくて、ただの変身願望に過ぎない。女の子では、「お花屋さんになりたい」と「お嫁さんになりたい」が同列で将来の夢として聞かれる。お花屋さんは職業で、お嫁さんは結婚であり、両方