【短編小説】脳毒丸
母親はもう二度と俺を妊娠しない。
そんな事は分かりきっている。このパーティー会場で俺がセックスをしたいと思う相手がいないのと同じ様に、また、ヴァイスヴァーサ、つまり無駄な時間がダークマターになってこの空間を埋め尽くしている。
誰かが吐きもどした黄土色の液体が詰まったジョッキがテーブルの下に置かれているのが見える。つまり俺はソファに寝転んで頭上をかすめる探り合いのジャブを打ち合う事をすっかりやめてしまったと言う訳だ。
サポートして頂けると食費やお風呂代などになって記事になります。特にいい事はありません。