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【短編小説】月の季節

 どこに行ける訳でもなかった。
 自転車、車、オートバイ。どれに乗ったところで結局はどこにでも行ける訳では無かった。ぶら下げた首輪がそれを物語っている。
 見えないリードが俺を引く。その範囲の中でしか動けない。遠く、遠くまで行っても帰って来られる保証の範囲内での話だ。

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