【短編小説】笑い缶
薄暗い部屋の真ん中には空き缶が山積みになっていた。
恐らく彼はこの缶を開けて開けて開けて死んでいったのだろう。それは果たして孤独死と言えるのだろうか。
缶に入った笑いに囲まれて死んだ彼は心なしか笑っている様にも見えた。そう思いたいだけかも知れない。
彼の部屋にある大量の笑い缶は中国産の安いもので、きっと笑い声も差が少ないし短いものだろう。
国産の笑い缶は声の種類が豊富だし持続時間も長いけれど高いものが多い。
一度に複数の笑い声が聞こえる笑い缶もあるが、ここにはそんな高級笑い缶はひとつもなかった。
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