【短編小説】花鳥風月calling
鳥を鳴いた。
そしてそこで手が止まった。
「早く切りなよ、時の刻みはアンタだけのものじゃない」
対面に座った陰気臭い男に言われて我に返った。
良人(おっと)に呼ばれた気がする。
だがそんなはずは無い。良人はいま仕事中だし、ここは繁華街にある雀荘だ。わたしを呼ぶ声など聞こえるはずがない。
わたしは再び河(ホー)に目を落として手牌を整理した。悪くない手牌だ、と思う。これが半ツキだとかで無いなら、ようやくと言う感じである。
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