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【超短編小説】古正月

 トイレから戻るといつの間にか家族が揃って居間にいた。
 まだ暖房は部屋全体を温めておらず、父親も妹も炬燵に手足を入れて丸くなっていた。母親はコンロで湯を沸かしている。お茶でも淹れるのだろうか。

 俺も炬燵に入り、父親と妹が眺めているテレビを見る。年越しについての企画をやっていて、福袋についての説明をしていた。
 父親が子どもの頃では福袋の販売はまだ12月であったという。

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