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【小説】魔魔~老人Aの場合~
杖をつきながら暗い夜道を歩いていく。
街灯の間隔は広く足元が暗い。満月に近い夜だが雲に隠れて明るさは感じない。時おり通過する車のヘッドライトが束の間行く先を照らすが、すぐに赤い光になって遠ざかる。
それは公園の先にある霊園、そのさらに向こうの交差点にいると聞いた。
若い頃によく聞いた、いわゆる都市伝説の様に時間が定められている事も無いと言う。馬鹿馬鹿しい、と思っていたが縋れるのなら神でも仏でも悪魔でも良いと思った。
そもそも駄目で元々なのだ。いなかったら、その時は帰ればいいだけだ。
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