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更年期の不調にヨガが有効な理由って?

以前は気にならなかった些細なことが体調やメンタルに影響しやすくなった気がするなら、もしかすると更年期に差し掛かっているのかもしれません。とはいえ、その言葉に馴染みはあるけど、自分の不調がそれなのか確証が持てない人も多いのでは。

更年期とは閉経前後の10年間のこと。だから厳密には閉経してみなければいつ更年期が始まったかはわかりません。しかし閉経が近づくにつれ、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量は減少し始め、その影響で心身に不調が出始めます。

その症状は個人差があるようだし、元から出やすかった不調と変わらない気もする。それにまだそんなに…と思う気持ちもある。でもやっぱりこれが更年期なんだろうな。そんな感じで付き合い始めているのは、これを書いているわたしも同様でした。



ホルモンは少しずつしか分泌できないから


ホルモンの単位はμg(マイクログラム=1/100万g)やng(ナノグラム=1/10億g)で表されることからわかるように、非常に微量で人体に作用します。ですから分泌量が増えたり減ったり、ほんの少しの変化が心身に現れるときにはそれなりの影響を及ぼします。

エストロゲンの分泌量の現象によって起きる更年期の不調には、ホットフラッシュと呼ばれるのぼせ、ほてりなどの血管運動症状や、不安、イライラなどの心理的症状などが代表的です。それ以外には、肩こりや頭痛など以前から慢性的にあった不調が酷くなったり、気圧にセンシティブになるなど今までなかった不調を感じる人も多いようです。

体質や既往歴、生活習慣などで個人差が大きい更年期の不調ですが、より画一的な教育課程の中にいたときと違って、多様な人生を歩んできた世代にとっては症状が違うのはある意味では当然なのかもしれませんよね。

それでも、更年期の不調は自律神経失調症と似たものが多いという傾向があります。これはホルモン分泌指令が自律神経によって制御されていることと関係があります。


脳みそとホルモンと自律神経

ホルモン分泌の中枢は視床下部という脳部位です。全脳の0.3%、重さ4g程の小さな部位ですが、人の生命維持に必須である体温調節や摂食行動、睡眠・覚醒など本能的な生理機能、つまり自律機能の制御担っています。

自律神経は意思によるコントロールができません。よーし消化するぞ~と意気込んでどうにかなるものではないですよね。また、それぞれが各自に機能するのではなく、ひとつの行動のために関連するいくつもの生理活動が調和しながら行われるという性質もあります。

例えば、ストレスを感知すると視床下部はストレスホルモンとして知られるコルチゾールを分泌せよと指令を出します。血中コルチゾール濃度が高まると血圧や体温が上昇し、消化や排泄、睡眠は抑制ます。いわゆる「闘争か逃走か」反応が起き、生体をストレスから守ろうとします。

この交感神経と、その逆のはたらきをする副交感神経から自律神経が成りますが、時と場合に応じていずれか片方をを優位にしてバランスをとっています。しかしストレス状態が長く続くと交感神経だけが極度に活性化し続け、本来あるべき脳からのシグナルがが混乱し、疲れやすくなるほか神経・精神疾患、時に心疾患のリスクにもなり得ます。

脳がバグると疲れる

更年期かどうかに関わらず、自律神経を整えることが心身の健康の基礎になることがわかったところで、話を女性ホルモンに戻しましょう。

ホルモン分泌は自律神経制御だということはすでに述べました。しかし更年期になると「エストロゲンを分泌せよ」と視床下部が指令を出しても卵巣が応えられなくなります。卵巣は黙ったままなので視床下部にはエストロゲンがもう出せないということわかりません。催促を頑張りすぎた結果、視床下部の自律神経調節機能は混乱をきたしてしまいます。

なぜ更年期の不調が自律神経失調症とよく似ているか、これでご理解いただけるのではないかと思います。すごくざっくり言うと脳がバグってるんですよね。

自律神経の乱れやそこからくる脳疲労はストレスと正の相関関係にあること、そしてこれらに対応することは更年期不調を楽にするカギと言えそうです。ヨガは強い味方になれそうではないですか。

ヨガを更年期に活かしたいならば

ヨガは自律神経に働きかけるというイメージは広く知られています。自分では制御できない自律神経ですが、呼吸だけは自らの意思でコントロールできます。意識しながら呼吸を行うヨガは自律神経へのアプローチにとても適しているんですね。

さらに呼吸に動きを合わせると血流促進効果があります。血液に乗って酸素や栄養が身体各部に行き渡りると自律神経はより元気になるし、血行が良くなるとストレッサーになりえるコリや慢性的な違和感の軽減にもなります。そして更年期のケアとしてヨガを活用したいなら、いくつかのお願いがあります。

1)呼吸を意識する

ここまでお読みいただいた皆様は呼吸の効果はすでに十分承知だと思いますが、それだけでなく息を止めると筋肉が硬くなり、その状態で無理な姿勢になるのはケガのリスクにもなり得ます。呼吸を忘れることも往々にありますが、気づいたらまた深い呼吸をし、スムーズに呼吸が出来る範囲でポーズを行いましょう。

2)自分を客観視し身体の声を聞こうとする

人は自分の身体の一部しか見えていませんが、見えてない部分がどうなってるかを察知する深部感覚というものを備えています。鏡なしで後頭部にポニーテールを作ることができる人は感覚と練習でそのスキルを獲得したはずです。ヨガも慣れない動きばかりですが、いつもの動きに置き換えてポーズの体裁を整えるだけでなく、自分の感覚を信じて身体が動きに慣れていく様子を客観的に観察してみましょう。今までにない心地よさと新しい気づきが心と身体をより自由にしてくれるはず。

3)視野を広く、効果を焦らずに

ショート動画とSNSの時代、理由もない焦燥感…焦るなというのは簡単ではないかもしれません。期待通りの効果が出ない時もありますが、そんな時は期待以外の効果に目を向けてみてください。

多岐に渡って身体を守る自律神経にはたらきかけているので目的の効果以外にも色んなことが心身に起きているはずなんです。練習という入力に対し、外側に現れる効果という出力は一本道ではなく、脳を含めた神経系や内臓といった複雑な経路を通ります。だからすぐに効果を感じる事もあるし、狙った効果につながるために少し時間が必要な場合もあります。

トレンドと逆行するかもしれませんが、質の良いヨガプラクティスは本質的な体質改善、心身の健康アップに必ず役立ちます。期待だけに目を向けていると「(どんな効果かはよくわからないけど)ちょっと調子がいい」と気づくのを妨げることがあります。視野を広く持ちましょう。

最後に

これらのことを心がけていれば(自分では「出来てない」と感じたとしても)どんな種類のヨガであっても自律神経に働きかけ、プレを含んだ更年期由来の不調や女性特有のリズムの乱れの軽減を助けてくれるはずです。

ヨガだけで解決できない不調もありますが、そんな時は医療機関でアドバイスを受けてみてくださいね。医療ケアをはじめとする他の方法と併用しやすいのもヨガの魅力です。ぜひ自分に合うタイプのヨガを見つけてください。

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