硯文子

普通。普通に生きています。 もし良かったら小説を読んでください。 ※小説は全てフィクシ…

硯文子

普通。普通に生きています。 もし良かったら小説を読んでください。 ※小説は全てフィクションです。

最近の記事

何にもなれないまま40代になった。【3】

ある日、いつものように理想の物件探しをしていたところ、すごく惹かれる物件に出会った。 中古ではあるけれど小さな庭付きの一戸建てだった。私はすぐに飛びついた。 不動産屋に連絡した。 翌週に内覧する予約を取った。 夫に告げると 「ふうん」 とだけ言った。 小さな川が流れるところにその家は建っていた。内覧まで待ちきれなくて私は子どもたちの手を引いて、近くまで見に行った。 白い壁にテラコッタの屋根。 少し時間の経過はあれども全然古びていない。 5歳の息子ケンタは「ママ!いいね

    • 何にもなれないまま40代になった。【2】

      そろそろ子どもが小学生になろうという頃に 住んでいる社宅が無くなるという話が出た。 無くなる直前までそのまま住んでいて、 会社が指定する他の社宅あるいは 借り上げ住居に引っ越すのか。 そうやって一生、社宅を転々とするのか。 一生、夫の会社に住む場所を決められるのか。 一生、好きな家には住めないのだろうか。 そう考えると悲しくなった。 もちろん、子どものこともあった。 これから小学校に入るところなのに 入学して1年も経たないうちに転校するのか。 夫が転勤になるたびに学校も

      • 何にもなれないまま40代になった。【1】

        何かになりたかった。 何かになれないまま40代になった。 子どもの頃、『建物探訪』が好きだった。 学校に行く前にTVで観ては、 私も将来こんな素敵な家に住むんだ! と決めていた。 3億円の家を建てる!と家族に宣言して 笑われていた。時はバブル期。 自分も大人になったら、と思っていた。 大人になった。 3億円の家ではなく、 家賃月3万円の社宅に住んでいた。 私は専業主婦になっていた。 20代の頃、早く結婚したかった。 25歳を過ぎて焦った。 27歳でようやく結婚した。 6

        • 『大豆田とわ子と三人の元夫』について《感想・ネタバレ有り》

          私が今期のドラマで脚本No.1と思っているドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』もいよいよ後半戦に突入。新たなキャスト(オダギリジョー)も出てきて今後の展開が楽しみだが、やはり私は前半の悲しみをまだ引きずっているのかもしれない。 とわ子の親友、かごめが亡くなって、というか、かごめが画面から消えて、もし他のドラマならば回想シーンなどが出てくるところなのだが、このドラマではそんなものが一切無いのである。 生前のかごめが「最後の晩餐はコロッケがいい」って言っていたからとわ子もコロッ

        何にもなれないまま40代になった。【3】

          ゴミは誰が捨てるのか

          家庭内で毎日出るゴミ。我が家では私しか集積所にゴミを運ばない。可燃ゴミ、プラゴミ、資源ゴミ、、、毎日人数分のゴミが出る。4人がゴミを排出し、1人がそれらを適切に処理する。不平等ではないか。 10年ぐらい前までは、配偶者が出勤する際に、ついでにゴミを出してよと頼み、嫌だと言われ、よく喧嘩になったものだ。イチイチ喧嘩をすることに疲れ果て、今では私が主にゴミを出している。たかがゴミ、されどゴミ、そもそも「嫌だ」と拒否できるというのもおかしな話である。一人暮らしの人は全部自分でやっ

          ゴミは誰が捨てるのか

          はじめてみる。

          Twitterで前々から気になっていたnoteなるものを始めてみる。 カテゴリーは無く、フィクションなのかノンフィクションなのかもわからない、頭の中のごちゃごちゃを書くために。 中学生の頃、高校生の頃、毎日死にたいと思っていた時期があった。けれどまだ私の中にあった「行きたい」という細い糸に吊るされて、なんとか成人まで生き延びられた。 成人し、そして結婚し、子どもが生まれ、「死ねない」と思うようになった。 「死にたい」という気持ちは決して消えないけれどそれよりも「この子達

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