![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/59211851/rectangle_large_type_2_4393804108b5fa22bf2c34f330b62719.jpg?width=1200)
何にもなれないまま40代になった。【1】
何かになりたかった。
何かになれないまま40代になった。
子どもの頃、『建物探訪』が好きだった。
学校に行く前にTVで観ては、
私も将来こんな素敵な家に住むんだ!
と決めていた。
3億円の家を建てる!と家族に宣言して
笑われていた。時はバブル期。
自分も大人になったら、と思っていた。
大人になった。
3億円の家ではなく、
家賃月3万円の社宅に住んでいた。
私は専業主婦になっていた。
20代の頃、早く結婚したかった。
25歳を過ぎて焦った。
27歳でようやく結婚した。
6年付き合っていた彼氏と結婚したのは
彼と結婚したかったのか
それとも「結婚」がしたかったのか
今となってみると分からない。
私の母は専業主婦だった。
私は仕事を続けたかった。
でも、専業主婦の家庭しか知らなかった。
仕事をしながらの子育てのやり方を
知らなかった。
ただ、それだけだった。
専業主婦になりたくてなったわけじゃない。
いつもそう自分に言い訳をする毎日だった。
夫の母も専業主婦だった。
夫の母の愚痴はいつも家庭を顧みなかった夫のことだった。
夫の父は仕事人間でさらに土日は実家の家業を手伝いに行くため家族でレジャーという週末は皆無だった、といつも話していた。
そして、夫も仕事優先の人間だった。
父親そっくりだった。
私の父は公務員だった。
帰宅は遅くとも19時。
食卓は家族一緒に囲むのが日常だった。
最初は戸惑った。
一人で子育てしていくことに。
夫が帰ってこない日に
一人で赤ん坊を風呂に入れることに。
一人で子どもを病院に連れて行くことに。
子どもと二人で過ごす時間に。
しかし慣れとは恐ろしいもので
子どもが2人に増えた頃からは
夫がいなくても戸惑わなくなった。
夫が帰ってこなくても。
子どもさえいれば寂しくなかった。
近所にお友達もできた。
いわゆるママ友だ。
社宅内でも奥様方によくしてもらい
下の子が生まれたときには上の子を預かってもらったこともあった。
遠くの親戚より近くの近くの他人。
まさにこのことである。
言うならば、
遠くの夫より近くのママ友
である。
#小説
#主婦
#夫婦
#結婚
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?