ひとり酒に憧れて　#いい時間とお酒　参加作品

「ひとり酒」
居酒屋で、自分のペースで
お酒を呑む。

そんな姿に憧れて、何度か
チャレンジした事がある。
　

立ち飲みならば、気楽に入れるし、
無理そうだったら帰ればいい。
ドキドキとしながら、入店し
先に会計で、注文した。

スグにビールを手渡され
ツマミは番号を呼ぶから
呼ばれたら取りに来て
と言われた。

ドキドキと、病院の様な
小判型の番号札を持って
ビールジョッキと一緒に
空いている席に置く。
もちろん、立ち飲みなので
イスはない。

鞄を下に置いて、
ジョッキを両手で持ち
グビッと一口。

緊張で渇いた喉に
炭酸がシャワシャワと落ちていく。
続けて、呑めば
ゴキュンゴキュンと
CMの様に喉がなる。

プッパーと、言いたいところを
我慢して、くぅ～と抑え気味に
旨さを堪能する。

うまい！
会社帰りの疲れた身体。
緊張でカラカラな身体。
ビールが血液と一緒に
身体中に回るのがわかる。


しばらく、クピクピと
呑んでいると、自分の番号が呼ばれる。

ホカホカのメンチカツ。
厚みがあって、小麦色の肌が美しい。
かぶりつきたいが、
揚げたてなので今回は、2つに分ける。
箸で割ると、スグに肉汁がでてきた。

かぶりついたら、火傷をしていただろう。
ホカホカの湯気と肉汁に喉が鳴る。

一口大に箸で切り分けて
慎重に口元へ運ぶ。
軽くふーふーと息を吹きかけ
気持ち冷ましてから、口の中へ運ぶ。


サクッとこれまたCMの様な
音を口内で響かせる。

あっつ！
んっまぁ！
衣と肉汁を噛みしめる。

素早く箸を置き、ビールジョッキを
持ち上げ傾ける。
熱々のメンチを冷たいビールが
さらっていく。

ああ。幸せ。
1000ベロどころか、まだワンコイン。


次は、コロッケとサワーにしようかな？
壁に貼ってある煤けた
メニューを見ているだけで
楽しくなる。

もう一杯ビールを頼み、
2杯目のビールに口をつける。


この雰囲気を味わっている
大人な自分に酔ってしまう。



※

#いい時間とお酒