切手はどこへゆく 第二十八話
どさっと大きな音を立てて、日記帳を置いた。その風圧で真っ白な封筒が少し動いた。動いたところで、切手が出てくるわけではない。
意味が分からなかった。手紙は、切手がないと届かないらしい。じゃあ、この切手のない手紙は、どうやって家に届いたのか。誰かが直接、郵便ポストに入れたのか。翠からの手紙だから、翠しか考えられない。でも、翠は山梨にいるはずなのに。どうして。
机の上に放り投げていた携帯電話を手に取って、翠に電話を掛けた。7コールかかっても、翠は電話に出なかった。
はあ、と大きくた