切手はどこへゆく【第二十二話】
ゴールを見つめている後輩の瞳に、光はなかった。どこにも焦点はあっていないし、体が動き出す気配も感じられなかった。この姿は、かつてのわたしだ。わたしのせいで負けた、そう思った時のわたしだ。
なにか言葉をかけなければ、そう思った。後輩に伝える言葉なんて、なにも思いついていない。ただ、このままにしてはいけない。その思いだけが、わたしの足を、後輩へと動かした。
「……あの、さ……」
なんとも歯切れの悪いわたしの声に気付いた後輩が、こちらを向いた。瞳は、近くで見ても、やはり光はなか