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2020年4月の記事一覧

「歴史」と「経験」が人を変え、人を作っていく:読書録「猫を棄てる」

「歴史」と「経験」が人を変え、人を作っていく:読書録「猫を棄てる」

・猫を棄てる 父親について語るとき
著者:村上春樹
出版:文藝春秋

「文藝春秋」誌に掲載されたときに読んでるんですよね。
基本的に感想はその時とそうは変わらないかな?

台湾の漫画家・高研さんの挿絵が、
「昭和っぽいノスタルジー、あるなぁ」
くらい。

作品としては父親との関係を描いてはいるんだけど、より深くは「第二次世界大戦」の経験が「父親」の人間性をどう形作ったかを推測するという面が多く

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stay at home.  だからこそ…

stay at home. だからこそ…

交代シフトでの在宅勤務もスタートして家にいる時間も増えてます。
子供たちの臨時休校も継続中。

…と言うことで、狭い我が家の中は nearly「3密」状態。

まあ、それなりに距離は置きつつ、仲良くはやれてると思うんですが、それでも時々はギスギスも。

そう言う時は「相手を思いやって」ってことなんですが、それは
「自分の気持ちをグッと飲み込んで」
じゃなくて、
「自分の気持ちを冷静になって言葉にし

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スゲェまともな本なんですけど、変な「色」がついちゃったからなぁ:読書録「新型コロナウイルスの真実」

スゲェまともな本なんですけど、変な「色」がついちゃったからなぁ:読書録「新型コロナウイルスの真実」

・新型コロナウイルスの真実
著者:岩田健太郎
出版:ベスト新書

ダイヤモンド・プリンセス乗船/追い出し(w)後のYouTube公開で議論を巻き起こした岩田医師の新著。
もう完全に「色」がついちゃって、Amazonの評(4/14時点)もひどいコトになっちゃってるw。

僕自身はYouTube公開前から岩田さんはフォローしてて、政府の取り組みを評価してたことも知ってたので(この点は本書でも変わりあり

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綺羅星の如く…:読書録「萩尾望都と竹宮惠子」

綺羅星の如く…:読書録「萩尾望都と竹宮惠子」

・萩尾望都と竹宮惠子  大泉サロンと少女マンガ革命
著者:中川右介
出版:幻冬舎新書

日本の漫画界の創世記を支えた「トキワ荘」についてはいろいろ書かれていますが、それを受けて次のステップにマンガを引き上げた少女漫画家達の動向については、あまりまとめたものがないと思います(僕が知らないだけなのかもしれませんがw)。
本書は「萩尾望都」「竹宮惠子」「増山法恵」の3人を中心に構成された「大泉サロン」を

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「今」読むべき作品:読書録「コロナの時代の僕ら」

「今」読むべき作品:読書録「コロナの時代の僕ら」

・コロナの時代の僕ら
著者:パオロ・ジョルダーノ 訳:飯田亮介
出版:早川書房(note全文公開版)

「今」というのはホントに「今」。
今日(=4/11)の「19:00」まで、無料全文公開中なのでw。
帰りの電車+寝る前…多分1時間もかからずに読めると思います。

作者はイタリアの小説家で、学生時代は物理学専攻。(読んでみると、結構ガチな「数学オタクw)
…なので、感染の指数関数的拡大等には理解

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311の宿題:読書録「ワン・モア・ヌーク」

311の宿題:読書録「ワン・モア・ヌーク」

ワン・モア・ヌーク
著者:藤井太洋
出版:新潮文庫

本書の舞台は2020年3月。
出版は2020年2月。
解説によると連載は2015年〜2017年とのことです。

連載時には「近未来」だったけど、出版時には「リアルと並行するタイムテーブル」だった訳ですね。
それが「狙い」だったのは間違いない。(ヤマは「3月11日」)
…でもまさか「現実」がこうなろうとは!
本書でも焦点の一つとなっている「東京オ

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