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2019年10月の記事一覧

世界観の余韻:読書録「祝祭と予感」

世界観の余韻:読書録「祝祭と予感」

・祝祭と予感
著者:恩田陸
出版:幻冬舎(Kindle版)

映画(蜜蜂と遠雷)の余韻の中、
「原作を読み返すか」
とも思ったんですが、ちと長いw。
で、(多分映画の公開に合わせて出版された)このスピンオフ短編集を。

時間軸的には本編の前後のエピソード、全部で6編収められています。
作品として閉じられた物語ではないので、その作品世界がこういう感じで広がっているというのは割と自然に読めるし、楽しく

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静かに、激しく:コミック「花と頬」

静かに、激しく:コミック「花と頬」

朝日新聞の土曜の書評欄で紹介されてた作品。
新しい漫画を探すのに、この書評欄は便利に使わせてもらってます。

花と頬(白泉社)

本作のあとがき。

<数人の他出版社の編集者の方々にも今作のネーム(中略)を見ていただいたのですが、答えは皆「商品として成り立っていない」というものでした。読者のためには、波のある起承転結、大仰な喜怒哀楽、大きなハプニング、ドラマチックな過去…そういったわかりやすい要素

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デジタルが抜けた時間に何をするか?:読書録「デジタル・ミニマリスト」

デジタルが抜けた時間に何をするか?:読書録「デジタル・ミニマリスト」

・デジタル・ミニマリスト  本当に大切なことに集中する
著者:カル・ニューポート  訳:池田真紀子
出版:早川書房

読み終えて、
「僕は、<デジタル・ミニマリスト>にはなれんな」。
ま、当分は。

問題意識がないわけじゃないんですけどね。
一番の問題は、
「じゃあ、デジタルから離れて何するの?」

本書の中で実例と挙げられているケースなんかだと、デジタルから離れて、「本を読む」ってのが一番多いん

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安心印は変わりません:読書録「カッティング・エッジ」

安心印は変わりません:読書録「カッティング・エッジ」

・カッティング・エッジ
著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子
出版:文藝春秋(Kindle版)

シリーズ第14作。
前作でついに結婚したリンカーン・ライムとアメリア・サックスの新婚生活やいかに…

って、あんまりそういうシーンはないんですよねw。
終盤の追い込みのあたりにワンシーン。
まあ、これは結構重要なシーンなんですが、もっと二人のやりとりを読みたかったなぁってのが正直なところです

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未来をどう作っていくか?:読書録「未来への大分岐」

未来をどう作っていくか?:読書録「未来への大分岐」

・未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か?
著者:マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソン、斎藤幸平
出版:集英社新書

経済思想を専門とする斎藤幸平氏が、哲学者マルクス・ガブリエル、政治哲学者マイケル・ハート、経済ジャーナリスト ポール・メイソンとそれぞれ対談し、閉塞感に満ちた「現状」からどういう「未来」を作り上げていくべきかについて意見交換した作品。
斎藤氏自身が思想

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こういう本を作りたくなる気持ちは分かるような気がします。:読書録「岩田さん」

こういう本を作りたくなる気持ちは分かるような気がします。:読書録「岩田さん」

・岩田さん  岩田聡はこんなことを話していた。
編:ほぼ日刊イトイ新聞
出版:ほぼ日ブックス

もともとはSwitchにハマりまくっている息子に、
「ゲーム機やソフトを作ってる人って、こんな経験をしてきてるんだよ」
って感じで読ませようかなと思って購入したんですが…
全然、違ってましたw。

いや、そう言う「伝記」的な話もなくはないんですが、メインはむしろ「マネジメント」系の話かな、と。
プラス「

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オーストラリア版「逃げ恥」?:読書録「ワイフ・プロジェクト」

オーストラリア版「逃げ恥」?:読書録「ワイフ・プロジェクト」

・ワイフ・プロジェクト
著者:グラム・シムシオン  訳:小川敏子
出版:講談社

ビル・ゲイツのいつかの「オススメ本」にピックアップされてた作品。
ゲイツが推すんだから「ノンフィクション」とてっきり思ってたら、「コメディ」でしたw。
こう言うのも読むんですね。

<ドン・ティルマン、39歳、遺伝子学者。
ハンサムで頭はいいし料理も得意、しかし
生涯彼女に恵まれたことがない>(帯)

収入もそこそこ

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うん。ミステリーじゃないねw:コミック評「ミステリーという勿れ」

うん。ミステリーじゃないねw:コミック評「ミステリーという勿れ」

「BASARA」(読んだ。オモロかった)、「7SEED」(未読)の田村由美さんの連載中マンガ。
結構評判良いようですし、「ミステリー」好きですので、消費税アップ前にw。

ミステリーという勿れ①〜⑤

「BASARA」の印象だと、田村由美さんというのは結構ハードな設定で登場人物を追い込む。
追い込むんだけど、どっか緩い決着をつけちゃう。
でもそこには何らかの「赦し」が含まれている。

…そんな感じ

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理屈としては賛成なんだけど…:読書録「国運の分岐点」

理屈としては賛成なんだけど…:読書録「国運の分岐点」

・国運の分岐点  中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか
著者:デービッド・アトキンソン
出版:講談社+α新書

「もうアトキンソンさんはイイかなぁ」とも思ってたんですがねw。
前に読んだ「日本人の勝算」を補完するような作品らしいのと、消費税増税前の駆込みで買っちゃいました。

<読書録「日本人の勝算」>

http://aso4045.hatenablog.com/entry/2019/0

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