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書記の読書記録まとめ

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今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
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2022年8月の記事一覧

書記の読書記録#622『量子力学を学ぶための解析力学入門 増補第2版』

高橋 康『量子力学を学ぶための解析力学入門 増補第2版』のレビュー レビュー量は少ないが,特にハミルトニアンの重要性について簡潔にまとめられている。一度学習した者の振り返り向け。 もくじ1章 Euler-LagrangeおよびHamiltonの方程式 2章 Hamiltonの原理(変分原理) 3章 正準形式の理論 4章 正準変換 5章 Poisson括弧 6章 位相空間 7章 Lagrangianの対称性と物理量の定義 付録 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#621『基礎量子力学』

猪木慶治・川合光『基礎量子力学』のレビュー レビュー定評のある猪木・川合『量子力学』の,より基礎的な内容に絞った教科書。問題演習がたくさんあり,解説も詳しいので独習に向いている。ただし,分かりやすさを優先するなら別を当たる必要がある(小出『量子力学』など)。 もくじ1.量子力学へのあゆみ 2.光と電子の波動性と粒子性 3.シュレーディンガー方程式 4.1次元の問題―束縛状態 5.1次元の問題―反射と透過 6.中心力場のシュレーディンガー方程式 7.量子力学の一般的性質 8

書記の読書記録#620『代数入門(新装版): 群と加群』

堀田良之『代数入門(新装版): 群と加群』のレビュー レビュー全体的にスマートな技術で読みやすいと思った。特に加群を学習するのに良い教科書。一通り線形代数を終えた人が読むと違う世界が見えてくると思う。 もくじ記号と言葉づかい 1.代数系の基礎  §1 演算  §2 群  §3 部分群と準同型  §4 剰余類と剰余群  §5 準同型定理  §6 環と体  §7 環準同型とイデアル  §8 剰余類と環準同型定理  §9 可換環のイデアル  問題 2.線型代数再論  §10

書記の読書記録#619『物性物理/物性化学のための群論入門』

小野寺 嘉孝『物性物理/物性化学のための群論入門』のレビュー レビュー物性物理/物性化学およびその基礎である量子力学における群論の参考書で,藤永・成田『化学や物理のための やさしい群論入門』よりもハイレベル。 もくじ1.対称性と群  1.1 対称性と変換  1.2 対称性と群  1.3 群とは 2.どんなときに群論が使われるか  2.1 正方対称なポテンシャル場の中の電子  2.2 正方形分子の基準振動  2.3 正方対称な結晶の誘電率 3.群  3.1 群の概念  

書記の読書記録#618『講座 数学の考え方〈16〉初等整数論』

木田 祐司『講座 数学の考え方〈16〉初等整数論』のレビュー レビュー前半は標準的な初等整数論の入門書で,少し群環体を導入してFp係数多項式や円分多項式へと応用する。新妻・木村『群・環・体入門』レベルの群環体の基本を学習した上で,雪江『整数論1』と並行して使うのが良さそう。 もくじ1. 素数  1.1 素数の密度  1.2 素数の無限性  1.3 章末問題 2. ユークリッドの互除法  2.1 約数と倍数  2.2 整数のユークリッドの互除法  2.3 拡張されたユークリ

書記の読書記録#617『ナチスと自然保護: 景観美・アウトバーン・森林と狩猟』

フランク ユケッター(翻訳:和田 佐規子)『ナチスと自然保護: 景観美・アウトバーン・森林と狩猟』のレビュー レビュー自然保護というのはある種のトレンドがあり(今ならSDGs),ナチス時代もその例外ではない。本書では自然保護活動と当時の政治との関係がまとめられている。 もくじ日本語版『ナチスと自然保護』によせて  用語について  第1章 ナチス時代の自然保護主義者たち――追及されるべきは誰なのか 帝国自然保護法の衝撃 欧米各国の自然保護 総統のために働く 自然保護運動

書記の読書記録#616『幾何学と代数系 Geometric Algebra -ハミルトン,グラスマン,クリフォード』

金谷 健一『幾何学と代数系 Geometric Algebra -ハミルトン,グラスマン,クリフォード』のレビュー レビューアメリカの物理学者ヘステネスを中心に提唱された「幾何学的代数」(geometric algebra) に関する教科書。例を3次元に限定し,その応用に重点を置いている。 もくじ第1章 序論 第2章 代数的記述による3次元幾何学 第3章 斜交座標 第4章 ハミルトンの四元数代数 第5章 グラスマンの外積代数 第6章 幾何学積とクリフォード代数 第7章 同

書記の読書記録#615『変分法と変分原理』

柴田正和『変分法と変分原理』のレビュー レビュー解析力学で必須とされる変分法について1冊でまとめた教科書で,途中式の展開まで丁寧に書かれており独習しやすい。 もくじ第1部 変分法 第1章 変分法基礎 第2章 基本理論 第3章 一般化された変分問題 第4章 直接解法(微分方程式の近似解法) 第2部 変分原理と解析力学 第5章 フェルマーの原理と最小作用の原理 第6章 解析力学の形成 第7章 変分原理による物理学諸分野の定式化 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#614『現代ベクトル解析の原理と応用』

新井朝雄『現代ベクトル解析の原理と応用』のレビュー レビュー線形代数,ベクトル解析,テンソル解析,微分幾何学などといった諸分野が1冊にまとめられている,隙のない教科書。内容はハイレベルなので,上に挙げた分野のテキストを別に理解しておきたい。 もくじ第1章 ベクトル空間 1.1 ベクトル空間の公理系 1.2 部分空間と直和 1.3 線形独立性 1.4 基底と次元 1.5 基底によるベクトルの展開と座標系 1.6 基底の変換と座標変換 1.7 直和ベクトル空間

書記の読書記録#613『大いなる遺産』

ディケンズ(訳:加賀山 卓朗)『大いなる遺産』のレビュー レビューチャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens、 1812年2月7日 - 1870年6月9日)は、ヴィクトリア朝時代を代表するイギリスの小説家である。主に下層階級を主人公とし弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表した。 『大いなる遺産』(おおいなるいさん、原題:Great Expectations)は、イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの長編小説。1860年

書記の読書記録#612『読んで愉しむイギリス文学史入門 (横浜市立大学新叢書2)』

白井義昭『読んで愉しむイギリス文学史入門 (横浜市立大学新叢書2)』のレビュー レビュー『ベーオウルフ』から現代にわたるイギリス文学の歴史の概要。ところどころで原文を紹介している。 もくじ第1章 『ベーオウルフ』―古英語時代(5世紀―12世紀) 第2章 チョーサー―中英語時代(12世紀―15世紀) 第3章 シェイクスピア―近代英語時代(16世紀―17世紀) 第4章 ミルトン―清教徒革命と王政復古の時代(17世紀) 第5章 ポープ―オーガスタン時代(18世紀) 第6章 デフ

書記の読書記録#611『具体例から学ぶ 多様体』

藤岡 敦『具体例から学ぶ 多様体』のレビュー レビュー多様体とその周辺知識に関する教科書で,具体例を交えながら少しずつステップアップする流れ。メインの教科書とは別に本書を傍に置いておくとやりやすい。 メインの教科書例;松本『多様体の基礎』 もくじ第 I 部 ユークリッド空間内の図形  1.数直線 R   1.1 実数   1.2 連続の公理   1.3 距離空間   1.4 位相空間   1.5 区間   1.6 相対位相   1.7 連結性   演習問題  2.

書記の読書記録#610『3次元回転: パラメータ計算とリー代数による最適化』

金谷 健一『3次元回転: パラメータ計算とリー代数による最適化』のレビュー レビュー・3章までは,回転を表現するのに必要な道具を揃える。線形代数が分かっていれば十分理解できる。 ・4章5章は回転を推定する,やや高難度なパート ・6章と付録はリー代数による解析学と代数学のコラボ。リー代数の最低限の入門としても使える。 もくじ第1章 序論 1.1 3次元回転 1.2 回転の推定計算 1.3 微分に基づく最適化 1.4 回転の計算の信頼性評価 第2章 回転の幾何学 2.1

書記の読書記録#609『分子間力と表面力』

J.N. イスラエルアチヴィリ(訳:大島広行)『分子間力と表面力』のレビュー レビュークーロン力やファンデルワールス力といった基本から表面に働く力,コロイドや生体膜まで一貫性のある記述。 2023/11/08再読 もくじ第Ⅰ部 原子間力と分子間力   1 章 歴史的展望  2 章 分子間力の熱力学的および統計力学的側面  3 章 強い分子間力:共有結合相互作用とCoulomb 相互作用  4 章 極性分子が関与する相互作用  5 章 分子の分極が関与する相互作用  6