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書記の読書記録まとめ

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今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
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2022年3月の記事一覧

書記の読書記録#434『西洋政治思想史』

宇野 重規『西洋政治思想史』のレビュー レビュー政治の議論が止むことのない中,古代から現代までの歴史を知っておくために本書は有用である。教科書として十分に使える以上に文章が良い。 もくじはじめに 政治思想史とは何か 第1章 古代ギリシアの政治思想 第2章 ローマの政治思想 第3章 中世ヨーロッパの政治思想 第4章 ルネサンスと宗教改革 第5章 17世紀イングランドの政治思想 第6章 18世紀の政治思想 第7章 米仏二つの革命 第8章 19世紀の政治思想 結 章 20世紀の

書記の読書記録#433『比較憲法 新版』

辻村 みよ子『比較憲法 新版』のレビュー レビューグローバル化および地域化の変化に伴う憲法の意義を,世界各国で比較しながら問いかける。日本国憲法の硬さの良し悪しを考えることにも役立つ。 もくじはしがき I 世界の憲法状況  1 比較憲法の意義  2 21世紀の憲法状況 II 比較憲法の方法  1 比較憲法の目的  2 日本および諸外国における比較憲法研究の展開  3 現代比較憲法の対象と方法  4 世界の憲法の類型 III 近代憲法の成立と展開  1 近代立憲主義の

書記の読書記録#432『アートで魅せる数学の世界』

岡本 健太郎『アートで魅せる数学の世界』のレビュー レビュー数学の美しい性質について,Excelを通じて身近に体験できる良書。数学の知識は要求されないが,群論,グラフ理論,トポロジーなど知っているとより楽しめる。 もくじ第1章 黄金比の数理 1.1 黄金比とは 1.2  2次方程式と黄金比の歴史 1.3 貴金属比 1.4 五芒星と黄金比 1.5 黄金比が現れる問題 1.6 フィボナッチ数と黄金比 1.7 植物と黄金角 第2章 幾何学模様の数理 2.1 折り紙の歴史

書記の読書記録#431『国際法〔第4版〕』

中谷 和弘,植木 俊哉,河野 真理子,森田章夫,山本良『国際法〔第4版〕』のレビュー レビュー1冊で広範囲をカバーできる,国際法の全般に関する教科書。軍事体制との関連に注目して読み進めた。 もくじ第1章 国際社会と国際法 第2章 国家と国際法 第3章 国家機関 第4章 国際組織と国際法 第5章 国際法の存在形態 第6章 条約法 第7章 国際法と国内法 第8章 国際法上の責任 第9章 陸の国際法 第10章 海の国際法 第11章 空と宇宙の国際法 第12章 人と国際法 第13

書記の読書記録#430『分析美学入門』

ロバート ステッカー(翻訳:森 功次)『分析美学入門』のレビュー レビュー分析美学に関する包括的な入門書。熟読を要するレベルの本で,とりあえず流し読みした限りでは,「美学」と「芸術哲学」の含む領域の違い,内在的価値と道具的価値,本質主義と構成主義の適用と問題点,文脈主義と多元主義の結びつき,辺りについてメモしておいた。 もくじChapter 1 はじめに 第I部:美学 Chapter 2 環境美学――自然の美 Chapter 3 〈美的なもの〉について1――美的経験

書記の読書記録#429『実証分析のための計量経済学』

山本 勲『実証分析のための計量経済学』のレビュー レビュー本書のテーマは明快で,「最小二乗法を用いるのが不適切なデータ(BLUEを満たさない)で,どのような手法を用いるか」について,数式を最小限に説明している。計量経済学で詰まっている人が,これを読んで解決することもあると思う。 もくじ第Ⅰ部  計量経済学の基本事項と      推定結果の実践的な理解 第1章  計量経済学とは何か 第2章  計量経済分析のエッセンス1 第3章  計量経済分析のエッセンス2 第4

書記の読書記録#428『現代の軍事戦略入門【増補新版】陸海空からPKO、サイバー、核、宇宙まで』

エリノア・スローン(翻訳:奥山 真司,平山 茂敏)『現代の軍事戦略入門【増補新版】陸海空からPKO、サイバー、核、宇宙まで』のレビュー レビュー冷戦以後の軍事の変化についての概説本。なので古典や基礎知識は知っておいた方がいい。今後は非国家的な集団にも注目。 もくじpart1 伝統的な戦略の次元  第1章 シーパワー  第2章 ランドパワー  第3章 エアパワー  第4章 核戦力と抑止 part2 戦略と非国家主体  第5章 非正規戦―反乱、対反乱作戦、新しい戦争、そしてハ

書記の読書記録#427『軍事学入門』

防衛大学校防衛学研究会『軍事学入門』のレビュー レビュー本分野に学問として入門したいのであれば,必要事項が程よくまとまっているかつ国産である本書で間違いないと思う。軍事学の幅広さを知るために良い本。 もくじ第1章 理論(軍事力とは何か) 第2章 軍事力の歴史的研究 第3章 現代軍事力の態様 第4章 現代の各種戦の態様 第5章 後方支援と軍事力 第6章 科学技術と軍事力 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#426『数値解析入門』

齊藤 宣一『数値解析入門』のレビュー レビュー数値計算の理論を扱った参考書で,線形代数,関数解析,フーリエ解析,微分方程式の応用のテキストとも言える。 もくじ第1章 数の表現 第2章 連立一次方程式と行列の分解 第3章 連立一次方程式と行列のノルム 第4章 非線形方程式 第5章 固有値問題 第6章 関数近似 第7章 補間と積分 第8章 常微分方程式の初期値問題 第9章 連立一次方程式とクリロフ部分空間 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#425『常微分方程式の新しい教科書』

堀畑 和弘,長谷川 浩司『常微分方程式の新しい教科書』のレビュー レビュー短いながらも応用を見据えたテキストとしてよくまとまっている。線形代数の知識をフル活用することになるので,それなりの準備はいる。 もくじ第Ⅰ部 入門編 Chapter 1 なぜ微分方程式を学ぶのか  1.1 はじめに  1.2 現象を表す微分方程式  1.3 モデル化 Chapter 2 微分方程式を学ぶための言葉  2.1 常微分方程式とは?  2.2 基礎概念・その1  2.3 基礎概念・その2

書記の読書記録#424『ハドリアヌス帝の回想』

マルグリット・ユルスナール(翻訳:多田 智満子 )『ハドリアヌス帝の回想』のレビュー レビューマルグリット・ユルスナール(Marguerite Yourcenar)は、フランスの小説家。『ハドリアヌス帝の回想』は1924年に構想されて1951年に発表された。 日本でいうところのイタコを本作は体現しており,五賢帝の一人ハドリアヌスの口を通して老いと死を語らせる。ここで,心理小説が歴史の軌道に乗り,確かな重みを得た瞬間を見ることになる。 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#423『統計学への確率論,その先へ: ゼロからの測度論的理解と漸近理論への架け橋』

清水 泰隆『統計学への確率論,その先へ: ゼロからの測度論的理解と漸近理論への架け橋』のレビュー レビュー数理統計学と測度論・確率論のギャップを埋めるのに適した教科書。一通り眺めておくだけでも,測度論や確率論の学習の動機づけになる。 もくじ第1章 確率モデルを作るまで 1.1 事象や観測を表現するための数学的記述 標本空間/事象:σ-加法族/実用的なσ-加法族:ボレル集合体 1.2 確率変数と確率 確率変数は観測である/“確率”とは何か?:確率と確率空間/確率測度の性質/

書記の読書記録#422『線型代数学(新装版)』(佐武)

佐武 一郎『線型代数学(新装版)』のレビュー レビュー難易度が高いというよりは,扱う範囲の幅広さから上級者向けと見なされる本だと思う。幾何学や代数学をやる過程で本書を使うと相乗効果が得られるかもしれない。 最近では入門レベルやテンソル代数・表現論などの参考書が充実してきていることもあり,佐武本は「広く浅く」の立ち位置になるかもしれない。 もくじI.ベクトルと行列の演算  1.1 ベクトルの演算  1.2 行列の演算  1.3 行列の演算(続)  1.4 一次写像  1.

書記の読書記録#421『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 基本編 第3版』

Philip Kotler,Kevin Lane Keller(監修:恩藏 直人)『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 基本編 第3版』のレビュー レビュー『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版』のエッセンシャル版に相当する本。 といっても手軽サイズというほど小さくはなく,わざわざ基本編を選ぶメリットは薄い。勉強するのであれば大きい方↓を推奨する。 もくじ第1部 マーケティング・マネジメントの理解 第2部 顧客との関係構築 第3部 強いブ