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思い出「菓子国神輿」

【子供の日】

6歳の時の、5月5日。

三郷団地で、こどもの日イベントが開かれた。

このイベントで俺は、子供みこしを担がせてもらえる事になった。

子供みこしは、街区ごとに、コースが決まっていている。

俺は、この時3街区だから、4街区までの道のりを担ぐ事になった。

実は、おみこしを担ぐと、最後にお菓子の袋が貰える。

俺の目的は、それ1点だった。

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【1/100】

おみこしを担ぎ始めるのは、朝9時ごろから。

俺は、朝ご飯を食べ終わり、おみこしのスタート地点の公園に向かった。

ここで、無料で貸し出してくれる法被を着て、待機していた。

そして、2街区から来るおみこしを待つ。

この頃の子供達の数は、3街区だけで100人位集まる程、凄い人数だった。

でも、周りを見渡すと、知り合いなんて誰もいない。

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【1vs100】

それもそのはず、俺は、3街区に引っ越してきたばかり。

ここの地区に来て、まだ2ヶ月しかたっていなかった。

今まで7街区に住んでいたけど、そこは3人家族用の狭い部屋の団地。

しかし我々は、4人家族だったが、抽選に外れて今まで住めなかった。

でも、最近広い4人家族用の団地が抽選で当たり、引っ越してきた。

そして、この誰も知り合いが居ない中、俺は寂しく待っていた。

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【おみこし到着】

しばらくすると、2街区の方から、おみこしが来た。

おみこしは、全部で5台位来る。

子供みこしを仕切ってくれているのは、その街区のボランティア達だった。

そして「1つの棒に7人ずつで、計4本の棒に分かれますよー」と言われる。

このおみこしは、結構大きく、1台30人で担ぐように出来ているらしい。

そしてみんな、おみこしを担ぐ場所に並び始めた。

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【強制出発】

おみこしが到着して俺は、2番目のおみこしを担ぐ事になった。

そして、しゃがんだ状態から「せーの」でおみこしを持ち上げる!

そのおみこしは、想像以上に重たくて、ビックリしてしまった。

俺は、こんな重たい物を4街区まで運べるか自信がない。

でも、おみこしは、強制的に出発してしまった。

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【楽な場所】

おみこしを担いている時、よく見ると、前後に上級生がいる。

そして1年生の俺は、1番中心にいる。

おかげで、あまり重さを感じず、おみこしを担いで行けた。

ありがたい事に、わざわざそういう風に、分けてくれたようだった。

この時俺は「真面目に担がなくても平気じゃん」と思ってしまった。

そして、ふと力を抜いて見た。

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【ズルはダメ】

おみこしを担ぐ力を抜いたら、何故かいきなり「がく!」と重くなった。

俺は「あれ?俺1人だけズルしても平気じゃないの?」とビックリした。

どうもみんな、俺と同じ事を考えていたようで、全員力を抜いている。

この時、真面目に担いでいるのは、汗だくになっている上級生だけ。

この瞬間から全員「俺1人だけズルできないのか」と理解した。

そして、本気で皆気合を入れて「わっよい!」と大声て担ぎ始める。

次力を抜いたら「絶対俺1人だけズルした事がバレる」そう感じた。

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【気合の1口】

俺は、4街区まで必死に担いで行き、もう汗だくでクタクタになった。

もう立っていられないから、座りたかったが、お菓子をまだ貰ってない。

俺は、最後の力を振り絞り、お菓子が貰えるテーブルに向かった。

この時「俺はこの一瞬の為に命がけで担いできたんだ!」と意地になった。

そして、お菓子とジュースをもらい、そばのベンチで力尽きる。

しかし俺は、疲れて動かなくても、お菓子だけその場で気合を入れ食べた。

俺は、どうしてもお菓子が食べたい、意地汚い奴だった。

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【俺の満足】

俺は、この後、自転車で母親が迎えに来てくれて、家に戻った。

残りのお菓子は、もう手から離さず、超ご満悦な気分に浸る。

俺は、帰る途中母親に「おみこし楽しかった?」と聞かれた。

そして「おみこしは、全然楽しくない!お菓子が嬉しい!」と答えていた。

その返答にもう、母親はあきれた顔になっていた。

そして「お菓子食べ過ぎたら夕飯食べられなくなるからね!」と叱られる。

きっと母親は、毎度の俺の意地汚さに、少し怒ったのだろう。

だけど俺は、大量のお菓子があり、嬉しくて母親の気持は、関係なかった。

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