筋力をつけても姿勢は改善しないよって話
スマホやPCが普及したこの時代、猫背のお悩みを持っている方増えていてGoogle検索だと月間9万件くらい検索されてます。
SNSでもそのお悩みを垣間見ることはままあるわけですが、実は改善方法が誤っていることが多いのが現状です。
特に多いのが、「背筋を鍛えて背中まっすぐ!」。
実は、ほとんどの方の場合、これでは改善されないのです。
背筋を鍛えても姿勢はなおりません。
もっと言うと、筋力と姿勢は関係ないので筋肉を強化する意味はないということも伝えておきます。
そもそも姿勢はどのようにして調整されているのでしょうか?
それを紐解いていけば、自ずとやるべきことが理解できます。
筋力ではなく筋緊張が姿勢を調整している
結論から言うと、筋緊張が姿勢を調整しています。
筋緊張ってなんじゃいなってなるので言及しますと、
筋の伸張に対する受動的抵抗、または筋に備わっている張力である。
筋緊張は生体の姿勢保持機構や体温調節機構に関与しており、特に姿勢保持機構は、運動あるいは姿勢保持の際に活動する骨格筋の準備状態に重要な意味を持つとされる。 〜Wikipediaより引用〜
受動的というのがポイントですね。
つまり、あなたが意識的に調節しているものではないのです。
無意識で勝手にコントロールされているのが筋緊張です。
では、どこが管轄しているの?というと、、、
脳です。脳が自動でやってくれています。
脳は現在の身体状況、環境、現在与えられているタスクを考慮して最適な筋緊張を提供します。
逆に言うと、上記のどれかの情報が正確に把握できていない、もしくは脳で情報をうまく統合できない場合、姿勢の調整がうまくいかなくなります。
これが多くの猫背の方の原因です。(高齢者、幼児は当てはまらない場合もある)
ちなみに、筋力とは筋肉が収縮するときに生まれる力で、タスク実行時に表れるものです。例)物を投げる、階段を登るなど
ボディスキーマは自己認識の根源
私達ヒトは、自分自身を理解する際にボディスキーマを基にしています。
ボディスキーマとは、下記のように説明されます。
自分の身体の姿勢や動きを制御する際にダイナミックに働く無意識のプロセス
〜リハビリテーションのための脳・神経科学入門より引用〜
簡単にいうと、無意識下で常に形成されている自分の身体情報です。
例えば、「目を瞑って腕を前方へ90度上げてください」と言われても正確に出来ますし、「この隙間を通ってください」と言われたら、通れるか通れないか瞬時に判断できますよね?
これらが成り立つように情報提供しているのがボディスキーマです。
ボディスキーマは前庭覚、触覚、固有受容覚から成り立っており、自己認識のベースになっています。
〜それぞれの用語を簡単に解説〜
前庭覚:耳の奥にある、重力や頭部の加速度を感知する
触覚:肌の存在するセンサーで、圧や振動、伸張などを感知する
固有受容覚:筋肉や腱にあり伸張感を感知する
これらのセンサーが正確に働き、脳に情報を常に送っていることが姿勢において重要です。
情報がデタラメだと、脳はどの様に姿勢を取れば良いのか分からず適切な筋緊張を設定できません。
結果、現在行っているタスクに対し、適切な姿勢保持ができなくなり猫背になります。
では、なぜ情報がデタラメになってしまうのでしょうか?
動かなさすぎることが姿勢の問題
人間の体の原理として、「使わない機能は失う」というのがあります。
感覚的にこれは分かるのではないでしょうか?
筋肉も使わなければ落ちていきますよね。
私達のボディスキーマを構成する感覚センサーも使わないと機能を失っていくのです。
では、どうすればセンサーを刺激できるのか?
それは、運動。
動くこと。
体を動かせば、皮膚や筋肉が動き、頭の位置が上下前後左右に動くので前庭も刺激され活性化します。
特に私達のライフスタイルは動いたとしてもマンネリ化した動きばかりしているので、センサーへの刺激としては弱い。
そのため、普段やっていない動きによって新鮮な情報を脳に送ることでボディスキーマはより正確なものに書き換えられていきます。
スポーツなんかはバラエティ豊富な動きを含んでいるのでとても良いですね。
(毎日ジョギングしている方は、それはそれで脳が飽きますので違う動きがオススメ!)
まとめ
猫背の原因は筋力ではありません。
脳の筋緊張が適切に行われていないことにあります。
またその原因は、ボディスキーマが正確でないから。
私達はそのライフスタイルにより、ボディスキーマを構成する前庭覚、触覚、固有受容覚を十分に刺激できていないことが問題となっています。
普段やらない動き、ジョギング、ヨガ、ピラティス、スポーツなどなど自分が取り入れていないと感じるものをやると非常に良いですね!
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