舞台「物語なき、この世界。」を観た。※ネタバレあり。
どうも苦手意識がある渋谷。
できれば避けたい街、渋谷で
舞台「物語なき、この世界。」を観た。
どんなに苦手な街でも、あっさりそのハードルを超えて行ってしまった理由。
この舞台がどうしても観たかった。
私が「この人、天才だ。」と思う人間のひとり、三浦大輔さんが3年ぶりに書き下ろした脚本・そして演出の舞台。
観に行かない理由がない。
人は誰もが主人公なのか、
そしてその人生は物語なのか。
誰もが自分勝手なエゴで自分を主役にし、他人を脇役にし、人生を物語に仕立て上げているんじゃないか。
本当は物語なんて、どこにもないのに。
「人生に物語なんてない」ということを、物語として観せてくれる作品。
心理学でいうところの
「世界は自分が創っている」
そして、「この世の全ては投影」である。
そのことが、3時間弱の舞台にぎゅうーっと詰まっていた。
どう生きようが、その人の自由なのだ。
人生に意味を持ち、自分の物語として生きようが、
ただ「人」として存在して流れるように時間を過ごそうが、
それは自分の中の視点を変えるだけで、どちらでも好きに選べる。
傷つくことも、苦しいことも、上手くいかないことも、
幸せであることも、誰もが自分に優しいと感じることも、愛されていると思い込むことも、
どれもこれも、自分の心の中の都合が世界に映し出されている。
それは、他人からの視点で見れば必ずしも事実ではない。
それでもその人が、「この世界はそうだ」と信じていれば、それはそう信じる人間にとっての「真実」なのだ。
舞台の後半、主演の2人から完全にその座を奪って、
物語の主人公になり変わる、寺島しのぶさんのシーンは圧巻だった。
寺島しのぶさんの「スナックのママは大物女優が演じることになっている。」というセリフ。
納得しかない。
登場人物全員がシーンごとに主人公になり、
「人生の物語の主人公になんて誰もがなれるし、そして誰もが誰かの物語の脇役だ」というのを俯瞰して見せてくれた。
本当にたくさんのことを感じ、知らせてくれる舞台だった。
私は自分以外の人の物語を観ることが大好きだから、
人生は物語であっていいとも思う。
他人の人生に「物語」を見るのも、私のエゴなのかもしれないけれど。
この世界も、人生も、すべて自分次第なんだと、改めて私の中に染み込ませてくれる作品だった。
やっぱり、三浦大輔さんは天才だ。
舞台公演期間が緊急事態宣言に入ってしまったため、前売りも当日もチケット販売が中止されてしまったそう。
こんなに凄い作品が、いつもより限られた人しか観られないことは、とても残念。
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こんにちは、心理カウンセラーのスズキチサです。
私個人は、自分の人生の物語は創らない、と、ここ最近思っている。
「こうありたい」や「こうなりたい」を手放して、
人生は何が起こるかわからないまま、やってきたものを楽しみたい。
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