鈴木小説リレー

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奪われた光 #9

俺は三上。ひょんなことから鳥取に来ることになった。そして、みんなと逸れて迷子になってしまったようだ。 実は、俺には秘密がある。それは双子ということだ。しかも一卵…

奪われた光♯8

さすが中野の家族・・・。こんな中学生の俺らがファーストクラスだなんて・・・。 ふかふかすぎかよ、この椅子。こんなに快適な座り心地だったら、もう何時間でも乗ってい…

奪われた光 #7

次の日ぼくたちは、昼ごはんの長い休み時間で、4つの机を向かい合わせにして会議を行った。 「第一回 鳥取楽しむための会議」 約1時間にわたる議論はそれでも足らず、放…

奪われた光#6

『なぁ、鈴木!鳥取に、白兎神社っていう神社があるの知ってるか?砂丘だけじゃないんだぜ、鳥取って!』 実際に行ってみて本当に砂丘だけだったら、どうしようと思ってい…

奪われた光 #5

鳥取に行くことが決定した日、いつものように家に帰ると母ちゃんが唐揚げを作っていた。 母ちゃんは背は高くなく、お世辞にも美人とは言えないが、しゅわくちゃな笑顔がと…

奪われた光#4

ぼく、足洗、中野、三上。 今年、鳥取を制覇する4人組だ。ぼくらは、小学3年の時にクラスが同じになってから夏休みに遠出することが暗黙の了解となっている。 どのタイ…

奪われた光 #3

新学期を迎え、新しいクラスメイトの顔にも見慣れてきた頃、ぼくは夏の一大イベントに胸を躍らせていた。そう、夏休みだ。クラスメイトが海とかキャンプと話しているのを聞…

奪われた光 #2

光を奪われたことを理解するのに、少し時間を要した。 どれくらい経ったかはわからない。ただひたすら、ぼくは一点を見つめていたのだろう。ジリジリ、朝聞こえてきた蝉の…

奪われた光 #1

今日ぼくは、光を奪われた。 梅雨が明けて蝉の鳴き声が頭を揺らす7月の中旬に、いつも見ている景色を横目に、ぼくはイヤホンで音楽を聴きながら自転車を走らせる。夏の日…

奪われた光 #9

俺は三上。ひょんなことから鳥取に来ることになった。そして、みんなと逸れて迷子になってしまったようだ。

実は、俺には秘密がある。それは双子ということだ。しかも一卵性である。
なんでこんなことをカミングアウトしたかというと、俺は今回のメンバーと友達ではないのだ。俺は双子の弟で、名前はまさと。兄は、ゆきとだ。

ゆきとが昨日の晩から高熱を出してしまい、代わりに言ってくれないかと頼まれ、一度断ったが、友

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奪われた光♯8

さすが中野の家族・・・。こんな中学生の俺らがファーストクラスだなんて・・・。

ふかふかすぎかよ、この椅子。こんなに快適な座り心地だったら、もう何時間でも乗っていられるな〜どこまでも行けちゃうな〜。

中野のことを一生大事にしようと思った。いや、みんなも大好きだけどね?それじゃあみんなに悪いか。み、みんなも大事にするぞ。

と、心の中で悪いこと考えっちゃったなとニヤけながら、窓の外を見る。

「何

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奪われた光 #7

次の日ぼくたちは、昼ごはんの長い休み時間で、4つの机を向かい合わせにして会議を行った。
「第一回 鳥取楽しむための会議」

約1時間にわたる議論はそれでも足らず、放課後まで延長され、チャイムギリギリの17時まで熱戦を繰り広げた。ぼく達はいきたいところを出し合い、ルートを決め、完璧な計画を練り上げた。これから始まる未開の地探索は、ぼく達にどんな発見をもたらしてくれるのだろうか。会議が終了して妄想を膨

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奪われた光#6

『なぁ、鈴木!鳥取に、白兎神社っていう神社があるの知ってるか?砂丘だけじゃないんだぜ、鳥取って!』

実際に行ってみて本当に砂丘だけだったら、どうしようと思っていたぼくは、少し安堵した。それにしても、聞いたことないけど、かっこいい名前の神社だな。

ぼくは、すぐにメールに返信する。足洗とは、メールが届いたら、5分以内に返事するのが約束だ。ちなみに、まだこの約束をお互い破ったことがない。破ったらどう

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奪われた光 #5

鳥取に行くことが決定した日、いつものように家に帰ると母ちゃんが唐揚げを作っていた。

母ちゃんは背は高くなく、お世辞にも美人とは言えないが、しゅわくちゃな笑顔がとても印象的な人だった。写真に映ることをひどく嫌っていたが、父ちゃんが不意打ちでなんとかフィルムに収めた母ちゃんの顔は今まで見た中で一番しゅわくちゃだった。梅干しよりも。

母ちゃんは唐揚げを作りながら、おかえりーと声をかけ夕食の用意を続け

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奪われた光#4

ぼく、足洗、中野、三上。

今年、鳥取を制覇する4人組だ。ぼくらは、小学3年の時にクラスが同じになってから夏休みに遠出することが暗黙の了解となっている。

どのタイミングで仲良くなったのかは思い出せないけど、ぼくたちはなんだか馬があった。大切な仲間で、大切な思い出だ。

奪われた光 #3

新学期を迎え、新しいクラスメイトの顔にも見慣れてきた頃、ぼくは夏の一大イベントに胸を躍らせていた。そう、夏休みだ。クラスメイトが海とかキャンプと話しているのを聞きながら、自分の夏休みの計画を立てていた。もちろん宿題は後回しだ。

そんなことを考えていると、ふと後ろから、聞き覚えのある低い声が僕の耳をノックした。

「夏休みは思い切って鳥取とか行かね?」

なんで鳥取なんだよと思いながら、足洗(あし

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奪われた光 #2

光を奪われたことを理解するのに、少し時間を要した。

どれくらい経ったかはわからない。ただひたすら、ぼくは一点を見つめていたのだろう。ジリジリ、朝聞こえてきた蝉の鳴き声とまた違った、蝉の鳴き声が頭の中をいっぱいにする。

そして、この感覚。

なんだろう、経験したことがある気もする。何かが僕の中から消えた感覚。はっきりとは思い出せないが、胸が締め付けられる。

汗が止まらない。

思い出せ自分。大

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奪われた光 #1

奪われた光 #1

今日ぼくは、光を奪われた。

梅雨が明けて蝉の鳴き声が頭を揺らす7月の中旬に、いつも見ている景色を横目に、ぼくはイヤホンで音楽を聴きながら自転車を走らせる。夏の日差しが痛いくらいにぼくの体を刺激してくる。エアコンを求めて職場まで全力で漕ぐのがぼくの日課だ。

鍵を開けて入る職場には5分前についても、ぼくが一番乗りだった。

後から入ってくるメンバーに挨拶をしていつものように仕事を始める。隙を見つけ

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