奪われた光#6
『なぁ、鈴木!鳥取に、白兎神社っていう神社があるの知ってるか?砂丘だけじゃないんだぜ、鳥取って!』
実際に行ってみて本当に砂丘だけだったら、どうしようと思っていたぼくは、少し安堵した。それにしても、聞いたことないけど、かっこいい名前の神社だな。
ぼくは、すぐにメールに返信する。足洗とは、メールが届いたら、5分以内に返事するのが約束だ。ちなみに、まだこの約束をお互い破ったことがない。破ったらどうなるか、想像がつかなくてなんだかんだ守り続けている。
『しらと?神社?聞いたことないな。』
『しらとじゃねー!笑 ハクトって読むんだよ、アホじゃん笑』
『地名と人名は読めなくても、いいんだよーだ!アホはそっちじゃ。とにかく、その白兎神社がなんだって?』
『まぁ、うさぎが神らしいんだけど、御身洗池っていうのがあるらしいんだ。うさぎが体洗ったんだってよ。』
『そーなんだ。面白そうだね!』
『それだけかよ!御身洗池って、足洗に似てね?俺、ここで生まれたんかな、って思っちゃった!!』
そんなわけないだろ。生粋の東京生まれやろ。と心の中で思いつつも、足洗ってなんだかいつもガキっぽくて可愛くて、そんなあいつを思うと笑ってしまう。まあ、ぼくも十分ガキなんだけどね。
「な〜に、携帯見ながらニヤニヤしてんのよ、あんた。彼女でもできたのー?笑」
茶化すように聞いてくる、母ちゃん。別に彼女がいるわけじゃないし、足洗とのメールだから、やましいことはないが途端に顔が熱くなるのを感じた。
「足洗だわ!別にニヤニヤしてねーよ!!」
恥ずかしくなって、唐揚げを一気に頬張る。
『また明日、その白兎神社のことを含めて4人で行きたいところ相談しよーぜ!』
ぼくはそう取り急ぎ返信し、ご飯を食べ終わったらすぐに自室へ駆け込んだ。
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