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わたしたちの脳にはサボりぐせがある 「最小努力の法則」

最小努力の法則

最小努力の法則(The principle of least effort)とは、

ある目標を達成するのに複数の方法があるとき、人は、最終的にもっとも少ない努力で済む方法を選ぶ

というものです。ジップの法則とも言われています(後述)。「最小努力の法則」は、進化生物学からウェブページのデザインまで、幅広い分野をカバーする理論です。動物や人間はもちろんのこと、よくできた機械であっても、努力(コスト)が、最も少ない道を自然に選ぶと仮定しています。この理論は、他の多くの類似した原理と密接に関連しています。情報探索行動は、最小限の許容範囲の結果が見つかるとすぐに停止します。この法則は、人の能力や知識に関係なく当てはまります。最小努力の法則は、なにか知りたいという目標があるとき、別の建物にいる専門家ではなく、廊下の先にいる専門家ではない同僚に相談する、などの行動として現れます。かもしれない。

最小努力の法則の歴史

この法則は、イタリアの哲学者であるギョーム・フェレロ(Guillaume Ferrero)が、1894年に「Revue philosophique de la France et l'étranger」に掲載した論文で初めて明らかにしました。 その約50年後、言語学者のジョージ・キングスレー・ジップ(George Kingsley Zipf)が、この法則を研究し、「Human Behaviour and the Principle of Least Effort」を執筆しました。ゆえに「ジップの法則(Zipf's law)」とも言われます。

また、図書館員のトーマス・マン(Thomas Mann )は、1987年に出版した『A Guide to Library Research Methods』の中で、情報探索行動を導くいくつかの原則の一つとして、最小努力の法則を挙げています(※3)。同様に、情報探索行動の最も一般的な指標の一つである図書館の発行部数統計は、80対20の法則(パレートの法則)に従っています。このことから、情報探索行動は、正規分布曲線ではなく、ベキ乗則曲線の現れであると考えられます。


対策・応用

わたしたちのシステムエラーを知るきっかけにする

わたしたちは、直感に従って間違うことが多いのですが、それに気付く人は少ないようです。この直感に従った結果間違う傾向を「認知バイアス」といいます。認知バイアスが発生してしまう原因は、直感で物事をとらえる人間の脳の性格によるのですが、ノーベル賞受賞者のダニエル・カーネマンは、これをシステム1と呼んでいます。ゆっくり考える性格をシステム2と呼んでいます。このシステム1と2の相互のかけあいが、わたしたちの判断の仕組みです。そしてこの仕組みには、ばっちり、この「最小努力の法則」が当てはまります。わたしたちの脳は、基本、怠け者だと知っておきましょう。これは、進化上、必要だった特性でもあります。


関連書籍


関連した認知バイアスなど

•利用可能性ヒューリスティック(Availability heuristic)
認識、理解、決定の際に、思い出しやすい情報だけに基づいて判断する傾向。


•代表性ヒューリスティック(Representativeness heuristic)
あるものの代表的な特徴と合致しているならば、それに近いだろうと直感的に判断すること

•パレートの法則

•属性置換(Attribute substitution)
計算が複雑な属性を判断しなければならないときに、より計算しやすいヒューリスティックな属性で代用してしまうこと


認知バイアス

認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。


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参照

※1:Decision making and the avoidance of cognitive demand

※2:Principle of least effort

※3:A guide to library research methods



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