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新潟の夏を襲った記録的猛暑と、深刻な打撃を受けている「伝統野菜」について。

こんにちは!The SUZUTIMES編集部の これえだ です。
9月も下旬ですが、相変わらず暑い日が続いていますね。こんなに暑かったっけ?と毎年思っている気がします。

さて、早速テーマのお話に。
今年の夏はとにかく厳しく、新潟でも記録的な猛暑と雨不足が続いています。農家さんからも畑や植物に異変が起きているというお話を耳にします。

新潟で夏といえば、「巾着なす」や「神楽南蛮」「枝豆」など、伝統食材や特産品となっている野菜が出回る、いわば“本領発揮!”といった季節。
それが、今年はどれも不作といった現状・・・。私たちの店舗や加工品にも少しずつ影響が出始めています。

そんな異常事態に戸惑いつつ、少しでも早く状況が好転して欲しいという願いを込めて、今回は「伝統野菜」というキーワードについて書いていこうと思います。


伝統野菜=歴史と文化

日本における野菜の歴史の多くは、海外がルーツだそうです。
南方、北方、乾燥地域など、様々な場所から日本にやってきた野菜たちは、何百年もかけてその地に適用しながら広まりました。

日本の中でも、それぞれの地域の人々の食生活に馴染むものは様々。
旅人や僧侶によって、または交易などにより各地に広まる中で、時にはその姿や形を変えながら伝わり、またその先の地での変化を経て、全国に受け継がれていきました。

例えば、関西で蕪として食べられていた「天王寺かぶら」。
これは長野県に伝わった際に葉を食べる文化に変わり、「野沢菜」としてその地に根付いたそうです。

このように、品種や楽しみ方を変えながら、その地とその地の暮らしに古くから深く根付いたものが【伝統野菜】です。

伝統野菜の今

長岡市山古志地区の特産品『神楽南蛮』

その地域の魅力を伝えるのにも重要な存在となる伝統野菜。

他の野菜と比べると伝統野菜の生産効率が悪く、コストがかかることや量が安定しないことから、流通には不向きとされています。
そのため、時代の変化とともになくなってしまった品種も多くあります。

私たちの近くには、そんな伝統野菜や伝統農法と向き合った農業をされている農家さんがいます。
時に厳しい状況に置かれながらも、野菜のことや地域のことを話す姿はとてもキラキラしていて、こだわりと情熱を持って生産されていることが伝わってきます。

育てるのは大変だし、量も形によって市場での価値も不安定だし・・・近年、伝統野菜を扱う農家さんが減っている理由は言わずもがなな気がします。
では、なぜそんな伝統野菜を育てている農家さんがいるのか、と考えたら、一言に地元愛と誇りでしかないと感じています。

その土地が好きで、自分が慣れ親しんだものや受け継いだもの、その魅力に感銘を受けたからこそ、時代が移り変わっても昔ながらのものを昔ながらの方法を元に作り続けてくださっているのだと思います。

伝統野菜を“味わう”ということ

伝統野菜と地産地消

その土地を知り、おいしく味わう

伝統野菜が衰退の一途かというと、そうでもありません。地産地消や食育の観点からもその価値が見直され、伝統野菜の魅力を再認識できるような取り組みが全国各地で実施されています。

『地産地消』とは、「その地域で生産された農産物を、その地域で消費する」取り組みのこと。その概念の中には「健康と生命を支える食の大切さ、地域の食文化などへの理解を深める」ことも含まれています。
まさに伝統野菜を知り、味わうことを指していると感じました。

新潟県内の小学校では給食に地域の伝統野菜が使われていたり、プロのシェフが関わるレシピコンテストが開催されたり・・・。
地域を知るきっかけや伝統継承だけでなく、その土地ならではの美味しさを楽しむものとしても伝統野菜が活躍しています。

ちなみに「地産地消」は、今でこそメジャーなワードとなっていますが取り組み自体は30年ほど前に提唱され始めた最近のもの。
ここまで記事を書いていて、本質的な部分の「地産地消」はまだまだ広まっていないのでは?と思ってしまいました。

ただその地でその地で作られたものを消費する、物質的なサステナブル要素だけではなく、その背景を知りその地のことを想うことまでが「地産地消」であること。
地域の食材を扱う立場として、そんな本質的な部分を伝えていくのも私たちの役割であると感じ、少し気が引き締まる思いになりました。

地域のものを味わう贅沢

信濃川の河川敷にある畑で長岡野菜を作られている竹内さん

私自身、新潟に来るまで知らなかった食材や、新潟で食べたことで価値観が変わった食材がたくさんあります。

今はどこにいても全国各地の美味しいものを食べられる時代で、その恩恵にあずかっている部分はたくさんあります。
しかし、それぞれの地域の本当の姿や本当に美味しい食べ方は、やっぱり足を運んでみないとわからない!とも感じます。

『その地で生まれたものはその地で食べる』というのが一番美味しくて、一番贅沢な食の楽しみ方です。

私たちSUZU GROUPには、時期ごとにたくさんの食材が集まります。
伝統野菜に限らず、その土地で育てられている食材にはひとつひとつにルーツがあり、紐解いていくと土地の特徴や文化といった風土が関わっていることがわかります。

それらをできるだけ解像度の高い状態で、できるかで丁寧にお客様へ伝えていきたいと思っています。

最後に・・・夏の現状について

竹内さんの農園で育ったきゅうりたち

冒頭にも書きましたが、今年の夏は記録的な猛暑と水不足で、新潟の農家さんは本当に苦労していらっしゃいます。

巾着なす、神楽南蛮、枝豆、とうもろこし、きゅうり、葉もの・・・これらの夏野菜に加え、これから新米の時期を迎えるお米まで。
実をつけることさできなかったものもあれば、つけても枯れてしまうものもあったそうです。

例年であれば、SUZU365(加工品の製造も行っている店舗です)の野菜庫がパンパンになるような時期なのに、今年はそんな光景を見ずに夏が終わりそうです。

今回、この夏の異常気象が招いた現状を見ることで、『伝統野菜はこうやって途絶えてしまうのか』と一層危機感を抱きました。

酒粕を使った伝統農法を行う、丸山さんの畑

そんな中でもどうにか歴史と文化を守るために日々畑と向き合っていらっしゃる農家さんたち。
私たちにできることは、その現状を伝えることと、できることを考えること、強い気持ちで作ってくださったお野菜を美味しい状態でお客様まで届けることだと思い、少し長いですが【伝統野菜】についてを文章にしてみました。

まずは自分の住む地域や知る場所にどんな伝統野菜があるのか、よかったら少し調べてみてください。
馴染みのあるものもあれば、これはここだけだったの?!など、意外な発見もあるはずです。
そしてその裏にはそれを守っていらっしゃる生産者さんや地域の方がいらっしゃるはずで、お時間があればぜひそこにも触れてみてほしいなと思います。

次回はもう少しサクッと読めるものをお届けしたいと思います!!
ここまでお読みくださった方々、ありがとうございました!

これえだ

▽巾着なすを作る竹内さんと開発した加工品【タケウチマスタード】
巾着なすを使った郷土料理「からしなす」をアレンジして新感覚のマスタードを作りました。

▽新潟の夏野菜が食べられるSUZUの店舗情報はこちらから


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