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栽培が好き・・・というわけではない?!求めてくれる人がいるから作る。【生産者さんインタビュー:竹内 剛さん】 -前編-

こんにちは!The SUZUTIMES編集部の これえだ です。
今日はnote内では初めてとなる、生産者さんを紹介する記事です。個人的に、ページを立ち上げる前からずっと、もっと知ってもらいたい!書きたい!と思っていた内容なので、やっとこうしてご紹介できることをとっても嬉しく思っています!


SUZU GROUPでは、地元長岡をはじめ新潟県内で私たちと同じ志をもつ農家さんと連携して、食材のを仕入れさせていただくだけでなく加工品の開発を行ったりフィールドワークを行ったり、様々な活動をご一緒させていただいています。

私たちの取り組みは、お客様はもちろん、地域に根付く「食」を生産してくださる作り手の方々がいらっしゃらないと成り立ちません。
食材を使わせていただく以上、(ちょっとカッコつけた言い方になってしまいますが)それぞれの生産者さんが持っていらっしゃる考えや想いを一緒にお届けする使命があると思うと同時に、地域の食で人と人をつなぐことができる場所が飲食店だと考えています。

普段お世話になっている生産者さんへの尊敬と感謝の念を込めて、新潟の生産者さんについてをご紹介します。


さて、長ったらしい前書きはこの辺にしておいて・・・今回は、長岡市で農業を営んでいらっしゃる竹内 剛(ごう)さんにインタビューさせていただきました。

たくさんお話を伺ったので(1時間の予定が1時間半以上お話ししてました!この場を借りて謝罪いたします。。。)前半・後半の2つの記事に分けてご紹介したいと思います!

── 本日はお忙しい中ありがとうございます!

今日は雨なんで大丈夫ですよ〜!こちらこそよろしくお願いします。

── そうか・・!初歩的な質問でお恥ずかしいのですが、雨だと畑での作業はできなくなってしまうんですか・・・?

そうですね。雨の降り方にもよるんだけど、土が耕せなくなっちゃうんです。
ひどいと畑にも入れなくなっちゃって、乾くまで待たなくちゃいけない。

土をいじらない作業ならできるので、天気予報を見て、ハウスでの作業を雨の日に回したり、事務作業をしたりと調整しています。

── なるほど。文字通り自然相手にお天気と相談してといった感じなのですね。でも最近の天気はなかなか読めないところもありますよね。

そうなんですよ。ここ最近は本当に読めないですね〜。
まぁ、読めたところで、というところではあるんですが(笑)

20年以上この仕事をしているけれど、10年ぐらい前まではなんとなく帳尻が合っていた感覚があったんですよね。
「雨がたくさん降ってたけど、暑かったけど、年間通してみたら結果オーライだったな」みたいな。

でもこの頃はそういう感じがなくなってきて、“やばいな”というのを実感しています。

── 私たちも感じていることですが、きっと私たち以上に肌で感じていらっしゃいますよね。剛さんが伝統野菜にこだわっていらっしゃる分、昔との違いを余計に感じることはありますか?

あ、それが、別に伝統野菜にこだわってやってないんですよね、実は。

私たちの中で「竹内さんといえば」な巾着なす。
長岡の伝統野菜に指定されています。

── へ!それは失礼しました!てっきり!栽培が難しいものを扱っているというイメージから、こだわってなのかとばっかり!!

いえいえ。(笑)
どちらかというとあまりこだわりがないタイプなんすよ。
求められているから作っているという感覚が近いかもしれません。

どうしても作りたいから、というのではなく、欲しいと言われるから作っているんですよね。

野菜だけの話をすると、”伝統野菜だから難しい”とか“これは簡単”とかって話はないと思うんです。どっちにしても大変。

例えば、巾着なすだと数がならないからお金にならない。(いっぱい取れないから儲からない。)でも、逆に数がないなら1個あたりを高く売ることができるんです。
ある意味ブランド価値があるという点で苦労しなくても売れる。
大量生産は難しいけれど、「売る」ということを頑張る必要がなくなるんです。

逆に大量生産が主流な野菜になると、売り方に苦労すると思うんです。
だから、どっちもどっちだなと思っています。

── なるほど、それはそうかも。では野菜を選ばれている理由はあるんですか?

うーん、農業って性格が出ると思うんですよね。

米、果樹、野菜、畜産、花・・・といろんな生産者がいますけど、それぞれ性格というか、向き不向きがあると思ってて。

自分は野菜向き。
自分で言うのもなんですが「気が利く、気が付く」タイプだと思うんすよ。あと、細かい作業が多いので、それを楽しめるかどうか。

昔、米農家の先輩に言われたのが『俺には毎日同じところを回る作業はできない』ってことなんですけど・・・

自分が作ってるトマト、なす、きゅうりだと、6月〜10月の間、毎日収穫するから、毎日同じところをぐるぐる回って収穫するんです。

俺にはそんな作業は無理って(笑)

── おもしろい〜!すっごく偏見でしかないですが、なんかわかる気がする・・・!栽培やコツコツ系の作業がお好きなんですかね?

竹内さんの畑は信濃川の河川敷にあります。
河川敷には、山から流れてきた養分が蓄積された質の良い土が広がっています。

栽培が好きかって言われると「そうでもない」って感じで(笑)

やっぱり、栽培がしたくてやってるのではなく、自分のモチベーションは求められていることなんですよね。

なすを納め続けることで喜んでくれる人がいる。
だから作業として栽培をしているというイメージです。

── 私たちの求めている声が伝わっているのも嬉しいし、そこがモチベーションと言われると、もっと頑張らなくちゃとも思います!!そもそも、農業を始めたきっかけはあったんですか?

それは、20年前に大学で仏教を学んだことがターニングポイントになってます。

元々哲学とか生き方とかを考えるのが好きだったんで、仏教にどハマりしたんです。
かっこいい言い方すると、<どういう生き方をするか>について学んだ時期でした。

── 仏教!が、農業に?

そうそう。その中で<人間とはどういう存在か>ということについても勉強したんですよね。人間の根本的な。

で、「食わなきゃ死ぬ」と思ったんです。

食わない人間いないじゃん?ってことは、食べるものを作るってのが最強の仕事じゃん!って思ったんです。

たまたま長岡出身だったから、農業が身近だったんです。
これが港町で育ってたら漁業をやっていたかもしれない。

── 表現が悪く聞こえたらすみません!面白い!!!すっごく興味深い!!!そういった想いは年々強くなるものですか?

そうですね、コロナをきっかけにものすごく強くなりました。

── コロナ禍で?

ですね〜。
それまでは、やっぱり「売り上げを立てなくちゃ」「もっと儲けなくちゃ」「面積も増やしていっぱい作って」という考えがありました。

でもコロナ禍では“いっぱい作っても売れない”という状況だったじゃないですか。
普通に売ってた販売店や、卸していた飲食店から「明日からいりません」と言われてしまった時。
SUZU(飲食店)も大変だったと思うけど、やっぱりキツかった。

── そうでしたよね、一言でスパってされてしまうのが日々私たちの食を支えてくれている生産者さんっていうのが、今聞いても心苦しいです・・・

そう。でも、その期間を経たから、「売り上げのために」と思っていたのが「生きるために、食べるために作る」という考えに立ち戻ることができたんです。

原点回帰って感じかな。僕にとってはそんなきっかけにもなった出来事でした。

── 強い!!確かに、コロナはいろんな原点やベースを考え直すきっかけにはなりましたね。。。
   では、ここからはそんな時期を共に乗り越えた(っていうとおこがましいですが)SUZUとの関わりを聞いていきたいと思います!


ということで、前半はここまで。
長年お世話になっている生産者さんですが、私自身ここまでしっかりお話をするのは初めてで、聞くこと全てが興味深く楽しかったです。

竹内さんのお人柄や、オープンというか、こう“どーん”としているというか(個人の感覚です)その理由が伝わってくるインタビューでした。

記事からもそんな感じが伝わっていると嬉しいです。

後半では私たちとの関わりや竹内さんが今取り組んでいらっしゃることについて伺った部分をご紹介したいと思いますので、どうぞ、来週の更新もお楽しみに!

これえだ

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