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【おすすめ本】これからも地方から発信し続けたい!と思えた本~『魔法をかける編集』(著者:藤本智士)

こんにちは。ライターのすずき・ちえです。
私は宮城県仙台市を拠点に、会社員のかたわらローカルウェブメディアや自身のブログで、地域住民の目から見たローカル情報を発信しています。

主におすすめのおでかけスポットや飲食店(コーヒーとスイーツ率が高め)紹介や、地域活性化につながる活動をする人たちや企業へのインタビュー記事を書いています。

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2018年より活動を開始し、今年で5年目。今ではすっかりローカル記事を書くことがライフワークとなりました。取材で地元への熱い想いにふれるたびに、「全国各地の人たちに伝えたい」と思いながら記事を書いています。

ですが、自分の文章の拙さを思い知らされることが多いのも事実。取材先への原稿確認で食い違いが生じるたびに「ワタシ、まだまだだな、聞けてないな、ボキャブラリーを増やしたいな」と思います。

そんな山あり谷ありの活動をする中で、出会った本が『魔法をかける編集』でした。

まず、タイトルに引きつけられました。文章術や編集術の実用書だと思い、読んでみることに。
ですが、ローカルメディアと編集について筆者の熱い想いが伝わってくるような、素敵な本でした。

編集は手段であって目的ではない

筆者は、1974年生まれの編集者、藤本智士(ふじもと・さとし)さん。活動拠点を兵庫県におき、秋田県発行フリーマガジン『のんびり』、ウエブマガジン「なんも大学」など編集長など、ローカルメディアを立ち上げてきた方。

本書には、編集術も詳しく公開されていますが、私が印象に残ったのは、その前提となる、藤本さんの考える編集についてでした。

第1章から「ローカルメディアとは何か」というところから話が始まります。

その中で「編集は手段であって目的ではない」という一文があります。編集力とは、メディアを活用して状況を変化させるチカラで、「作ることよりも作ったあとに世界がどう変化するかの方が大切」と述べられています。

そして、この本では、ローカルメディアとは文章に限らず、自らが製造や管理に携わる商品や、施設などビジョンを描き、メッセージを伝え続けているものを指しています。

その上で、このように書いています。

編集とは理想とする「ビジョン」を多様なメディアを活用して実現させようとするための手段であり、編集者とはその使い手である。

『魔法をかける編集』より引用

その考えは目から鱗、でした。今までは「編集」と聞くと、文章や動画の構成を決めて、書いたり撮影したりしたものを読者に伝わりやすいように整えるポジションだと思っていたのです。

私も書いて終わりではなく、その後どのように変化するかという、しっかりとしたビジョンを持ってブログや記事に取り組みたいと思いました。

思わず共感し、感動!地方を出たことがないコンプレックスについての藤本さんの言葉

藤本さんが編集長をつとめた『のんびり』の編集者の中で「海外どころか、秋田県を出たことすら片手で数えるほどしかない」という方がいたそうです。

そのことにコンプレックスがあった彼女に対し、藤本さんが言ったのか「それは勲章」。さらに「一つの土地に居続けることは、世界中を飛び回るのと同じくらいの価値がある」と。

その言葉に「え、どういうこと?」と思いました。私自身もほとんど宮城県を出たことがなくて、世界を飛び回っているような人にコンプレックスを感じることがあり、彼女の気持ちがよくわかった気がしたのです。

なので藤本さんはどのような想いだったのかが気になり読み進めてみると、以下のように書かれていました。

個人が地域とコミットするその先にしか、グローバルな視点にたえうるものなんて生まれない。

『魔法をかける編集』より引用

例にあげていたのは、神社。
住民によっていつもきれいにされている神社は、地域のコミュニティの機能を果たしている。それは日本ならではの風景で、海外の人が日本を感じられる貴重な場所。まさに世界に誇れる、グローバルなものだと。

地域で、身近で当たり前すぎて気がつかないものが、実は海外の人たちに誇れるものかもしれない。そのような宝物が私の住むところにもまだまだあるはず。
だから私は、それらを地域住民として、文章という手段で発信していきたいと思いました。

そして、県外で暮らしたことがないという劣等感が少し和らいだ気がしました。

ローカルメディア向けの編集術も!地方から発信する人のバイブル

おそらく、本書を手にした人が最も知りたいことであろう「編集術」。詳しく公開されています。「インタビューの基本は会話」の部分では、インタビュアーのままでいると取材相手の演説から脱せないが、対談相手のようになって会話ができれば意外と読めるインタビューになる、という内容でした。

以前、藤本さんが編集した雑誌『Re:S』(りす)を読んだことがあるのですが、インタビュー記事で、インタビュアーと地方の人たちとの会話を聞いているかのような錯覚に陥ったことを思い出しました。生き生きとしていて、一読しただけで地域の魅力が伝わってくるようでした。

私はインタビューで緊張しがちなのですが、藤本さんのような記事を書けるようになりたいです。ハードルが高めかもしれませんががんばっていきたいです。

この本は、文章に限らず地方から発信している方や、これから発信していきたいという方にはおすすめの本です。

地方に出向き、発信し編集を続けた藤本さんの経験が惜しみなく語られていて、発信者の背中をポンと押してくれること間違いなしです!

◆本のリンクはこちらからどうぞ。





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