【読書感想】「ピンヒールははかない」佐久間裕美子
「ピンヒールははかない」佐久間裕美子
ライター佐久間裕美子さんが、2016〜2017年にかけてWEB連載をしていたコラム記事に加筆修正をしたエッセイ集。
このコラムが連載されていた当時、佐久間さんはアメリカ・ニューヨーク在住。
このエッセイでは、ニューヨークという社会の中で日々生活をしている"女性"、佐久間さん含め周りの友人たちに焦点を当てたエピソードがいくつか収録されている。
ニューヨークの街で、仕事、恋愛、パートナーシップ、妊娠出産、子育て、レジャー…と、人生の中での様々なテーマにときにぶつかり悩みがらも、日々自分と向き合いながら、自分にとっての心地よい人生を模索して一生懸命生きていく様々な女性の姿。
その女性たちに触発された著者自身も自分の生き方や考え方に向き合う過程が丁寧に描かれている。
ニューヨークでの生活が舞台なので、日本とはまた違った社会の雰囲気や価値観の中での女性としての葛藤や問題提起、逆に利点なども描かれていて、異文化に触れることができるのも本書の醍醐味の一つ。
けれど、本書に出てくる女性たちの悩みや生き様は決して日本の女性にとっても他人事ではなくニューヨークの彼女たちのエピソードを読みながら、"自分自身の人生はどうだろうか"と気づけば思いを馳せていたりする。
アメリカと日本では特色はいろいろ違うだろうけれど、"女性"として社会で生きていくうえで直面するものについて、そしてそれに対して自分がどう向き合うかも、いろいろ考えさせられる。
本書は、メインでは"女性として"という観点にフォーカスしている気がするけれど、総合的には、私たち一人一人が、自分が人生においてどんなことを求め、その求めることに向けて今どんな選択や決断をしていくのか、そんなことを考えさせられる一冊。
描かれているテーマは真面目なものもあるのだけれど、決してシリアスな雰囲気ではなくて、むしろ著者のバリエーションに富んだ友人たちの様々なエピソードをカジュアルな文章で読むことができて、とても興味深く読みやすい。
そして、登場する女性一人一人が試行錯誤しながらも自分の人生を歩んでいく姿に読んでいるだけで励まされたし、勇気をもらうことができた。
そうそう、「ピンヒールははかない」というタイトルも、本の中でその意味がわかると、なるほどなぁ…となんだかジーンときた。
佐久間さんの他の作品もぜひ読んでみたいと思う。
全女性にオススメしたい!
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