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「気に入ったものを値段を見ずに買う」という憧れを憧れリストから消した日のこと

いつから自分の中にあった憧れか分からないくらい私は、値段を見ずに買い物をすることに強い憧れを抱いていました。

どれくらいの年収が理想?と聞かれたら、「値段を見ずに気に入ったものが買えるくらい」と答えていたほど。

でも、先日それは思わぬところで、案外簡単に叶ってしまいました。

母の誕生日プレゼントに口紅を贈ろうと思った日のことです。

母ももう50代。

美容部員さんがいるような少し敷居の高いお店で、母に似合う口紅を選んであげたいと思いました。

いつもは、1500〜2000円くらいの口紅を使っていたのを知っていたし、美容部員さんに塗ってもらう経験をしたことがないと言っていた母。(ちなみに私もない)

綺麗なお姉さんに、にこやかに接客してもらいながら2色の口紅を塗ってもらいました。

少し落ち着いたベージュ系の色と、明るい印象になるオレンジ系の色。

やっぱりブランドの口紅の色は、どこか上品でいつもより顔が垢抜けて見えるような気がしました。

塗ってもらった2色を見比べながら、こっちの方が顔が明るく見えるんじゃない?

こっちは落ち着いてるけど、おもしろみがないかな?

と言いながら、完全に塗ってもらった2色が選択肢となっていました。

庶民の私でも、そもそもこれいくらなん?という疑問が湧いてこないほど、楽しく夢中で選んでいました。

母も気に入った「オレンジ系の口紅にします」と言って、在庫を出してもらい、レジへ。

まあ言っても、3000〜4000くらいかなと思っていたら、商品のバーコードをかざすと同時に表示された5280円という数字に面食らいました。

心の中は、え?え?え?口紅一本5000円!?!?とパニック状態。

顔に出ないように必死で、財布からクレジットカードを抜き、「カードでお願いします」と一言。

お客から「これ、いくらですか?」と言わせない雰囲気こそブランドのすごいパワーかもしれません。

とはいえ、私は長年いつまでも大事に憧れリストに入れていた「値段を見ずに気に入ったものを買う」ということをやってのけたことに気づいたのです。

自分にはまだそれができる資格はないと思い込んでいたけれど、やろうと思いさえすればいつだってできることにも気づきました。

どれだけ多くのお金を手にしたところで、私に無意識レベルで染み付いている値段を見るという行為をしないというのは限りなく0に近かったことでしょう。

5280円で買ったものは口紅だけでなく、あのキラキラした鏡の前で綺麗なお姉さんに塗ってもらう経験、値段を見ずに本当に気に入ったものを買う経験でした。

雲の上のような存在だと見上げていた憧れは、案外、手に触れられる場所にあるのかもしれません。

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