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中国日誌

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中国生活の記録。異国の地で構築されていく記憶の世界。
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2022年11月の記事一覧

【中国日誌】466日目 22.11.29

空気の冷たさが増し、冬の到来を感じる。急激に気温が下がり、あっという間に秋から冬へと移ろう。季節とは不思議なものである。暑い、寒いは人間の尺度でしかない。だから、他の生命にとっては、冬の気温も夏の気温も誤差範囲程度しかないのかもしれない。それでも、私達人類は、この温度差に重要な意味を見出している。だから季節という概念があるのである。深みを感じる季節に感謝を。

朝4時20分に起き、支度と日課。7時

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【中国日誌】465日目 22.11.28

不安を手放すとき。私は、この世界で生きているという感覚を失う。そこは非現実で、映像を見ている、第三者視点的な、そんな感覚に近くなるのだろうと思う。感情を手放していけば、私はこの体から離れていくのだろうと思う。死とは感情との別れなのかもしれない。理性とは観測者であり、自我は感情から成るのかもしれない。私が私であると思えるのは感情があって、その上で理性が認識できるからではないかと考える。ありとあらゆる

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【中国日誌】464日目 22.11.27

現実に没頭する。それは私が現実に溶け込み、一体化しているということである。故に、私が現実に対して客観的にどの位置にいて、どのような状態なのかを、考えることが無く、不安なく、過ごせているのである。これは流れに身を任せているわけであるが、流れが乱れ、不規則であれば、この状況は問題となる。だが、今は整備された流れに沿って進んでいるので、それなりに任せることができる。しかし、それでも、客観的な視点、我に返

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【中国日誌】463日目 22.11.26

私は私の指を動かそうと必死になる。指が私なら、そんなことで必死になることは無いのだろう。指は私ではない。私のこの身体は私ではない。私はこの身体に憑依しているに過ぎない。体に憑依することで、体との感情と一体化する。恐怖、歓喜、空腹などの体が感じる感情を私は共有できる。だから、私は体も私と勘違いしてしまっている。私は体を私と呼ぶには遠いところにいる。いつか、体と私が溶け合って、すべてが私と呼べるように

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【中国日誌】462日目 22.11.25

私はサイコパスではない。なぜならサイコパス診断で、ほとんどそれらに該当しないからである。故に私はサイコパスではない。しかし、感情がどんよりと黒ずんできているのを感じる。なぜなら、思いつくものが黒いからである。それは、腹黒いだとか、非道とか、ネガティブとか、そういうたぐいの黒さではなく、何かもっと別の黒さである。人間が初めから持っている、隠れて見えなかった、どす黒い何かが、私の中から顔を覗かせている

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【中国日誌】461日目 22.11.24

私は葛藤している。それは優しさとは何か、ということである。何もしない優しさ、何かをする優しさ。私はこの二つの優しさに挟まれて身動きが取れないのである。その瞬間だけで言えば、人を助ける行いは、明らかに正しい。しかし、長い目で見た場合、助けたことによってその人の失敗の経験を摘むことになるのではないか、そう思うのである。その瞬間では私は助けることができる、しかし、その人が、助けてくれる人がいなくなった場

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【中国日誌】460日目 22.11.23

泥臭くて醜いその姿に、私は美を感じる。その瞬間で物語るのなら醜悪な現象と言わざるをえないが、長期的な視点に立てば、それは美しい展開の前触れへと変わる。桜散るその姿が美しく映るのも、木の葉が散りゆく状態に風情を感じるのも、すべてはその後へと繋がる前途洋々な未来への期待であると考える。私たちは、想像する生き物。現象をそのまま受け取るのではなく、未来で開かれた希望への礎と捉えられる、この想像力に感謝を。

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【中国日誌】459日目 22.11.22

私くさい。臭いという意味ではない。私の匂いが強いという意味である。私の自我が濃厚になり、その濃密な、わたし臭が鼻腔に貼り付く。不思議である。これは私という個を表に強く出し過ぎたことによる、反動のようなものだろうか。私は個を出し過ぎると、不安になる。相手を傷つけていないか、そして、私は嫌われていないだろうかと。個を強く出し過ぎれば、他者に嫌われるのは摂理である。しかし、個を出さなければ、成長も制限さ

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【中国日誌】458日目 22.11.21

眠気が抜けない、そんな時期。時間ができては、眠くなり、寝る。睡眠が足りていないのか。ならば、早く寝ればよい。睡眠不足であれば自然と、早く寝るようになる。ただそれだけである。特に、問題はない。冬だから、冬眠したいという本能が、呼び覚まされているのだろう。安らかな眠りの幸せに感謝を。

朝4時20分に起き、支度と日課。上海なのでピアノはない。8時20分にチェックアウトし、目的地へ。そして、居留許可申請

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【中国日誌】457日目 22.11.20

ここは現実だろうか。いつもとは異なる、活気や風景が、現実とは別世界の様に映る。別世界にいると感じるとき、脳への刺激が強く、活性化している。逆に言えば、脳がこのような活性状態になれば、見慣れた風景も、別世界に映るのだろうと思う。ということは、見えているモノはあくまでもきっかけにすぎず、そう感じさせるものは心、感情、といったものである。ゆえに、感情をコントロールすることができれば、私は毎日のように別世

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【中国日誌】456日目 22.11.19

どの世界で時間を多く過ごすかは本人の自由である。SNSの世界、アニメの世界、小説の世界、現実の世界、妄想の世界、趣味の世界、これらの世界に善し悪しはない。その中のどの世界が自分にとって楽しいかが重要である。そしてどの世界が私を高みへと導いてくれるかが重要である。私とあわない世界で無理に長い時間過ごす必要はない。大好きな世界に感謝を。

朝5時に起き支度と日課。ピアノは2時間練習し、お昼に食材買い出

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【中国日誌】455日目 22.11.18

嵐の中の静けさが、今の静けさと酷似しているのは、気のせいではないはずである。なぜなら、私は嵐の中にいることを知っているからである。故に、今、静けさを感じているのは、台風の目の中心にいるようなものである。人生そのものがもしかすると台風の目の中心なのかもしれない。誕生前と死後は嵐であり、嵐を乗り越えて、台風の目に入り、生を得る。そしてまた、台風の目から通り過ぎたときに死に至るのかもしれない。だから、台

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【中国日誌】454日目 22.11.17

止まぬ不安の叫び声が、聞こえないように、遠くへと逃げるも、気を抜けば、不安の叫びはうなり声となって、そばから聞こえるのである。とめどなく、聞こえるその悲痛な声は、世界の色を灰色へと変える。私は、逃げてはいけないのである。なぜなら、不安はなくなることはない。常にそばにいる。故に、不安とは共存しなければならないのである。私はこの身体に憑依してから、身体の感じる不安の扱いに困っている。不安は不快ゆえに、

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【中国日誌】453日目 22.11.16

達成感が私の脳を激しく刺激する。ありとあらゆる脳内神経物質が、私を歓喜の渦へと落とし込む。私は、感情が絶賛するほどに、そこまで重大なことをやり遂げたのだろうか。私は、感情に対して怪訝なまなざしを向けた。この達成感が、私の何を変えたのだろうか。そればかりが、私の思考を反芻させた。感情の報酬ホルモンは、あくまでも結果に対してであり、変化ではない。恐らく、この報酬系の重要なことは、次も困難な出来事に直面

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