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5月、窓際でおだやかな朝食を


5月、春と夏のちょうど真ん中。

そこらじゅうで花が香っていて、優しい風が吹くから好きな季節だ。

お天気のいい日曜日にはどこか出かけたいけれど、今はいけない。

興味のなさそうな同居人と対照的に、私はいかにおうち時間を楽しむか、

に全力を注いでいる。

ベランダでシャボン玉をふかしたり、部屋でテントを張って映画をみたり、

 オーブンで台湾カステラを焼き、柔らかく甘い匂いを嗅いだり。


昨夜はたくさんお酒を飲んでいたので、お昼に目が覚めた。

窓から吹く、生暖かいまあるい風に心地よさを感じながら台所へ。

昨日スーパーで買っておいたホットドッグ用のパン。

同居人と2人並んでソーセージを焼き、ゆでたまごを切る。

パンにレタスと一緒にそれぞれを包み、これでソーセージと卵、2種類のホットドッグが完成。


26℃、快晴。

春なのか夏なのか、曖昧で優しい、あたたかな風の入る窓ぎわで、

ふたりで焼いたホットドッグと、お気に入りのカフェラテを胃の中へ。


至福。

というと大げさだろう。至福という言葉はリアリティに乏しく、日常において使おうとすると少し恥ずかしい。

同居人にはわからってもらえないだろうから、「風が心地いいね」とだけ言うと、

同居人はうなずき、けれど外を眺めることはなく2分足らずで目の前のパンを頬張り終え、

そそくさとソファへ向かいお昼寝を始めた。一体どれだけ寝るのだろう。


だがこれでいいのだ。私も彼も、それぞれの5月を堪能している。

食べ終えた私は白い椅子に座ったまま、

青い空を背景に窓ぎわで風を浴びているサボテンとガジュマルを眺めながら、

小学生の頃、家族で近所の公園でしたピクニックを思い出していた。



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