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おまかせ全部レビュー #冨所

 新年初のカウンター鮨は#冨所。好きすぎて去年の8月から毎月通っています。行く度に更新される感動、今回はどんな体験が待っているのか気持ちを高ぶらせながらコースが始まります。

➀墨烏賊(すみいか)
 初っ端に出てくる墨烏賊が大好き。サクッと×もちっと食感のネタの良さも然ることながら、鮨の命であるシャリ、そしてバチっと効かせた山葵を1番感じられる組み合わせ。その店の根幹を知ってもらうための名刺のような一貫かと(平目の時もたまにあります)。

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②細魚(さより)
 トゥルんっと入ってくる口当たりの良さと、感覚を研ぎ澄ますと分かる爽やかな香りが魅力。腹を裂くと中身が黒いので“腹黒のサヨリちゃん”なんて言われるけど、味は爽快で裏表のない清純派。好きです、付き合ってください。

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③赤身 漬け
 藤田水産と結乃花の鮪には絶対の信頼を置いているのですが、冨所に来る度に結乃花愛が強まってしまう。絶対美味しいと分かっているので食べる前から思わず笑顔に。味はもちろんのこと、山葵の後に追ってくる鮪の香りにうっとりしてしまいます。

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④中トロ 漬け
 訪問6回目ですが、漬けたものは初めて食べました。個人的に冊漬けは髪にインナーカラーを入れたようなカッコよさがあって好きです。味はと言うと、生よりも脂がしっとり入り込んでくる、上品な印象。冬の脂が絶好調な分、漬けで少し調整しているのでしょうか。

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⑤小鰭(こはだ)
 鮪2連続の脂を小鰭で締める王道の流れ。酢の効き具合だけでは語れない親方の小鰭は味と香りで口を完全にリセット。直前にガリをつまんでしまったのが悔やまれるので、次回からは小鰭をしっかり待とうと思います。反省。

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⑥煮帆立(にほたて)
 小鰭で口内が張り詰めているところにホッとする味を。鼻を燻るような濃厚な煮詰め(タレ)の香りがあるにも関わらず、その後にしっかり帆立の甘みが来ます。帆立は生の方が好きな私も、ここでは煮帆立で良かったと思わされます。

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⑦〆鯖(しめさば)
 温度低めの鯖と温かいシャリが口の中で1つに交わるこの感じ。これが乳化ってやつなのか?と考えていたら溶けるように無くなっていました。旬の青魚は想像とは比べられないくらい濃厚クリーミーで大好きです。

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⑧鰆(さわら)
 大好きな鰆様。8月はまだ青箭魚(さごし)=鰆の幼魚でしたが、それからはずっと鰆が出続けています。玉葱醤油に漬けているのが特徴で、部位によって漬けの程度が全く違うのが面白い。腹の部分は脂が多いので醤油をはじいて玉葱の香りはやや弱めに、背中側はしっかりと漬けられ、食べる前から香る玉葱香と脱水でねっとりした食感が最高です。“冨所の鰆”を食べたいなら背側がおすすめ。

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⑨車海老(くるまえび)
 最近の巨大化しすぎた車海老のサイズと比べると一回り小さい印象で、個人的には丁度いいです。口に入れる瞬間にふわっと来る甲殻類の香りと瑞々しさと温度感。3拍子揃いすぎです。。ちなみに佐藤親方は車海老の仕入れは必ず7の倍数で行うんだとか。

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⑩春子(かすご)/小鯛(こだい) 追加
 包丁を入れた皮目が美しい芸術作品のような一貫。他の鮨フリークたちの言う「ふんわり」の意味をついに理解。若々しい瑞々しさもしっかりと感じられました。

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⑪鰤(ぶり) 追加
 サシが入って白くなった鰤。中にあたり葱(浅葱と生姜をすり潰したもの)を忍ばせているのか、味の深みがすんごい。鰤自体と脂の香りが鼻に残る、と言うよりも鼻だけでなく口まで全てを支配して麻痺させるような濃厚さがやってきます。冬には必ず食べて欲しい一貫。

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⑫目近鮪(めじまぐろ) 追加
 本鮪の子どもを目近鮪というのは知っていましたが、食べたのは初めて。腹の部分なので、脂が乗っていて美味しいのはもちろんですが、成長した本鮪との違いは何なのか。これからの宿題になった1貫でした。

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⑬蝦蛄(しゃこ) 追加
 蝦蛄は車海老と比較すると美味しさがよく分かります。車海老よりもワイルドな甲殻類の香りと、繊維感の強い身質。好き嫌いの分かれる味ですが、好きな人は本当に好きになってしまう魅力があります。

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⑭煮蛤(にはまぐり) 追加
 これぞ貝!な食感がたまらない。咀嚼していると、気づけば煮詰め(タレ)の味から蛤に変わっていて、貝うまっ!となる1貫。自分はここの蛤を食べてから、煮蛤ガムの開発を夢見ています。

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⑮雲丹(うに)
 赤潮で雲丹が不漁&価格高騰にも関わらず、しっかりと雲丹を出してくれる心意気にまずは感謝。ひんやりとした雲丹の甘み、温かいシャリ、パリパリの海苔、これで美味しくないはずがないですよね。

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⑯穴子(あなご)
 「よく今まで形を保っていたな」と思ってしまうほどの柔らかさ。これを箸で食べられる人がいるのだろうかと考えてしまうレベルです。穴子が旨い店は信頼できる、との持論はこの店で形成されました。煮詰め(タレ)は気持ち控えめの優しい口当たりで、味、香り共に大トリに相応しい1貫です。

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⑰玉子
 焼かれて表面に少しだけ力を加えると自動的に沈んでいく顎。甘さは控えめな大人のデザート。細長いこのフォルム、好きです。

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 これだけ食べて10000円なのが一番の驚きで、コスパが良いを通り過ぎて安すぎだろ!と突っ込みを入れたくなるほど。しっかり2月の予約を取って帰りました。また報告に参ります!

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