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【Vol.7】誰しも活き活きできる。双極性障がいと付き合いながら一歩ずつ前に進む岡田有加さん

全ての頑張る人を紹介するマガジン「灯台もと照らし。」

今回紹介するのは、双極性障害と付き合いながら、その他の様々な障がいと共に生きている方々とお仕事をしている岡田有加さん。

付き合うのが難しいと言われる双極性障がいと向き合いながら、自らの夢に向かって一歩ずつ前向きに行動されている有加さんに、病気との向き合い方や、今後の夢についてお伺いしました。


有加さんの現在のお仕事

一般企業で働いていたものの、双極性障害を発症し、昨年9月に退職された有加さん。

今年の5月から、障がい者就労継続支援A型事業所に就職されました。

障がい者就労継続支援A型事務所とは、障がいなどによって現時点で一般企業に働くのが難しい方々へ、お仕事を提供したり、就労するために必要な知識や能力を向上させるための事務所。

現在有加さんが働いているのは、知的障がい・聴覚障がい・脳梗塞からの下半身不随など様々な障がいを抱えた方が内職や製造のお仕事をしている事務所です。

有加さんはその中で、看護士さんが利用者のバイタルチェックをしたものを、EXCELで管理する事務のお仕事をされています。

通院・服薬を定期的に行いながら、一般企業への復職を目指して、今の会社で自分の体調と付き合う方法を見つけている最中なんだとか。


経緯

大学卒業後、新卒で一般企業に就職された有加さん。

2年間その会社で働いていましたが、双極性障害になり、寝込むことが増え休職を繰り返すようになってしまったといいます。

会社に迷惑をかけるのが申し訳なくなり、昨年9月にその会社を退職。

その後、フリーランスの方のもとでアルバイトをしていましたが、イベント系のお仕事だったため、コロナの影響でお仕事が無くなってしまいました。

そこで障がい者雇用や、A型事業所を探し始めたといいます。

「もちろん一般就労も考えました。ただ、フルタイムの会社に入って、休職してしまうことが続いてしまうくらいなら、まずは働く訓練をしようと思いました。」


今の会社の雰囲気

ハローワークで見つけたという今の会社。

「実際に働いてみた印象はどうですか?」とお伺いしたところ、「障がい者と健常者の境がなく、バックグラウンドではなくスキルで見てもらえる会社」だとお話して下さいました。

例えば、事業所が飲食店の経営を始めることになったときのこと。

「新しく始めるカフェとバーのホールスタッフとして働きませんか?」というお声がけがあったという有加さん。

ただ、有加さんは、接客として働くことよりも、カフェとバーの広報やコンセプト作りの方に興味があったといいます。

それを事務所の人に伝えたところ、有加さんのしたいことを尊重して、コンセプト作りや、看板・メニュー表のデザインのお仕事を任せてもらえることになったんだとか。

「最初は障がい者施設で働くことは、やりたいことから遠ざかってしまう気がしていました。でも、障がいがあるからできないと決め付けるんではなく、できることや興味の方向に合わせてお仕事を依頼してくれるんです。それぞれができることを活かせる。やれることを見つけられる職場だな、と思います。」


広報への強い想い

有加さんは、A型事業所でお仕事をされながら、現在Bosyuというサービスを使って、広報のアドバイスや想いを伝えるお手伝いの募集を出されています。

(実は私も相談に乗ってもらいました)

有加さんが、広報の分野に興味を持ったのは、大学時代だそう。

大学時代は社会学部で、ボランティアやNPOに関わっていた有加さん。

その中で環境問題、国際問題、教育問題、色んな社会問題に触れたものの、どの問題とも一生をかけて向き合いたいとは思えなかったんだとか。

それぞれの問題よりも、有加さんが一番違和感を感じたのは、その課題に立ち向かっている人たちが負担を強いられている社会だったといいます。

「本来社会の課題は、人間皆で作っているもの。それなのに、一部の人に負担がかかってしまっていることが一番の課題だと思いました。その人たちに自分ができることで応援したいと思ったんです。」

そんな中で、興味を持ったのが広報というお仕事。

「どんなサービスや商品でも、想いを持っている人が社会課題を解決しようとしていると思うんです。その想いを伝わりやすい言葉に変換・翻訳して、その人たちにもっと応援が集まるようになればいいなと思いました。」

そんな想いから、Bosyuを使って様々なサービスを持っている人たちの広報のお手伝いをしてスキルアップを目指されています。

「事務のお仕事だと単純作業がメインなので、今後のキャリアを考えたとき、スキルが足りないと感じる部分もある。とりあえず、Bosyuでやってみるかという感じでしたが、素人ながら色んな人のお話を聞かせていただいて色んなことを考えたので、それ自体が自分のスキルにつながっていることを日々実感しています。」


踏み出せない人に向けて

付き合うのが難しいといわれる双極性障がいを持ちながら、やりたいことに向かって常に自分で踏み出して動き続けている有加さん。

同様に病気を抱えている中で、有加さんのようにやりたいことに向かって踏み出すことができていない人も世の中にはたくさんいると思います。

「そんな人たちになんと声をかけますか?」とお伺いしたところ、「私なら無理に声をかけない」と答えて下さった有加さん。

「やりたいことがあるけど難しくて踏み出せないなら、それはタイミングじゃないんだと思います。やりたいことはやりたいと言っていたらその機会は必ず巡ってくる。気分がしんどいときは無理をせず、やりたいことやできることをしていればいい。自分は何もできないと思わずに自分のやりたいことをやる人生でいいんじゃないの、と思います。」


障がいは個性

また、お話の中で障がいは個性だ、と何度もお話して下さいました。

「障がいは個性で、皆が誰しも持っているもの。人間は皆違っているので、誰しもある意味では障がい者だと思うんです。」

障がいの有る無しに関係なく、落ち込むときは誰しも落ち込むもの。前を向こうと思うタイミングは必ず来るので、無理に前を向こうとしないことが大切だといいます。

「双極性障害って、女性は共感してもらえると思うんですけど、生理に近いんです。きたらしょうがなくって、もう寝るだけ。自分の気分の波をそういう風に捉えていて。落ち込む時間がきたらああきたきたみたいな。やるかって思う瞬間はくる。落ち込む時期がなくなる瞬間は絶対くるので。」


これから

今の職場で働いて、定期的に働くことができるようになってきたら、一般就労も視野に入れているという有加さん。

大学生時代に感じた社会問題への課題。

社会問題の解決に携わってるはずなのに、その人たちがあまり活き活きしているように見えなかったこと。

そこで感じたことを軸に、「NPOや社会課題解決というフィールドで働いている人たちの想いを言葉にして、その言葉を広げていくお仕事をしたい」、と語って下さいました。

そのために、A型事務所で病気との付き合い方を探しながら、Bosyuを通して、前向きにスキルアップを目指している有加さん。

「明日は気分が落ち込んで休んでるかもしれない。でも、そういう自分もありかなと思います。誰しも自分らしさを持っていて、自分らしさを発揮できる瞬間って活き活きできる。世の中の困りごとを解決しようと思っている人たちがその人らしく活き活きできるようにサポートしながら、自分自身もそうありたいな、と思います。」


インタビューを終えて

実は私自身も軽度ではありますが同様の病気を抱えています。そして周りにも、心の病気で前に進めず悩んでいる人も多かった。

そんな中で、双極性障がいという付き合いにくい病気を後ろ向きにではなく個性として捉え、一歩ずつ着実にできることに取り組まれている有加さん。

自分のやりたいことの軸をしっかりもって、それをしっかりと言葉にされる姿に、お話をお伺いしていた私自身が、誰よりも勇気付けられ、背中を押されました。

やりたいことの軸も私とすごく近いので、応援したい!という気持ちというよりは、お互いに自分らしく活き活きできることを目指して頑張れたらいいな、と思います。


そして、有加さんのbosyu。

本当に親身になってお話を聞いて、様々な角度からアドバイスを下さるので是非応募してみて下さい!


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