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忍者と菱と環境問題(千葉県佐倉で忍者体験)

千葉県佐倉市。
かつて佐倉城が建っていたことから、城下町の名残を感じられ、武家屋敷や国立民俗歴史博物館などの歴史・文化に触れられるスポットがたくさんある地域です。

そんな佐倉城跡内にある「佐倉城址公園」では毎月「佐倉こそだちフェス」が開催されています。
今回は佐倉こそだちフェスと千葉県にある印旛沼の活性化に取り組む「まるごといんばぬまプロジェクト」がコラボし、マキビシとしても使用できる植物の菱(ヒシ)と忍者を絡めたイベントが開催されました。

こちらの記事では、今回のイベントの様子をご紹介。
スタッフが見た・聞いたことをできるかぎり書き記していこうと思います。

マキビシと菱

「オニビシ」とは、ヒシ科の浮葉植物。
写真のように葉は浮いていますが、沼の底の土中にはとても長い根が張っています。

実際に沼に繁殖しているヒシは、写真よりずっとずっとはるかに多いです。
詳しくは「まるごといんばぬまプロジェクト」のSNSや習志野さんのYoutubeをチェック。
イベントでも実物のヒシが見れました!

その実はゆでて皮をむいて食べると栗のような触感を楽しむことができますが、種の無い皮は硬くなり、忍者の道具「マキビシ」としても使用できます。

種のあるヒシは緑色ですが、発芽後の種がなくなった菱は自然と黒くなっていきます。
これなら地面に撒いても目立ちません。

そして一番の特徴は何といってもこの形。

「オニビシ」の名に恥じぬ、いかつい鬼のような見た目
写真におさまりづらいほどの細かい「かえし」!

四方向にのびている棘はどう転がしても上に向くようになっており、ギザギザした「かえし」もついているため、刺さったらなかなか抜けなさそうです・・・

まさに敵に踏んでもらうために生まれたような造形美です・・・

印旛沼と菱

「まるごといんばぬまプロジェクト」は、印旛沼を楽しく発信して、沼の魅力や課題を知ってもらうことを目的に活動しています。

今回のイベントで取り上げたオニビシもその課題のひとつです。

印旛沼では、夏になるとオニビシが大量に繁殖します。
そのままにしておくと漁業や船舶に支障をきたし、生態系のバランスも崩れてしまうため、近年刈り取りが再開されました。
昔は資源として様々なことに活用されていたヒシですが、現在は税金を使ってただ処分されているだけというのが現状だそうです。
 
そこで、「まるごといんばぬまプロジェクト」では、ヒシの価値を広めるべく、忍者道具のマキビシやおにぎりの具材とし食材として使えることを実際に見てもらい、印旛沼の現状や課題について考えてもらう機会を作ったとのことで、ブースにはたくさんの親子連れの方々に集っていただきました。

印旛沼についての説明パネルや、実際のオニビシもボトルに入れて見れるように

イベントの様子(忍者体験・オニビシおにぎり実食)

忍者体験は2回にわたり開催。
多くの親子が集まり、子供たちは突然現れた忍者にそわそわ。

みんな真剣に聞いてます・・・!

1回目は知識編忍者の道具の説明から忍者の仕事について学びます。
もちろんイベントの主役「マキビシ」も紹介。
今回紹介した忍者の道具は名前も使い方もわからないような道具も沢山でしたが、マキビシの認知度は高かったです。
さすがは手裏剣に並ぶ、忍者の定番道具です。 

九字切りと気合法、そして敵に見つからない・自分を落ち着けるための呼吸法も練習

目を閉じて耳を澄まし、周りの音を聞く修行では、さっきまではしゃいでいたとは思えないほどの集中ぶり。
どんな音が聞こえたか、元気に手を挙げて発表していました。

 最後は「忍び足」を教わり、習志野さんがふるうスポンジの剣をうまく避けながら、音を立てないように動き回る修行を行いました。 
子供だけでなく大人も交じって挑戦し、親子で楽しく体験されていました。

慌てず静かに避けるべし!

1回目が終わり、2回目の修行を始める前に少し休憩。

「まるごといんばぬまプロジェクト」のスタッフさんがオニビシで作ったおにぎりを参加者に配布しました!

腹ペコの子供たちを中心にあっという間になくなってしまいました。
スタッフも一ついただき実食。オニビシのほくほくとした栗のような触感と風味、そして塩むすびのわずかな塩加減が、実の甘みを引き出しています。

 お米は「印旛沼に注ぎ込む周辺の湧水」を使って炊いたものだそうで、印旛沼の良いところが詰まった美味しいおにぎりでした。

お釜で炊いた出来立てヒシおにぎり!
大きな実が入ってます。おいしい!!!


さて、おにぎりで力を付けた後の忍者体験、2回目は実践編です。

「忍び足」のおさらいからスタートし、「四足の習い」という猫やサルなどの動物の動きをまねした修行方法に挑戦。
みんな猫になったつもりで移動の仕方やジャンプの仕方を学びました。

猫になりきって動くべし!

そして今回は、場所がお堀の残っている城跡ということもあり、忍び六具の一つである「鉤縄」を使って高いお堀を登る修行を行いました。
お堀に向かう途中は、敵忍者に気づかれないよう習得した「忍び足」「四足の習い」を駆使。
ドキドキハラハラの最終ミッションです!
 
屋外、それも城跡ならではのアクティブな忍者体験になりました。

焦らずゆっくりたどり着くべし!

去年からイベントで忍者体験を担当している習志野青龍窟さんは、実在の忍術書にある修行方法の実践をすることで現代に発信している忍道家です。
日本忍者協議会が運営している「忍道」の師範でもあり、実践の忍術を学ぶ「陰忍」のお稽古を実施。

今回の体験でも、リアルな忍術を子供たちにもわかりやすく楽しんで学べるよう工夫されています。
大人でも知らないことが多いので、親御さんも一緒になって忍者の奥深さを知っていただけたのではないかと思います。

まとめ

「まるごといんばぬまプロジェクト」の活動が開始されたのは5年ほど前、忍者体験を交えた企画は去年始めたもので、前回の好評を踏まえ今年も開催されました。
 
忍者の道具マキビシとしての菱。おいしく食べることができる菱。そして印旛沼と菱の現状。
 
そんな菱が身近にあることを地元の人々が集まる「佐倉こそだちフェス」で発信、そして「忍者」を通してお伝えすることは、とても素敵なアイデアだと思いました。
「忍者」と「環境問題」という、なかなか合わさることのない2つが融合された素晴らしいイベントに出会うことができました。

情報

「まるごといんばぬまプロジェクト」のSNSでは、活動内容やイベント情報を発信。オニビシの写真も多く投稿されています。

【まるごといんばぬまプロジェクト SNS】
まるごと印旛沼 | Facebook
まるごと印旛沼(@marugotoinbanuma) • Instagram写真と動画

忍者体験を担当した習志野さんのYoutubeチャンネルでは、印旛沼のヒシ取りに参加した様子の動画が投稿されています。
画像で載せたような単体のヒシではなく「圧倒的ヒシ」を見ることができます・・・何言ってるかわからない方は、とりあえずURLをチェックです!

【習志野修行チャンネル】
【君は知っているか?】忍者のまきびし狩り‼︎(前編) - YouTube
【感動のラスト!】忍者のまきびし狩り‼︎(後編) - YouTube


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