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笑の連鎖

ことの発端は、アラフォーくらいの女性から。
『これ、調べてください!』とクジ券を渡されて機械にかける。
当たっていなかった。全部ハズレ。

『残念ながら今回はお返しします』

『あーぁ、やっぱりダメだったかぁ…はぁ…
じゃあ… これ下さい!』
女性は、次回のロト7を購入。

お会計時。
女性がいきなり、『お願いです!今度こそ当たって下さい!もうお姉さんにかかってるんです!!』と、神社詣りかのように、パンパン!と手を叩き、手を合わせて私に向かって拝んできた。

『いやいやいや、そんな、そんなこと言われても…』

『お姉さんのパワーでなんとか!!』

『いやいやいや、私、パワーとかありませんよ!! 当たるといいですよね!』サラッとかわしたいところ。

『もう1等なんて欲張りません!2等か3等でいいからお願いっ!!』
女性がふざけているのか、本気なのか、いまいち読めない。

ずーっとまえの昔、私がこの仕事を将来することになるとは思いもしない頃、テレビで、よく当たると評判の宝くじ売り場があり、さらにそこには縁起の良い苗字の人が居て、その人の窓口には行列ができる。というのを見たことがあった。
私は縁起の良い名前ではない。

カウンターに、申し込みカードを書いている中年男性客がいる。
そして、アラフォー女性の後ろには中年男性と若い女性が並んでいた。

アラフォー女性が、『あっ、スクラッチも買っちゃおうかなぁ!どれにしよう、どれがいいと思います?』と聞いてきた。 
それぞれの違いを簡単に説明する。
なかなか決められないようだ。

先程から私は、女性の次の男性客が気になっていた。
「まだかよ…」って顔に出ている。
お財布を太ももにペチペチペチペチしているところにイライラが表れている。
渋めの強面男性。

(次の人、早くしろよって、思ってるんだろうなぁ…
早くスクラッチ決めてくれないかなぁ…)

あーだこーだ言いながらやっと女性がスクラッチを選んで、お会計。
まーた女性が、『お姉さんお願いしますねっ!!』と言って、目をつむって私に手を合わせてくる。

『いやいやいや、そんな…』
(やだぁ、もうやめてーーー、そんなことしないでーーーー、次の人が苛ついてるから早くしてーー)

やっと、強面男性の番になった。
即、『大変お待たせいたしました!いらっしゃいませ!』と言って、男性の申し込みカードを受け取り用意する。

『あなたを拝むと当たるの?』強面男性が渋めの低音でそう言った。
『いえいえ、そんなことはありませんよ!ハハハッ』

すると、カウンターで記入していた男性が、

『そうだよ!このお姉さんを拝むと当たるんだよ!ワハハッ』などと言うではないか!

(は?おじさーん、なに言っちゃってんの?
おじさんとは初対面じゃん、このお客さん、待たされてイライラしてんだから、空気読んでよーー)

『すみません、大変お待たせいたしました』トレーを差し出す。
強面おじさんが『じゃあ俺も拝んでおくか!』と言ってパンパンと手を叩いて私を拝んだ。

予想外の展開に、ホッとすると同時に笑ってしまう。
『いやいやいや、やめてください、ほんとに、そーゆうのないですから!』

カウンターのおじさんにも『変なこと言わないで下さいよ〜』と言って一気に場が和む。

強面男性の次に並んでいた若い女性までもが『じゃあ私もあやかりますね!』と言ってパンパンと手を叩いて拝んでくる。

『いやいやいや、ほんとに、困りますって!』

締めはカウンターに居た男性。
『じゃ、俺もだな』と言って、姿勢を正し、手を合わせ、豪快に笑った。

たまたま、ノリのいい人達が居合わせたおもしろい時間でした。

世知辛い世の中でも、人と人とのコミュニケーション、楽しいことってありますよね!

と言う程の大袈裟なことでもない話しですが、読んでいただきまして、ありがとうございます。

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