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楽観主義者はよく生きる。

▼ 文献情報 と 抄録和訳

楽観主義と85歳以降の長寿

Jacobs JM, Maaravi Y, Stessman J. Optimism and Longevity Beyond Age 85. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2021 Sep 13;76(10):1806-1813. 

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 用語定義の共有
Op-Total:楽観主義の合計スコア
Op-Future:サブセットの1つ。将来に関する肯定的な態度、目標、期待を反映したもの
Op-Happy:サブセットの1つ。幸福、笑い、気分などの肯定的な継続的体験を反映したもの

[背景・目的] 楽観主義は、65歳以上の高齢者の健康上のメリットや生存率の向上と関連している。85歳を超えても楽観主義が生存率の向上をもたらすかどうかは、あまり知られていない。我々は、85歳および90歳の時点で楽観的であることが生存率の向上と関連するという仮説を検証する。

[方法] Jerusalem Longitudinal Study(1990年~2020年)では、1920年~1921年に生まれた代表的な地域サンプルを対象に、85歳(n = 1096)と90歳(n = 533)の時点で、併存疾患、うつ病、認知、社会的・機能的状態、および5年後の死亡率を評価した。全体的な楽観主義(Op-Total)は、高齢者の主観的ウェルビーイング尺度(Scale of Subjective Wellbeing for Older Persons)から検証された7項目のスコアを用いて測定した。また、ポジティブな将来への期待に関する4つの質問(Op-Future)とポジティブな経験に関する3つの質問(Op-Happy)を別々に分析した。調整前の死亡ハザード比を求め、さらに性別、経済的困難度、配偶者の有無、教育状況、日常生活動作の依存度、身体活動、糖尿病、高血圧、虚血性心疾患、認知機能障害、うつ病を調整した。

[結果] 85~90歳と90~95歳の間に、それぞれ33.2%(364/1096)と44.3%(236/533)の人が死亡した。すべての平均楽観度スコアは85歳から90歳にかけて低下し、男性は全体を通して女性よりも有意に楽観度が高かった。

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✅ 図1. Op-totalは 85 歳から 90 歳の間に低下し、「Op-Future」の低下が最も大きかった。男性と女性で同様の傾向が見られたが、すべての測定時点で男性のスコアが女性よりも有意に高くなった。

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✅ 図2. 85歳の時点で楽観度(性別で調整)が最も低かった被験者は、Kaplan-Meier生存曲線(図2)に示されているように、85〜90歳(log rank p < .0001)および90〜95歳(log rank p < .0001)の死亡率がそれぞれ有意に高かった。

85歳と90歳の楽観度(Op-Total、Op-Future、Op-Happy)は、無調整モデルと調整モデルの両方において、それぞれ85歳から90歳、90歳から95歳までの5年生存率の向上と有意に関連していた。この結果は、うつ病患者、認知機能障害者、ベースラインから6ヵ月以内に死亡した患者を除外しても変わらなかった。

[結論] これらの結果は、年齢が上がっても、楽観的であることは生存率を高めるという仮説を支持するものである。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

恐ろしくも興味深い話がある。

✅ 5歳のときの予言通り、43歳で亡くなった女性 [BMJ掲載 >>> doi]
「あなたは43歳で死にます」と、予言者は告げた。
それは、予告を受けた本人がまだ5歳のころで、38年も先のことだった。
その後、その少女は、その恐ろしい予言を心に抱いたまま成長し、そして、43歳の誕生日の1週間後に死んだ。
これは『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に報告された実例だ。

ひとの「気」というのは、捨て置けない影響を身体に与える。
この「ノセボ効果」の威力は、大きい!!!、と臨床現場で感じ続けている。
何を信じるか、その舵はいつだって、自分自身が握っている。
人生の終盤、その舵取りの技術が生死をも分ける、のかもしれない。

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