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リンクスランドをめぐる冒険Vol.30+1 ホープマン・ゴルフ・クラブ おまけ


ホープマン・ゴルフ・クラブで私の前に4人組の男性が回っている、と書いた。
おまけはその話。

4人は私より若い人から明らかに年上の人もいたけれど、とても仲が良さそうでスタート前から笑い声が絶えなかった。
服装はバラバラ。ゴルフウェアにしっかりレインジャケットを着ている人もいればバミューダ・ショーツの人もいる。
それぞれが、自分のスタンダードを守っている感じだ。
たぶん、ここのメンバーなんだろう。
4人ともプレーが速く、かなり上手。

私はゲストでコースは初見、とはいえ、所詮は1人。
ゆっくりプレーしているつもりでも、すぐに追いついてしまう。
最初は挨拶をする程度だったが、そのうち4人組が話しかけてきた。
「どこから来たんだい?」
「日本から」
「そりゃ遠いな」
「私もそう思う」
と返したら4人がゲラゲラ笑った。
確かに日本からスコットランドの北、ホープマンまでは遠い。
けれど、彼らから見たら、日本でもベネズエラでもリヒテンシュタインでも「そりゃ遠い」国だと思うだろう。
いや、ホープマンの隣町でも「そりゃ遠い」と思うかもしれない。
「楽しんでいるかい?」
「ええ、もちろん」
この会話も、かなり慣れてきた。
ローカルなゴルフコースではスターターが必ず「楽しんできて」あるいは「楽しめたかい?」と話しかけてくるし、コース内でも見知らぬプレーヤー同士がすれ違う時でもこのように声をかけてくる。
ほんの僅かの会話なのに心が和むのは、よほど日本で未経験なことだからか。

「また明日も来るんだろ?」
誰かが、言った。
また明日も来いよ、と言っているような気がした。
私はメンバーでもない、英語もロクに話せもしない日本人。
なのに、十年来の仲間のように話しかけてくれた。
それが嬉しかった。
一瞬、ホープマンに留まって1週間ぐらいここに通おうか、と思ったくらいだ。

けれど、私はその問いかけに応えることができなかった。
旅は続けなければならない。
私はサムズアップ(拳を握り、親指を立てるサイン)して、心の中で呟いた。

いつかまた、どこかのフェアウェイで会いましょう。

続く

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