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社内でのイノベーション創出機会の喪失

昨今のコロナウイルスの影響によって、信じられないスピードでテレワークの普及が進められています。ワークライフバランスの改善や通勤時間の短縮など、被雇用者(会社員)のメリットは実に大きいと思います。しかし、あまりフォーカスされていない雇用者(会社)にとってのデメリットを考えてみました。そして、そのデメリットから考えられる、これからの仕事術とは一体何でしょうか。

┃1部署1フロア制からの脱却

2000年代になるまで、多くの会社が採用していたオフィス構造の一つが「1部署1フロア」だと思います。例えば、研究開発部門は○○階、マーケティング部門は○○階といったように、フロアや区画で大きく分けられていました。

しかし、時代の変化と共に、この構造の不具合が露見し始めます。

部門・部署を跨いでの交流が少ないため、シナジー(相乗効果)が生じないという問題が明らかになりました。いわゆるイノベーションを創出する機会が生じにくい構造であったと言えます。

(2000年代以前は、イノベーションより効率的な量産が求められていたので、当時の1部署1フロア制は間違った方法ではありません。)

これに気づいた経営者の多くは、製品開発に関係する部門をワンフロアに集約することでこの問題を解決してきました。「マーケットのニーズを開発部門に伝え、開発部の技術を製造部に伝える」といった部門間やり取りのスピード化に成功しました。

具体的な例として、アキレス株式会社様を挙げさせていただきます。先日、テレビ東京「カンブリア宮殿」で紹介されていました。


┃リモートワークによる交流機会の喪失

部署間の垣根を撤廃することに成功してきた会社は、今回のリモートワークの潮流に対してどのようなアクションを取るのでしょうか。

リモートワークの浸透に伴って、オフィスにいる社員は減少し、これまで推進してきた闊達な部署間交流のメリットは薄れてしまいます。もちろん、1週間に数度は出社するといったルールはあるかと思いますが、お互いが出社している時間は減少する傾向にあるでしょう。

リモートワークによる弊害は、社内交流機会の喪失ではないでしょうか。テレビ会議システムやチャット機能の活用でカバーできるものは、既知の同僚間での交流に留まる可能性が高いと思っています。新しい人との交流(意見交換)にはそれなりの心理的ハードルがあるため、強い必要性が生じない限り、面識のない同僚とコンタクトを取る人が減る恐れがあります。


┃新しい働き方への提言

冒頭でも述べたように、テレワークの推進によって大きな恩恵を受けている被雇用者(会社員)が多いことは素晴らしいことです。しかし、雇用者(会社)のメリットを守らなければ、雇用や賃金が維持できなくなる可能性があります。

私は、二つの新しい制度の導入が考えられると思っています。

雇用者(会社)のメリットになる二つの制度
 1. 社内オープンチャットの運用
 2. 社内副業制度

1. 社内オープンチャットの運用
これはテレワークで失われそうな、社内コミュニケーションの維持を目的としています。趣味や目標などを共有できるメンバーとのコミュニケーションの場を用意することで、これまでオフィスで行われていたような部署横断的な交流を可能にできるのではないでしょうか。

2. 社内副業制度
別の部署で、バイトレベルの比較的簡単な仕事を携わることによって、社内での人間関係を広げることが出来ます。ここでの副業の形態は色々考えられます。一時的な人員補充という方法も一つですし、就業時間後の2時間を別部署で働くことでもいいかもしれません。ここでの目的は社内交流です。


┃これからの仕事術

制度の完成は個人の行動に対して遅い場合がほとんどです。このリモート化による弊害が拡大する前に、個人で行動する必要があるのではないでしょうか。

これから求められる仕事術は、リモート化によって失われる効果をカバーする仕事術だと思います。

リモート化で失われた部署間をつなぐ役割を担う人材は、これまで以上に重宝される可能性があると思います。社内協業で生み出してきたイノベーションを止めない為にも、リモートワークに負けず、積極的に社内交流を進めていきましょう。


┃まとめ

この度のリモートワークの推進は、被雇用者(社員)にとってメリットが大きいと思います。被雇用者(会社)としては、オフィスのテナント料削減などは可能でしょうが、事業推進へのメリットは小さいのではないでしょうか。

社内のコミュニケーションから生まれていたイノベーションは、このリモートワーク化の中で失われてしまうかもしれません。私の思う仕事術は、失われるコミュニケーションをカバーする社内交流です。

制度改革を待つのではなく、予見される弊害を見越して行動できるビジネスマンになりたいと思います。

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