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会話をしている。5月10日(金)

――― 二人の少年が長机を挟み、椅子に座りながら向かい合い、正反対の言葉を口にした。


(柳之助『バケモノのきみに告ぐ、』より抜粋。)



1.小説作品の観察

文章の収集をしています。小説のある箇所を気に入ったら、ノートに書き出して文章をコレクションするのです。

その後、じっくりとその箇所を読んでみます。
すると、自分にはない表現があることに気が付く。
そして、自分が表現するとしたらどう書くかを想像します。

僕はこういった行為を「小説を観察する」と言ってます。


2.作品からの抜粋

冒頭に書かれた場面はノーマン・ヘイミッシュという少年が、ジムと呼ばれる少年に審問を受けています。

ぼくはこの話を読み始めたばかりなので、この情報だけを提示します。
気になる方はぜひ、本を手に取って読んでみてください。

3.この文の凄いと思うところ

「言葉を口にした」という表現が会話をしている様子だと伝わります。

シーンを分けると、こうなります。


1.机が置かれている。
2.ジムがノーマンに向いている。
3.ノーマンがジムに向いている。
4.読者は二人が椅子に座っている腰から下の部分を見ている。二人はしゃべっている。

以上のことをすると、ぼくだったら違った書き方になります。


4.「こわきすすむ」だったら、こう書く


長机が置かれている。二人の少年が向き合っている。
ひとりの少年、ジムを前にしてもうひとりの少年、ノーマンがいる。
二人は正反対の感情を剥き出しにしていた。


こんな感じになります。
作り手(ぼく)の頭の中には、緊迫感のあるシーンに感じています。
しかし、


いや・・・・・・二人は見ているだけで、しゃべってないじゃん。
口にしているのかさえ、分からないよ。

そのように、感じませんか?


このことから言えるのは、
会話をしているように見せるには、「感情を剥きだし」では伝わりません。

アニメや、マンガは絵があって、表情が描かれます。言葉が書かれていなくても何かを言っているのは伝わると思います。

しかし文章の表現では、会話をしていると分かるような言葉がないと、分からないですね。

5.結論


まとめると、僕の今回の書き方では会話をしているというのが伝わりません。

もう少し、会話らしい言葉が必要のようです。

そんな事になります。


以上、今日の発見でした。
ではまた。

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