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かんじるブラジル(日記2018)

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ブラジル留学の日々。 パラナ州クリチバは、雨と公園の多い街。 予想してたブラジルとはちょっと違う、このまちの空気を感じたままに。
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#エッセイ

 君と会っている間は、想像のなかでなく現実にそこに君がいる間は、昔の私に戻れる気がする。だから私は君に会いに行った。水分を重たく含んだ空気と、質量をもっているような濃い青空。  空港で見た彼は、へんな髪形だった。パイナップル、の出来損ないみたいな。へんちくりんな髪形に懐かしさがこみあげた。なんかずれてるんだ、相変わらず。彼は変わらず、想像の八割ほどのおおきさしかないから、その二割分、私は空気を抱きしめた。四か月ぶりの温度と匂い。細い背中。  軽トラに乗りこんで、さっきまで

島 2

夜になった。火をおこす。さっき拾ったいろいろな大きさの木片が、今は火になっている。大きいの小さいの、ぐねぐねしたのまっすぐなの、木片にはいろいろあった。日中、強く照り付ける太陽のエネルギーが木に溜め込まれて、それが燃やされ、ゆらめく光を発している。上へ上へと向かうのではなくて、とぐろをまき悶え、上ったかと思えば横に広がる。その熱が私と君を温める。  やたら暑かった。たき火にあたっていたせいもあるし、島の空気の熱さもあるし、お酒を飲んでいたせいもある。梅酒。ビール。素晴らしく

【自分に手紙を書こう】心がよわった一人の夜の過ごし方。

こころが時々、よわる。 いや、もともとセンチメンタルなほうで、わりにいつも、胸のどこかにすぅすぅする感じを抱えている。 先週のある夜もそうだった。 なんだか気温が低いのもあって、なんだかものがなしい。 ふとんにくるまって読み途中のエッセイや、ちょっと前の日記をぱらぱらとめくったりしていた。 恋人はバイトだし、寮の人たちは帰省シーズンでほとんどいない。 家自体にすきまかぜが吹いているようだ。 そんなときにスクランブル交差点を眺めるように、ツイッターを眺めていた。

12/15 ユバ農場3日目 台所仕事の日

サンパウロ郊外にある、ほぼ自給自足の日系コミュニティ「ユバ」に行った話です。 * 6:30 起床。 7:30 畑仕事。ネギの収穫、パセリの収穫と剪定、つぼニラの収穫。 9:00 台所仕事。この数日で玉ねぎのみじん切りが上達した。 11:30 昼食。自家製の納豆が出る。小学生のときから納豆が死ぬほど苦手。一度友人が作った納豆オムレツをうっかり食べてしまい「みほが怒ってるの初めて見た」と言われたほどだったのだが、あんまり粘りがなさそうだったので食べてみる。日本のものより

眠り

眠りに寛容な家庭で育った。 母は朝起きれない人で、大昔は確かに朝起きていたと思うのだが、中学生頃からの記憶ではたしか、まだ寝ている彼女に「いってきます」と言って家を出ていた。休みの日は、昼過ぎまで寝ているので心配になるほどだった。今も、どれだけ昼寝をしても夜はことんと寝る。 父は仕事柄、年柄年中いつも時差ぼけしている。していなくても、テニスに行ってから仕事にいくからと4時に起きていたり、かと思えば仕事先の時間にあわせるからと昼からしっかり寝て夜7時ごろ仕事に出たりしていた

【DAYS】夢日記:水辺

また、気持ちのいい夢ををみた。 また、水の感覚だった。 * 緑の多い公園。 強い日差し。 肌にまとわりつく、湿った空気。 背の高い草をかき分けていくと、女の子が水浴びをしていた。 まあるい日差しの中、しずくを滴らせてとてもきれいだった。 私もそこに近づいて、冷たい水にからだを浸した。 * 河のような人になりたいと思う。 絶えず流れ、静かにみえるのに一時として同じではない。 透明で底に手が届きそうなのに、入ってみるといつまでも底につかない。 四国を家族で旅行した

【エッセイ】土地の記憶

ふと、考えてしまった。 どうして私はブラジルにいるのだろう、と。 「なんでブラジルに来たの?」 「なんでポルトガル語をしてるの?」 よく聞かれる。 決まってこう答える。 「ポルトガル語を始めたのは、大学受験でスペイン語科に落ちたから。スペイン語を志望したのは高校時代にパラグアイに留学していたからで、そのときはなんとなく、マイナーなところに行きたくて。」 「人類学ゼミで、卒論でブラジルでの日系新宗教の拡大について書いたんだ。それで日系社会に興味がわいて、ギャップイヤーも

11/22 Thu. 食欲と権力

ぬるっと8時頃起きて、朝食、パラグアイのお母さんがお土産に持たせてくれたグアバジャムと、バターをトーストに塗って食べる。トーストは結構しっかり目に焼くのが好き。 午前中、ヤノマミの人々のコスモロジーについての発表資料作り。昼食を挟んで午後も続行。 がっつりしたものが食べたくなって、夜ごはんは鶏もも肉と白菜を、バターとにんにくて炒めて味噌で味付け。どんぶりにして食べた。白菜って炒め物にしてもおいしいんだね。いつも鍋ばかりなので知らなかった。 早めの夕食後は、女性に特有の精

人の国の文化に意見すること

久々にただの日常。 起きて、台所に降りて珈琲を淹れる。ブラックで飲むのがおいしい。終わってしまって残念。次は別のが用意してある。 思っいきり水回りを掃除して、すっきり。ずっと気になっていだのだ。 頭のどこかに気になっていることがあると、パソコンの頻繁にポップアップされる「Windows10にアップデートしませんか?」みたいな感じで、非常にわずらわしい。忘れたことにふと思い出して気が散るので、さくっとやるにかぎる。 「インディオのコスモロジー」プレゼンづくりに格闘。たの

【エッセイ】したたるしる

もくもくと、りんごをかじる。 りんごをかじる音は「もくもく」がふさわしい気がするのはなんでだろう、と思ったら、心当たりを見つけた。 中学生のときに大好きだったイラストレーターさんのエッセイに確かそう書いてあったのだ、りんごをもくもくたべる、と。それは確か青りんごだったのだけれど。 そのイラストレーターさんというのは、おおたうにさんという方。ませた中学生だった私の映画の趣味は彼女の影響によるところが大きい。 * 果物をかじる。 そう聞いて思い出す、物語のシーンがいく

【DAYS】8/14:大学芋の終わり、ゼリーの始まり

6:45 起床。寝足りない。台所に降りて、オムレツを作る。 私の朝ごはんはいまいち定番化しない。毎日アレンジを楽しんでいるわけでもなく、出されるパンがおいしくないので食べたくない、というかパン自体がどうも合わないきがする、しかしグルテンフリーパンは高いなあ。という妥協と優柔不断によるものである。おいしい米粉パンを自分で作ればいいんだが、オーブンの使い方がわからない。でも、わからないからやらないって、なんか嫌だね。 日本にいたときはこめひろの米粉パンが大好きだった。 8:

【DAYS】「ほっとき愛」

6時半に飛び起きる。 とりあえず台所に降りて、珈琲を飲む。本当はお茶のほうが胃に優しいんだろうな〜と思いつつ、いつもどおり牛乳をいれてカフェオレ。牛乳多めが好きなのだが、かならずお腹を壊すのでひかえめで。。。 部屋に戻って着替えて、歯を磨いて眉毛をかいて大学へ。 新しく寮にはいった女の子と道案内がてら一緒に。 つめたい、ふゆにもどったような空気。 インディオのコスモロジーについての授業。 お昼の学食はミートソースパスタだった。 午後、ダンスの授業。冬休みの間はス

【DAYS】大学芋が上手くできた日

久しぶりにオチのない日記です。 朝起きたら恋人がベッドにいた。夜遅くバイトから帰ってきてもぐりこんだらしい。全然覚えていない。 朝ごはんを食べに台所に降りる。今日はお手伝いさんがサボりらしく、いつもポットに入ってる珈琲とお茶がなかったので、自分たちで沸かす。パンにDoce de Leiteを塗って食べる、キャラメルクリームみたいなやつ。 部屋の掃除をした後、久々に走りに行く。4日ぶりくらい。曇りで少し肌寒いけど、走ると暑くなるのでちょうどいい。 公園まで行って、ぼーっ