サンシャイン 坂田光

「サンシャイン」というお笑いコンビを組んでいます。小さい頃夢見た、芸人の真っ只中。思い…

サンシャイン 坂田光

「サンシャイン」というお笑いコンビを組んでいます。小さい頃夢見た、芸人の真っ只中。思いの丈は全部、ここに書いていきたいと思います。あなたの心臓めがけて。

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僕たちのキングオブコント

音楽を止めて窓を開けた。窓の外からは少し肌寒い風と、途切れ途切れコオロギの鳴き声が流れてくる。 さっきまでの風や雨の轟音は落ち着いたようで。 地球史上最大の台風の爪痕は凄まじくて、夜が明けても、まだなお安心できない地域の方や、避難してる方を思うと胸が痛む。 予定されていた現実は、日本中でキャンセルが相次ぎ、代わりに用意された現実に、皆が皆、不安な長い夜を過ごしてる。あいにく、自分の住んでる街はピークを過ぎたような気がして。出来ることと言えば、そんな夜を少しでも柔らかく、

    • もしも君が家出したならば

      10月は2回も福岡に帰った。年に一回、観光大使をやらせてもらってる地元みやま市のお祭りでしか帰らないから、これは異例の大事態。 一つは弟の結婚式。もう一つは、地元みやま市を舞台にした映画の試写会。どちらも完全なる人生に刻まれる大事態、大メモリー。 弟である坂田家の三男、望の結婚式は、まさかの、いやもうそれは覚悟の上の、余興も頼まれるという大事態。大仕事。大プレッシャー。相方のぶきよも同席し、余興で漫才をすることに。もう普通に僕の両親の還暦祝いも、地元の中学の友達との呑み会も

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      • ポニーテールが宙を舞った

        僕の部屋の窓はひとつしかない。ベランダに繋がる掃き出し窓。窓を開ければギリギリ洗濯物を干せる程度のか細い隙間から、向かいのマンションが見える。閑静どころか、法律で夜12時を過ぎて息してたら罰せられるのかと思うほどに、灯と音が消えるこの街で。向かいの微かなマンションの通路の灯りが、この街で夜ふかししてるのは自分だけじゃないかと毎度思う。 残暑どころか真夏のピークが未だ鳴り止まない猛暑の気だるさが、室内の文明の利器による涼しさが、狭間の36.5℃をバグらせる。季節の隙間で、下手

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        • 熱いぜ、幕張コントリーグ!!

          君は幕張コントリーグを知ってるか? 幕張イオンモール劇場を舞台に、年間を通して計4チームで行われるコントのリーグ戦。チームはキャプテンを中心にドラフト会議を経て、この四つに分けられる。 <倶楽部パフェTOKYO> サンシャイン(キャプテン) 男性ブランコ レインボー しずる そいつどいつ インポッシブル 5GAP <チョマ高橋のパープルフラミンゴ> ななまがり(キャプテン) ビスケットブラザーズ うるとらブギーズ オダウエダ さや香 守谷日和 ダンビラムーチョ <ぷる

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        僕たちのキングオブコント

          四季折々の海老

          金木犀の香り、動かないクーラー、あの娘が着なくなったワンピース。秋を感じる現象や事象は人それぞれで。秋の訪れはいつも突然で。あんなに嫌われた残暑はいつも突然いなくなる。こんな急には違うじゃんと、住むところが違えば各々の方言で、各々のリズムで、好きに寂しさをぶつける僕たちは。いつだって勝手でわがままだ。 僕が明確に季節が変わったのを感じる時は 「春の海老、夏の海老、秋の海老、冬の海老、四季折々の海老エビえびでーす」 のぶきよがこのギャグをやる時だ。このギャグは季節の変わり

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          四季折々の海老

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          最後の花火は今年も見れなかった

          深夜2時。煙草を買いにコンビニに行った。Tシャツとパンツ1枚だったから、韓国旅行で500円で買った、ただただとびきり派手な薄皮1枚のようなスパッツを穿いて、鍵を閉めずに家を出た。 別に吸わなくてもいい、普段吸わない煙草を買いに行く必要なんて全くないけれど、なんとなく気分転換の理由に、おれは街に煙草を買いに行くんだと、エモめにキモめに心の尻を叩いた。 今週号のジャンプとヤンマガを少しだけ立ち読みして、おいおい、もうバチバチにタトゥー入ってるギャルが表紙のグラビアやってんじゃ

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          最後の花火は今年も見れなかった

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          「地球最後の日、僕がシフト代わってあげるね」

          例年より今年は大幅に梅雨入りが遅いみたいで、雨は降れど今日は昼間には炎天下だった。まるで梅雨明けのように夏の温度が少しだけ近づいて、それはそれで毎年の如く真夏は緊張する心と身体になっちゃったから、もうちょっとだけ、もうちょっとだけこの隙間の季節を楽しませてくれよ。そう心で唱えて、寝ぼけまなこで公園へ向かう。 朝に起きて走るはずだったけど案の定三度寝して、最高気温の炎天下の公園を駆け抜けた。買ったばかりのバケハには後ろがメッシュになっていて、それはもう快適で、今年こそは夏フェス

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          「地球最後の日、僕がシフト代わってあげるね」

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          愛以外引っ込んでろよ

          身体の筋肉痛がいつまでもとれない。呪いのように寝ても覚めてもびっちりとまとわりつく。3日前にやった芸人草野球でのダメージが草じゃ毎度済まない。劇場であの日野球をした芸人みんなに聞いて、百発百中でみんな呪いを背負ってた。全ては等価交換。1人200円で味わう大娯楽の代償は、あまりにも長くて、あまりにも嫌じゃない。ただ痛いだけだ。それでもあんなに笑って楽しんで200円は安すぎるよ。酒やパチンコや競馬やTVゲーム。全ての娯楽で草野球が一位になった時、それは世界が平和になった時。みんな

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          愛以外引っ込んでろよ

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          この国の朝は

          オレンジの薄灯りが部屋を包む。隣からは母親の寝息が微かに聴こえて、暖房は静かに歌い続ける。街は寝静まり日々は薄く重なりあってく。 「おつかれ生です」音を立てないように流し込んだ。心のガッキーに乾杯の音頭をもらい、アサヒ生ビールのマルエフがまろやかに身体に沁みわたる。肴のセロリの酢漬けを出来るだけ音が鳴らないように、口の中で繊維を揉みに揉みほどく。新鮮さの醍醐味であるシャキシャキ感を殺すという背徳感が晩酌を加速する。もう背徳感を肴に呑む程になってしまった。俺はもう背徳感で呑む

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          大優勝の夜に

          「あれがオリオン座だぞ」 月がとても綺麗な夜に、夜がとても大きかった隙間に、またしてもあの名言が聴けた。今や語り草となっている、ダイタク大さんがトニーフランクに言った伝説の名言。トニーが曲まで作ったこの名言をまたしても聴けるほどに、星が綺麗に見える澄み切った夜に、僕らは公園で呑んだ。大さんとダンビラムーチョ原田と男気サトシと僕の4人。さっきまで一緒に呑んでたトニーは珍しく終電で帰って、もはや大さんは5件目だと言ってたけどなんのその。ラストに公園で一本だけだぞと言い3本呑んだ

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          人生はコント

          今日はとことん呑もうと決めたのに、全然酔ってない。今日はもう、本当に。今年一年の全てを労って、頑張ったね。頑張ったじゃないか。君はとても頑張ったぜ、胸張れよ。最高だったよ。そう言って慰めて褒めてあげたかったのに、全然酔ってない。寿司にステーキに酒に全部やって、抱きしめてあげたかったのに、1ミリも酔えていない。 新宿での最後のライブが終わり、居酒屋でも焼肉で寿司屋でも駆け込めたけど、地元のスーパーで寿司とステーキと酒をたらふく買った方が我が家でこの世の全ての至福を味わえるぞと

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          夏がそうさせた

          今日は免許更新に行く予定だった。高校卒業して18歳の最後の春休み、友達みんなで地元の自動車学校で取った。ちなみに福岡じゃ車校というのが当たり前だけど、こっちで教習所というのが普通らしくて、車校つっても全く伝わらなくて。地方の違いがこんなところにも出るんだな。マックとマクド。絆創膏にリバテープ。ちなみにちなみに福岡じゃマックとリバテープ。東北の方はまた違うのかな。 その免許更新も、車とは無縁のトーキョー若手スタイルな為、車に乗ることなんて年に1回あるかないかで。しかもちょうど

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          最高だけじゃつまんねえよ

          いつのまにかソファで寝落ちしてて、寝巻きのまま駅前の閉店間近のスーパーに駆け込んだ。並んでる野菜や果物の生産地を見るのが好きで。この苺はあいつの出身地、このほうれん草はあの娘の出身地、この玉ねぎは好きなバンドマンの出身地。このマスカットはチリ産まれ。流石にチリ生まれの知り合いはいないなぁ。お酒なんかもたまに銘柄より友達の出身地で選んだりする。なんか勝手にそいつの地元に遊びに行けた気がしてほんのり嬉しいから。このほんのりが小鉢くらいのほんのりが今夜の晩酌を彩る。ありがとう、友達

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          梅の花が綺麗だと言う

          まだダンボールが積まれた未完成の部屋にはサボテンの花が流れてる。昨日と今日の間に、夜と朝の隙間に。ほんの小さな出来事に愛は傷ついたなぁ。そんなことを思っては、出来るだけ薄めたお湯の芋割りを身体に流し込む。酔っ払うにはもったいない。目の前にノートを開いて、今度の単独ライブのことを考えてる。無意識に思いつくまま書き殴った言葉たちの中で「闇鍋」の言葉に丸をつけていた。空腹よりも刺激が欲しいのか、意味不の極み。僕は普通に美味しいもつ鍋を食べたい。気づけば次の曲に流れてた。やさしすぎる

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          梅の花が綺麗だと言う

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          掌が燃えている

          2021年3月6日。芸人仲間5人でやってるユニット「コント犬」の本公演初日に向けて僕は有楽町の劇場に向かっていた。電車が駅に着し、改札までの階段を降りる途中、母親から電話があった。 「たった今、ばあちゃんが亡くなったよ」 テレビ電話に切り替えてもらって、ばあちゃんの顔を見た。安らかな寝顔に、言葉が全然出てこなくて、ありがとうもお疲れ様もなんも言えんくて、うん、うん、と頷いた。体調が悪くなっていたのも聞いていたから、たまにテレビ電話で話してたけど、この1、2日で急に体調が悪

          恋する日々

          朝9時に劇場に入る。普通のネタ出番でこの入りの早さは異例も異例。納得出来るのは今日が12月31日。大みそか。全国津々浦々、吉本の劇場は朝からフル回転。2021年が終わるその日、しっかり劇場の出番があって、お客さんの前でネタが出来る幸せを噛みしめる。眠い目を擦り、いつものように挨拶をして芸人と話して準備をして、ネタをする。 今日の出番はネタ寄席、ショートネタ寄席、ニセムゲ、ムゲカラ。ニセムゲといういつものレギュラーライブのニセモノバージョン。最大茶番ライブが有り余るほど最高で