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大優勝の夜に


「あれがオリオン座だぞ」

月がとても綺麗な夜に、夜がとても大きかった隙間に、またしてもあの名言が聴けた。今や語り草となっている、ダイタク大さんがトニーフランクに言った伝説の名言。トニーが曲まで作ったこの名言をまたしても聴けるほどに、星が綺麗に見える澄み切った夜に、僕らは公園で呑んだ。大さんとダンビラムーチョ原田と男気サトシと僕の4人。さっきまで一緒に呑んでたトニーは珍しく終電で帰って、もはや大さんは5件目だと言ってたけどなんのその。ラストに公園で一本だけだぞと言い3本呑んだ。やっぱり僕らはいつも呑、、、


男気サトシ?


、、、、、男気サトシ???


ありがとう。貴方が合ってる。リアクションはそれで大正解。

福岡吉本出身で最近東京に出てきたピン芸人、男気サトシ。5年目の男気サトシ。トニー経由で原田が出会い、もはやフニャオ軍団の1人でもある男気サトシ。坂田と同じ福岡出身で良いやつがいるんだよと原田から話を聞いてたから、ずっと会いたいと思っててようやく会えた。


全然思ってたイメージと違った。男気サトシなんて名前だから、屈強な九州男子。長渕剛みたいな感じか、もしくはラグビー芸人しんやみたいなガタイがめちゃくちゃ良い体育会系だと勝手に思ってたら、めっちゃちっちゃい細い明るい田原俊彦だった。むしろ吉本マッチョ部でお馴染み、にしだっくすさんそっくりだった。顔がもうトシちゃんとにしだっくすさん足して2で割って、プロテインかけたら、にしだっくすさんだった。


中々5年目の後輩と呑むことも無くなったから嬉しくて、現状や諸々の話を聞きながら立ち飲み屋でしこたま呑んで、そこから公園で一杯。大さんも初めてだったらしく、色々とお笑いや仕事の話もして、なんならノリでneedsくらい深夜の公園でくだりをやりまくり、


「そうじゃねえ、そこはもっかいかぶせろ、天丼だろそこは!!」


大さんによる魁!笑い塾が始まり、男気サトシが本物の漢になっていく過程でみんなで呑んだ。30半ばを超えても、月が綺麗だなと公園でお笑いを肴に呑む酒は美味い。オリオン座はトロンと溶けて優しく光ってた。


次の日に原田に聞いたら、あの後サトシと2人でもう一件行ったみたいで。好きだよな本当にあいつらも。そこで「悔しい、もっと頑張らなきゃ、何してんだ俺は!」とサトシが泣いたらしい。僕は楽屋でそれを聞いてめちゃくちゃ笑った。馬鹿にしてとかじゃなくて、嬉しくて笑ってしまった。




現実は、本当のことはいつだって厳しい。それても受け止めて傷ついて乗り越えて、やるしかない。東京に来たんだ。東京に来たんだよ。意を決して。想うものを持って。東京に来たんだ。悔しくなくなったら終わりだ。俺たちはバイトしに来たのか。そうじゃねえだろ。俺たちは、戦いに来たんだ。


男気サトシの気持ちがあり余るほどにわかって、笑ってしまった。わかりすぎて、めっちゃあるある。あるあるすぎる。そりゃ、あるあるネタがウケるの分かるよ。共感という名のシンクロ。自分も確かに歩んだ感情と、今なお歩み続けてる感情に、グッときて笑ってしまった。月はどこまでも照らしていて、夜が明るい。眩しいくらいにその夜は明るいのだ。



今年もキングオブコントの王者が決まった。決勝は去年と同様、ニューヨークの嶋佐さん家で。去年はレインボー池田と作家の日高くんと4人でモツ鍋を食べながら観た。放送開始の19時まで大宮でライブ。


ですよ。さんの単独トークライブ。ゲストは僕らサンシャインの2人だけ。なんでだよ。なんでだよ案件ですよ。しかしそれはもうですよ。さんの生い立ち、人生が面白すぎてもはや賞レース優勝レベルのエピソードが聞けて大満足ライブだったけど。電車移動の中、ほぼスマホでTVerでちょいちょいしか見れなかったけど、今年はしっかり最初から観れた。

 

夕方くらいに19時ちょい過ぎるから先家で呑んでて!と嶋佐さんからLINE。18:40時点でお笑いの日のベストワンで生放送で漫才していた。いや絶対間に合わねえだろと全自分が総ツッコミしたけど、結果とんでもないスピードで嶋佐さんが帰ってきた。ぶっ飛ばして帰ってきたらしく、さっきテレビで生放送で観てた人とすぐにモツ鍋食べた。もう10年以上の付き合いで可愛がってもらって、お互い全く変わってないからバグってたけど、いや改めて、めちゃくちゃ売れてるやんニューヨークさん。普通にリンカーンの後継番組ジョンソンのレギュラーだし、番宣でも今日一日めちゃくちゃ出てたし。いやめちゃくちゃ売れてるやん。いかついなまじ。


そして今年は、男性ブランコ平井、そいつどいつ松本、コットンきょんも来て、大所帯鑑賞会になった。みんなゴリゴリに当事者だし、戦いの真っ只中で、想う気持ちはそれぞれあったと思うけど、鍋を囲んでみんなで観た。決勝の10組もずっと一緒にやってきた、ずっと一緒にもがいてきた先輩や後輩の仲間たちで。不思議な気持ちで固唾を呑んでワクワクした。


オープニング。信じられないぐらいかっこいい。昨年に続き梅田サイファーさんのファイナリスト紹介ラップからはじまり、凛とした顔で皆が歩き、最後のや団さんが走る。ラップが連なり重なって最高潮で今年は三浦大知さんがサビを歌いあげる。ラストシーン、誰かを蹴落として上がったり、掴み取るのではなく、全員がキングオブコントというとんでもなくでかい壁を、頂きを、怪物を倒そうと見上げる。テレビで観ていた僕ら全員、うおおぉー!!と声を上げてしまった。弾けるほどの鼓舞。漫画のキングダムだったら完全に全員の士気が上がった。この流れで、突然ー!!!と三浦さんに言われたらこのまま全員みんなリビング飛び出して、TBSまで走るところだった。


そしてコントがはじまる。今年のトップバッターはカゲヤマさん。いきなりとんでもないウケ。ライブでは客席が何度も爆発したのを観たことあったけど、生放送のこの大舞台でも圧巻のウケ。素晴らしいよ。そしてそこから2番手のニッ社さんも大爆発。準々決勝じゃ僕らの後にニッ社さんがこのネタをしててとんでもなくウケてて、僕らは完全に呑まれてくらっちゃったけど、決勝でもこのネタは案の定、大爆発。本当にネタ中も爆発してたけど、この1.2番でとんでもないインパクトで、それでいて高得点が出て、初っ端から誰にもどうなるかわからない波乱上等の痺れる大会になった。


その後3番手のや団さんも素晴らしく、蛙亭、ジグザグジギーさん、ゼンモンキー、隣人、ファイヤーサンダー、、拮抗したレベルの高いコントが続く。このままトップはカゲヤマさん、ニッ社さんと続くのかと思われた9番目。サルゴリラさん。超爆発。とんでもない高得点が出た。
マジックショーのネタはライブで舞台袖や客席後ろから何度も観させてもらってたが、何度も笑ってしまうめちゃくちゃ面白いネタで。児玉さんの酔拳のような、誰にも出来ない唯一無二のリズムと心地よさで放たれる児玉ワールドをまとったキラーフレーズ。オリジナリティがすぎる。同じ台本でも誰も真似できない、出来やしない。児玉さんのこの感じが伝わってハマったらまじとんでないことなるぞと皆で話してたが、流石の赤羽さんの絶妙なリアクションやツッコミと相まって、会場はとんでもないウケだった。そしてファーストラウンド、トップの点数が出る。思わずみんなで2度目の雄叫び。僕たちはもう合戦の最前線にいた。


この後トリのラブレターズさんもめちゃくちゃ面白いネタで、ライブで生で観て何度も痺れさせてもらっていた。決勝でもめちゃくちゃウケていたが、点数は3位には届かず。決勝はサルゴリラさん、カゲヤマさん、ニッ社さんの3組。


この3組で日本一を賭けて戦うという状況にグッときた。1番手のニッ社さんのネタが終わり、次はカゲヤマさん。カゲヤマさんの2本目が大ウケ。またしてもとんでもない高得点が出た。リビングの僕らも、ええ!まじか!ええ!カゲヤマさんが優勝するかも!あのカゲヤマさんが!マジかよ!やばいやばい!!と直属の1.2期下ばかりの後輩で集まって観てたもんだから、リビングの熱気は最高潮になった。


そしてサルゴリラさんの2本目のネタ。完璧なる魚。ウケすぎて感動した。魚でこんなに感動するなんて。小1の時に初めて小僧寿司のマグロ食べて美味すぎてひっくり返ったのを思い出した。時を経てそのマグロは野球部に入り、滝を登り、竜になった。空を飛ぶ竜を見て、合戦の最中僕らは武器を捨て笑った。圧倒的なものは、全てを超越してくれる。あの時の興奮が蘇り、今僕は何を言ってるか自分でもわからない。それほどに痺れるような瞬間だった。


ウケからいって、もうみんな結果は分かってたかもしれないが、それでも出される点数を祈るような目で観た。


964点。


史上最高得点。


サルゴリラさんが優勝した。僕らは3度目の雄叫びを上げた。なんてかっこいい魚なんだ。優勝はかっこいい。でもこれはもう大優勝。誰も悲しまない、傷つけあわない、悔しさもふき飛ばす、みんなが喜ぶ、みんなが幸せになる、誇らしくなる、大優勝。かっこよすぎる。もはや僕らは空翔けるドラゴンフィッシュに憧れる稚魚だった。本当のドラゴンフィッシュは稚魚ぐらいちっちゃいからややこしい。もういい、そんなのはどうでもいい。感動したんだ。幼馴染で歴代最高齢で歴代最高得点で優勝なんて、なんてかっこいいんだ。サルゴリラさんの優勝直後のコメントで


「20年やってきて、幼馴染で40年やってきて、、多分一生2人でいると思います」

「そうだね、よろしくね」

「うん、よろしくね」


こんな尊いやりとりがあるだろうか。僕がサルゴリラさんのファンだったら一生この動画で酒を呑む。毎日のおやすみBGMにして、夢で魚になって泳ぐだろう。


僕がやりたいのはこの大優勝で。みんなが喜んで、みんなで万歳乾杯できる大優勝。これはもう多幸感の極み。自分がこの立場になった時の、喜んでくれる心臓のみんなを想像しただけで脳汁で溺れそうになる。大丈夫だ、僕は泳げる。日々取り組んでる水泳のおかげでMAX1400mも泳げる。サルゴリラさんの優勝がこんなに嬉しいのはもしかしたら直属の後輩じゃなく、直属の魚だからかもしれない。ダメだ、ネタが面白い魚じゃなく、泳ぎが上手い魚になろうしてる。しかし本当に数年前のキングオブコントのライスさんとしずるさんの決勝一騎打ち、からのライスさんの優勝。楽屋でみんなで観て信じられないぐらい湧いて感動したあの夜をまた味わった。9期は凄い。憧れに憧れた俺たちの9期。次のメトロンズも完売だもんな。ライスさんもしずるさんもめちゃくちゃ面白いし、これからメトロンズもとんでもないところにいっちゃうな。9期ファンの方もたまらんだろうな。囲碁将棋さんのセカンド準優勝も痺れに痺れたし、たまらんよな本当。たまんねえよ。



久しぶりに真夜中の本社にいる。夢中ラジオの生配信を終えて、部屋で悶々とネタを考えている。窓の外からは、1階の教室でおもしろ荘のオーディションを受けているさんさんずの叫び声が聞こえる。奥の部屋ではニューヨークさんがニューラジオをやってる。共有スペースでは若手の作家さんが必死にパソコンに何かを打ち込んでる。大部屋ではスクールゾーン俵山とスカチャンさんがダンスの練習をしてる。小腹が減って近くの富士そばまで行く。月が今夜も綺麗で、花園神社でお参りした。
それをたまたま外に出てた俵山に見られてて「めっちゃ願ってそうだったから声かけられなかったわ笑」と言われて「いや朝までネタ作りサボりませんように。って願ったんだよ」と恥ずかしくて誤魔化した。


半分はあってるけど、本当は「大優勝するコントを作れますように」と願った。大優勝しますようにじゃなく、大優勝するコントを作れますようにと反射的に願ったのは、やっぱりコントが好きなのだろう。でも漫才も好きだし、とにかくネタが好きなんだろう。一生舞台でネタが出来るように、その環境にずっと身を置ける為にも、やらなきゃな。俺たちは戦いに来たんだ。そんでその戦いが馬鹿馬鹿しくなるほどの、みんなで大笑いしちゃうような、壮大なモノを創るのだ。


今夜はとことん。オリオン座が見えなくなるまでやろう。男気だぜ。


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