見出し画像

人生は自由に遊べる箱庭ゲーム【取扱説明書同梱】

本屋に行くと「夢や目標」「生きる意味」をテーマにした本を最近よく見かけます。私もこういった本を読んで、燃えては灰になった経験が何度もあります。

でも最近思うのが、そもそも何で夢や目標を持つことが当たり前のように語られていて、全員が生きる意味を同列に求めなくちゃいけない風潮があるのかということ。

生きるために本来やるべき目の前の労働が機械や他の人間に置き換えられ、暇と退屈を持て余すようになった我々が、今この瞬間から未来や過去、そして内なる自分に目が行くようになり、生きる意味を模索する時代になった。もちろん、そういった背景や構造はあるでしょう。

そして、そういった人の欲求や需要に対して生まれたのが「夢ビジネス」の正体であると私は思っています。そして最近では、需要と供給の関係が逆転して、むしろ供給が需要を加速させる流れが起こっています。こういった流れは無論、資本主義あるあるで、この社会の摂理なんだろうなと頭では私も分かっているつもりです。

しかし、人間そう単純に割り切れる便利なものではなく、理性で分かっていても感情が受けつけないことがあるのも事実です。それぞれ主義、思考、境遇が違う人間の欲求や生き方を平準化して、さも夢や生きる目的を全員が持つべきかのように「夢を叶えよう」「人生の意味を見つけよう」と語られ続けるのは、やはり生理的な気持ち悪さを私は感じてしまう訳です。

もちろん、私は夢や生きる目的を持っている人を否定する意図は1ミリもありませんし、本稿でお話したい内容ではありません。むしろそういったものを持っていることは、充実した人生を送るために大いに役立つことがあるとさえ私は思っています。

ですが、ここで見過ごせないのが、そういった目標を持っていることで、生きづらさを感じてしまう人も一定数いるということ。私もその中のひとりなのですが、決してマイノリティではないのかなと自分の肌感覚では思っています。

今回はそういったモヤッとした感情を抱え続ける中で、私なりに考えて辿り着いた「俯瞰的な人生の捉え方」があるので、私と同じように目標ありきの人生に生きづらさを感じている人には読んで欲しい内容になっています。

結論を先に言うと、「人生は箱庭ゲーム」のように捉えると気持ちが楽になるかもと思いました。箱庭ゲームというのは、ゲームの世界に用意された広大な世界や街を舞台に、プレイヤー自身が自由に探索、行動、攻略できるゲーム全般のことを言います。

厳密には『シムシティ』のような街を作るゲームも箱庭ゲームと呼ぶそうですが、ここでは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『グランドセフトオート』のようなオープンワールドのゲームをイメージしていただけると良いかと思います。

もちろん、厳密な区分をすることが目的ではないので、分かりやすいところでいうと『どうぶつの森』を想像してみてください。そういったゲームでは、”メーカー”が用意した一応の攻略ルートらしきものはあるのですが、基本的には”プレイヤー”自身が目標を立ててクエストをこなしていくも良し、行く当てもなく街をさまようのも楽しみ方の一つとされています。

私は、人生自体がそんな箱庭ゲームのような姿をしているのではないかと思います。本来この世界では全員共通のゴールというものは存在せず、各人がクリア条件を設定して生きていける自由度があります。もちろんクリア条件を設定せず、世界や街を縦横無尽に駆け回ったり、ずっと景色を眺めたりして遊ぶのも、このゲームの醍醐味のひとつです。

ちなみに”メーカー”が用意した資本主義というルールで回る世界観は一応あるようで、”大勢が熱狂しやすいゴール”もデフォルト設定であるため、王道の攻略をすることも楽しみ方のひとつです。ルールメーカーが作ったルールを理解して上手く乗りこなせる人は、報酬も人より多く貰えて、より多くのアイテムや体験を手にすることができるでしょう。もちろん、攻略ルートも人の数だけあります。

しかし、自分ではないメーカーが作った攻略ルートでは満足できない、楽しめないという人も多くいるのではないでしょうか。そういった時に、全員に与えられた”地球”というマップの中で、”プレイヤー”自身でミッションを課したり、遊び方を見つけるというのが、このゲームのオススメの楽しみ方となっています。

ある人は、人生をRPGのように捉えるかもしれません。仲間たちとパーティーを結成して、武器やスキルを磨いて経験値を積みながら、やがて大きな壁(ボス)を一緒に乗り越えていく協力プレイの人生も楽しいです。道中のクエストも楽しめる人が、もしかしたら楽しみ上手な人かもしれませんね。

またある人は、スローライフを楽しむどうぶつの森のようなゲームだと捉えるかも知れません。大きな家を立てたり、好きな家具を揃えたり、釣りをしたり、フルーツを食べたり、名画を集めたり。ただ住人と話したり、友達の街と行き来したりするだけでも、とても楽しい暮らしだと思います。

この人生という箱庭ゲームでは”プレイヤー”自身が主人公で、自由に目標を立てて攻略するもよし、行ったことのない場所を探検するもよし、目標を特に立てずに南の島でスローライフするのもOKなのです。

もちろんメーカーが作ったルールから逸脱し過ぎるとゲームオーバーになってしまうので、説明書(法律・原則)はあらかじめ読んでおくことをオススメします。また、最初から持ってるスキルやスタートする場所はプレイヤーによって異なりますが、”プレイヤー”自身に人生の楽しみ方の大部分は委ねられているのがこのゲームの特徴です。そこに明確なルールというものは存在せず、いかに自分の心の声に従って遊び楽しめるかが、このゲームを攻略する鍵になっています。

自分の好きなことや得意を活かせるフィールドだと、より生活を楽しめるようになるかもしれません。職業は勇者や魔法使いだけでなく、新しい職業が登場したり、自らオリジナルの職を作ることもできます。もちろん職業に就かない自由もあります(国民三大義務はゴニョゴニョ)。

この大きな箱庭の世界では、それぞれ生きる意味は用意されていないので、目標や設定があった方が楽しめると思う人は自ら設定すれば良いですし、そういったものがあるとむしろ生きづらいさを感じる人は、何も考えずにただ好きなことを続けるという道も素晴らしいと思います。

ただひとつ、正解が無いのがこの箱庭ゲームの特徴なので、それぞれのゲームの楽しみ方を見つけて各々やり込んでいって貰えれば良いかと思います。

ちなみにメーカーから聞いた話によると、この地球マップは現在アップデート中で、近々メタバース空間という新フィールドや、一部の人だけしか行けなかったβ版の宇宙空間も追加予定となっているそうです。

そうなると今よりもっと遊べるフィールドが増えて、世界の自由度とそれぞれの人生の選択肢が無限に増えていくかもしれませんね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?