未確認飛行物体 (1分ショートショート)
「直径10メートルほどのUFOが、前方から航路を邪魔してきます」
管制官に精神異常と判断され、定年まで地上勤務になることは必至だ。しかし、搭乗客のことを考えると、機長は黙っていられなかった。
「こちら管制官。戦闘機と見間違えたのでは?」
無線の向こうで、ザワついている。
「円盤型で高速回転をしています。こんなにキラキラした戦闘機、私は見たことがありません」
直後、未確認飛行物体は強い光を放ち、コックピットは真っ白になった。
【翌日】
押収されたブラックボックスが解析され、エアフォースワンは、UFOに攻撃を受けたと正式に発表された。
生存者は、ただ一人、ハイデン大統領。
【一週間後】
大統領は、脅威の回復力で壇上にあがった。
「機長、副機長、客室乗務員の方々、秘書官、SPの皆さん、そして妻よ、天国から力を貸してください!皆さん、私は生きています」
怒涛のような歓声。号泣する支持者。再戦はないと言われてきた大統領だが、圧勝に違いない。
「今こそ、宇宙開発事業に注力し、UFOおよび宇宙人に、一丸となって対抗しましょう。
皆さんに、納税の負担はありません。各国の基地と軍隊を撤退させます」
鳴り止まないUSAコール。
同じ頃、荒川の土手で、青空を見つめる一人の男子中学生がいた。
「デコったドローンなんだけどな」
そして、コントローラーを手にした。
「次は、ピョンヤン上空」
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