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漫画みたいな毎日。「感じやすい心を抱きしめたい。」

気がつけば、我が家の本棚には、所狭しと絵本が並んでいる。私が選んだ絵本、夫が好きな絵本、子どもたちが自分で選んだ絵本。

その中でも、福音館書店の〈こどものとも〉のシリーズは、今までにも、我が家の絵本の時間を満たしてくれた。

先日の幼稚園のお祭りの時に、読まれなくなった絵本たちがたくさん、リサイクルコーナーで売られていた。末娘も絵本が大好きなので、表紙を見ながら次々と絵本を抱える。

その中の一冊がこちらの絵本。

「ノホディとかいぶつ イランの昔話」

パラパラと中を見たら、かいぶつの絵を怖がるのでは?と思ったものの、末娘は読んでみたいというので、買って帰ることにした。

数日前の夜のこと。

眠る前に読んでほしいと末娘がこの絵本を抱えてやってきた。へぇ、などと思いながら、軽い気持ちで読み始めたが、内容がだんだん重たい方向へ!

子どもの居ない夫婦のもとに、ひよこ豆から生まれてきた、小さく賢い女の子ノホディまが、森のかいぶつに捕まった村の女の子たちを助けていくお話である。かいぶつを退治する際にノホディは、自分が捕まって入れられた袋にかいぶつが可愛がっていたヤギを入れる。かいぶつはそうとは知らず、その袋を棒でめった打ちにしてしまう。ヤギがメェメェと泣いても、「ヤギの真似をしおって!」とかいぶつは、更に打ち続け、ヤギは死んでしまう。

ぎゃあ!可愛がってたヤギとか止めて!


隣で静かに絵本を覗き込んでいた二男の様子がおかしい。顔からいつもの明るい笑顔が消え、暗雲立ち込めた様子になっている。

これは!!!ハイジのときと同じだ!!!!

二男は、小さい時に、アルプスの少女ハイジを観ていて、ハイジがフランクフルトでロッテンマイヤーさんにキツく当たられている場面でしゃくりあげて泣き出した。「ハイジが可哀想で観ていられない・・・」と。おそらく3歳くらいだったと思う。

彼は、とても、感じやすい。

常に周囲の人の気持ちの動きを感じ取る傾向があると、日々、彼と過ごしていて感じている。

特に、人の辛さや、悲しみに敏感な部分があるように思われる。

ある時、不機嫌な二男からひどい態度をとられた夫が、わざと「お父さんは居ないほうがいいみたいだな・・・」とつぶやいて傍を離れたら、うつむいて声を殺し、ポロポロと涙を流し始めたことがあった。

誰かが、自分の言動で悲しむことを特に辛く感じるようだ。

絵本を最後まで読み終えると、二男は自分の布団に入り、シクシクと泣き始めた。「ヤギが・・・ヤギが・・・」と嗚咽を漏らしている。

「抱っこしよう、おいで。」というと、抱っこされながら、「わーん!」と、大声で泣き始めた。そして、そのようすを見ていた末娘も急に「わーん!」と泣き出した。

末娘は、二男が泣いてしまったことに、泣いてしまったのだろう。

大声で泣く子どもたち二人を膝に抱えながら、悲しんでいる子どもたちの顔を眺めながら、子どもたちにしたら、この状況は大変なのだけれど、両膝に座る二人が、あまりにも絵に描いたように〈わんわん〉と泣くので、ちょっとコミカルにも思えて、笑ってしまった。

そして思う。

この感受性の豊かさを大事にしていけたらいいなと。

もしかしたら、こんなにも共感性が強いと社会を生きにくいこともあるかもしれない。

でも、この感じる心は、彼らの生まれ持った大事な感性であると思っている。きっと彼らが彼らで在るための感覚なのだと。

彼らが泣きたくなったら、いくらでも抱きしめてあげよう。

ちょっと生きづらいと思うことが、これから先にあったとしても、きっと、彼らを愛する誰かが、ふんわりと抱きしめ、背中をさすってくれると思う。

だから、安心して、〈感じやすい心〉を抱きしめながら育って欲しいと思うのだ。




ヘッダーは「みんなのギャラリー」より〈みずたま〉さんの素敵な絵をお借りしました♪ありがとうございます!

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