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学校に行かないという選択。「生きていく力とはなんぞや。」

幼稚園の日帰りキャンプ後とは思えない元気な長男。
暑い中、自転車ソロキャンプの下見に、またまた自転車で出掛けるという。
先日は、「行けるところまでいく」と言い残し、往復で72.6キロを自転車を走らせてきた。

今日は、車のタイヤを変えてもらう車屋さんが、同じ方面であり、長男の目的は、「キャンプの下見」。今日は何処までも行こうと思っているのはないようなので、「帰りは自転車ごと拾えるよ。下見が終わったら公衆電話から電話してね。」と伝えていた。その時間や場所で、待ち合わせの場所を決めようと思っていた。


午後3時。私の電話に着信アリ。

しかし、着信が公衆電話ではない・・・見知らぬ番号だ。しかも固定電話からだ。一度、電話を取りそこねてしまい、再び同じ番号から着信があったので取ると、「お母さ~ん。」と長男の声。「何処から電話してるの?公衆電話?」と尋ねると、「あ、コンビニで電話貸してもらった!今、〇〇にいるから!」「え?コンビニで?公衆電話なかったの?!」と事態を把握出来ないままではあったが、コンビニの所在地を確認する。

コンビニの店舗の住所をお店の方から教えていただいた長男がたどたどしく住所を読み上げていた。電話が途中で切れた。

住所が途中まででも、スマホで検索すれば、店舗の検討がついたので、夫に伝えてコンビニに向かってもらう。

私たちが居た場所から10キロほど離れたそのコンビニの駐車場に長男の自転車を見つけた。我が家の車を見つけると、「ありがと~!」と駆け寄ってくる。思春期といえど、まだまだ幼さも感じる時が多々ある。

「お店の人にお礼を言ってくるよ。」と私が車を降りると、「もうちゃんとお礼言ったよ。お腹空いたから、白身魚のフライも買って食べた。」と長男。「お母さんもお礼を伝えて、何か買い物してくるよ。」と私はコンビニに入った。

長男の話によると、コンビニの経営者の方が電話を貸してくださったらしくい。店内に初老の男性がコーヒーメーカーの調整をしていたので、きっとこの方だろうと声を掛けた。

「お電話貸していただき、ありがとうございました。とても助かりました。無事に迎えにきましたので。」と頭を下げると、経営者の方は、「いえいえ、良かったです。」と言葉少なに、続けていたコーヒーメーカーの整備に視線を戻した。

夫と「お世話になったコンビニで何か買い物していこう。」と話していたので、店内をぐるっと見回し、何を買うか選ぶことにした。「魚のフライ食べたけど、まだお腹空いてる・・・。」という長男と、移動中の車窓から、お肉の看板を観ては、「美味しそう!」「食べたい!」と繰り返す肉食系女子である末娘にと、塩ザンギ(唐揚げ)を2パックと二男の好きなポップコーンを買うことにした。

コンビニで電話を借りるとは・・・と車で唐揚げを頬張る長男の横顔を眺める。「公衆電話、なかったの?」と尋ねると、「見つからなくてさ、コンビニで聞いたら、おじさんが奥から電話の子機を持ってきてくれた。おじさん、親切だったよ。」という。

いや、ホントに親切な方で良かった・・・。ありがとうございます。

自分だったら、公衆電話をどこまでも探して自転車を走らせていたかもしれない。「他の人に迷惑をかけてはいけない」と教えられてきたし、今でも、ある部分ではそう思っているかもしれない。

しかし、長男には、そういった概念はなく、躊躇することなく、他者を頼るし、困った事があったら自分で助けを求めることができる。他者の力を借りることができるというのは、ある意味で生きる力だと思う。

電話ひとつ借りただけ、なのだが、見知らぬ土地で、見知らぬ人ともやり取りができるということは、これからも彼を助くるだろう。

言い尽くされていることであるけれど、
やはり、人間は、ひとりでは生きてはいけないのだと思う。

多少なりとも、誰かに迷惑をかけたり、かけられたりしながら、「お互い様」と笑って生きて行けたらいいなと思う。


唐揚げで、小腹を満たしたあと、長男が、迷って目的のキャンプ場が見つからなかったというので、再度調べ直して、車で目的地を目指した・・・が、行けど行けど、目的地は見つからない。

長男の目的のキャンプ場は、2022年7月にオープンしたばかりらしく、週末だけ開いているらしい。平日の今日は、もちろん休みというわけだ。しかし、見つからない理由はそれだけではなさそうだった。どうにもわかりにくい場所にあるようだ。どうしても見つけることができないまま、夫が夕方から往診の治療があり、タイムリミット。

帰り道、平らな地面が続く農道で車を走らせながら、綺麗に草を刈られた畑に、たくさんの牧草ロールが転がっているのを見つけた。牧草ロールは名前の通り牧草を丸めたものだ。牛や馬の冬の間の飼料だ。

「牧草ロールとか、藁の山を見ると、アルプスの少女ハイジのふかふかの藁のベットを思い出すよねぇ。」と私が言うと、「でも、藁ってチクチクするよね。前に幼稚園のヤギのために牧草ロールが届いたとき、ベットにしたり、藁の山に飛び込んでみたけど、チクチクしたよ~!」と長男と二男。アルプスに居ないのに、藁のベットの感触を経験済みだった。こんなにも近くにアルプスは存在していた。

夫が「夏だね。麦秋っていうでしょ。麦の収穫は夏だからね。」と呟いた。

北海道の短い夏がやってくる。


※ヘッダー画像は「BE MY BIEI」からお借りしました。ありがとうございます。


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