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「なめらかな社会とその教育」学校から学交へ、22世紀の教育を実現するために

こんにちは、トキワです(Twitter:etokiwa999)。

社会マップと大学数学の勉強をやめた

2021年6月から教育業界、特に学校のヒアリングをしてきて1年9か月。色々限界を感じて(参考1参考2学校向けに集中することはやめました(2次的にはあり得ますが)。

加えて、昨今の大規模言語モデル(LLM)の発展によって、社会マップ(マクロ社会学)の研究をやめ、そして大学数学の勉強をやめました。社会マップとは、社会のシミュレーションを数理的に行うことで、東大松尾さんの場合は「世界モデル」と言っています。

理由は、大規模言語モデルそれ自体が社会・世界のシミュレーションだかららですし、そこに数学ではなく言葉でアクセスできるようになったからです。数学はもう天才的な人や、趣味でやりたい人のものになったと思っています。

社会シミュレーションをなぜやりたかったと言えば、そのシミュレーションの中で、色んな政策やサービスのシミュレーションを行うことで、私のミッションである「全員基本的幸福」が実現できる社会システムの理論を作れるからでした。

これは私の原体験である、虐待・貧困・いじめ・うつ・不登校・中退がとても嫌だったから、というところから来ています。

社会シミュレーションの計算機ができるのは時間の問題です。なので私は、バーチャル社会上で実験するための具体的な政策やサービスを今から考えることにしました

そしてその政策やサービスを大きな仮説が「なめらかな社会とその敵」という本の中で書かれている内容です。

「なめらかな社会」とは何か

本の紹介はとても大変なので、一部のコンセプトを抜粋します。

(1)誰かを助けたら、助けた人の利益の一部が得られる

例えば子どものイチローが週1回ラーメン屋に行っていたとしたら、大人になったイチローの報酬の一部をラーメン屋に還元するというものです。

(2)興味のある政策が複数あった場合、政策ごとに複数の政党に投票できる

例えば子育ての専門家に0.5票、経済の専門家に0.3票、軍事の専門家に0.1票、表現の得意なYoutuberに0.1票、という形で、「一人一票」を分けることができます。

左がイチロー、右が投票のイメージ(拙著「悪者図鑑」より)

(3)根底にある思想は「複雑なものを複雑なままにする」

人間は、多重人格とまで行かなくても、自分の中に複数のキャラをもっていて、コミュニティごとに使い分けています。それを「分人主義(dividualism)」と言います。

近代社会システムは、国家の最小単位である「個人主義(individualism)」を基に民主主義を作りました。理性的に一貫した行動をとり、何か利益があれば個人にだけ還元され、何か損失があれば個人だけを罰します。

本書ではそのことを「細胞」に例えて(というがそれが本質)います。城や国家は細胞壁であり、内と外をわけているわけです。政治学者のカールシュミットは「政治とは敵と味方にわけること」と言いました。

しかし物事はそんな単純ではないことが21世紀になって分かりました。その改善案として「なめらかな社会」なのです。興味があれば本書をぜひお読みください。

「なめらかな社会とその教育」はどんな教育が行われるのか

これは「なめらかな社会とその敵」の中では書かれていないので、私の提案として書きます。ここまで教育系のnoteを色々書きましたが、そのまとめでもあり、私の次の研究テーマでもあります。

1番大事なのは子どもの複雑さ

別に大人もそうですが、子どもだって多様です。色んな性格だけでなく、知能や遺伝、環境の人がいます。最近私自身、遺伝子検査と知能検査をやって自分の個性に本当に驚きました。

ということで性格・知能・体格・遺伝・環境等ごとの個別最適な学びを研究したいです。

教育における心理学だと発達心理学が有名ですが、最近遺伝に関してだと進化教育学というが少し出てきてるようです。慶応義塾大学が双子研究に熱心に取り組まれているようです。

税金・寄付・AIを総動員して最適な学習環境を整える

理想から言えば、子どもの興味や得意に応じて、学ぶ場所や時間を自由に選ぶことができます。義務教育が9年間なら、9年間ひたすら自由に選択できます。

例えば、小学校1年生ではイタリア料理を学びたい。じゃあイタリアで1年間留学しよう。2年生では酪農を学びたい。じゃあ北海道に住もう。ミネルバ大学なんてスケールが小さく感じます。

他にも案があります。

・年齢や性別ではなく、趣味や興味でマッチングさせる
・他のコミュニティにいつでも行ったり来たりできる
・お互いに分からないことがあれば必ず教え合う
先生は趣味や興味の先にある業界の方で、コーチング、メンタリング、ディレクション、ファシリテーション、コーディネート、コンシェルジュ
を重視。
・最初の学びは常に実践から(調査も実践)。それで分からないなら調べる。
・学校以外の時間は基本的に寮生活(貧困・虐待の対策と自立支援)
・大事なのは、常に社会を意識、文理融合、課題解決

私はこれをネットワークスクール、もしくは学交と呼びます。何も校舎=学校だけが学びではなく、学べる場所が学校=学交になるのです。(これに近い構想を今準備中です)

ネットワークスクールのイメージ

よくこういう「好きなことばかりやってたら基礎学力がなくなる」と言いますが、基礎学力でAIにはもう勝てませんし、何か弱点があるからこそ人と助け合う必要が生まれるのです。

現状の学校では良いところミネルバ大学か、通信制サポート校(参考)ぐらいしかできません。それでもかなり学びの場は狭いと思っています。だから今一番いいのは不登校になって自分で学びの場にいくことですが、これは完全に保護者の理解度次第です。

現状、Youtubeが不登校にとって良い教材です。より良い教材を作れないか、最近の大規模言語モデル(LLM)を利用した生成AIのサービスの開発をしているところです。

「なめらかな社会」を実現し、その社会を生き抜いていける力を身に着ける

教育は常に「社会の準備」の側面が大きいです。

製造業が主な仕事なら、学校では時間を守ったり整列したりする能力が求められます。

なめらかな社会で求められるのは「複雑なものを複雑なままに」ということですが、自分の行動によってどんな波及効果が波のように他者に対して生まれるのか、意識する必要があります。

もちろんイチローの話や投票の話はシステムによる支援も行われます。自分のマイページや、社会全体のダッシュボードのようなものがあり、そこで自分から・自分に生まれる波及効果を可視化することができます

ただその波及効果に対して「自分はそんなことをするつもりじゃなかった」「こうなるなんてラッキー」と思うのではなく、その可能性を感じながら行動することが重要です。

逆に言えばどんな行動がどんな波及効果が生まれやすいのかが分かりやすくなり、より最適化されやすくなっていきます。悪いことは少なくなり、良いことは多様化・最大化されるでしょう。

自分はどんなコミュニティのメンバーになり、今教えてもらえる人に将来自動的に還元されたり、今コミュニティの誰に投票しようと思うのか、そんな思索能力が必要になります。

今できることをやっていく

また私自身も2023年4月より、宇都宮にある私立星の杜中学校高等学校で週1コマ授業をやる予定です。

もちろん私の授業を出るか出ないかも自由ですが、できる限り自分の好きなことを探究でき、かつそれをどう社会で活かしていくか、というデジタルデザインとラブリーラーニングを教えていきます。

英語も、プログラミングも、データサイエンスも、起業も、教えません。むしろ5教科に改めて立ち戻ります。ChatGPTも大いに活用しながら、実践コンテンツを磨いていきます

科学的に分かっていることはすぐに反映させる

教育上やったほうが良いことは、すでにいくつか分かっています。

子育ての大誤解」では親の教育にはあまり意味がなく、子どもの遺伝と、コミュニティの中での社会的なキャラのほうが重要です。

子どもの脳を傷つける親たち」では虐待・マルトリートメントによって実際に脳が変形し、認知のゆがみや、愛着障害など問題が生まれます。

子どもを褒めるときは結果より過程。(コロンビア大学スタンフォード大学ハーバード大学)。

「ブラック校則をなくそう」プロジェクト大津市の調査によれば、いじめ原因はある程度分かっており、加害者だけの問題ではありません。

経済学者によれば進学校には影響がなく(以下)、むしろ進学校が合わない場合、「深海魚」状態になり自己肯定感が下がる(参考)。

これらの分かってることは伝統や文化、常識とは切り離してすぐに現場に反映させるべきです。

改めて目的と手段をまとめると

引き続き私のミッションは変わりません。「全員が基本的に幸福になる」という基本的人権の次の概念です。

ビジョンは「スケーラブルソーシャルビジネス」です。ミッションを実現するためにどんな手段をとるのか、ということです。GAFAM級のソーシャルビジネスをまだ目指しています。

そのために生成AIを利用した学習教材を開発します。現在色々プロトタイプを開発しながら実験中です。

研究としては、性格・知能・遺伝ごとの教育方法・学習方法の最適化、について行っていきます。英語の準備をして、海外のオンライン大学院に進みたいと思います。

その内提供されるであろう社会シミュレーションシステム上で、「なめらかな社会」を実現し、その中での教育政策「ネットワークスクール」について自然言語によるデータ分析を行い実験します。

実践の場として学校の先生を週1コマ行います。そこでデジタルデザインとラブリーラーニングの形を作っていきます。

以下まとめた生きがいマップです。さらに詳細に私のことにご興味がある方はこちらをご覧ください。


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