見出し画像

フロム|日記|2022/12/2

12/2(金)

午前6時半に起き、サッカー日本代表がスペインに勝利したという喜ばしいニュースと共にプレゼン資料作りに励む。なんとか昼飯前ぐらいにあらかた完成させ教授に提出することができたので、残りの時間は企業との共同研究成果をWordにまとめつつ、久しぶりに本を読むことにした。

机の上には河出書房新社の新雑誌スピンや小津夜景『いつかたこぶねになる日』、三島由紀夫『潮騒』など読みかけの書物が散らばっていたのだけれど、二ヶ月前に読み終わったばかりのエーリッヒ・フロム『愛するということ』を本棚から取り出し、第一章「愛は技術か」と第四章「愛の習練」を読み返した。

ちょうど前回読んだ時期ぐらいからマルジナリアを実践し始めていたので、至るところに書き込みがされていた。フロムの主張を読み解きながら過去の自分と対話しているような心地で読み進めた。たった二ヶ月前だというのにところどころ今の自分とは異なる考え方をしたメモが見つかって面白い。また伊藤計劃『虐殺器官』のあるセリフや岡本太郎を感じさせる箇所を新しく発見したり、前回線を引いていない箇所が無性に心に響いたりした。

この本の帯に詩人の谷川俊太郎が「再読してフロムの言葉が大変具体的に胸に響いてくるのに驚いた。読む者の人生経験が深まるにつれて、この本は真価を発揮すると思う。」と書いていたが、短期間でもそのことを強く実感した。個人的にこの本は平野啓一郎『私とは何か』以来の人生の節目に何度でも読み返しくなる自己啓発本だ。

伊藤計劃『虐殺器官』のあるセリフ↓

「地獄はここにあります。頭のなか、脳みそのなかに。大脳皮質の襞のパターンに。目の前の風景は地獄なんかじゃない。目を閉じればそれだけで消えるし、ぼくらは普通の生活に戻る。だけど、地獄からは逃れられない。だって、それはこの頭のなかにあるんですから」


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?