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3月に読了した本の紹介〜前編〜

こんにちは、砂肝です。

新年度がとうとう始まりましたね。新しい門出のためにも少し立ち返って、3月に読了した本について一言で紹介し、その本を読むに至った経緯を語りたいと思います。本との一期一会を楽しんでもらえるような記事にしました。前編後編と2回に分けて紹介していきます。

1. 岡潔『数学する人生』

1冊目は、岡潔『数学する人生』。『情緒』についての著者の思想を思う存分堪能することができる一冊。個人主義や唯物主義に囚われがちな現代の人達に送りたいです。

読むに至った経緯

本書との出会いは、本書の著者である岡潔と「批評の神様」である小林秀雄との対談集『人間の建設』という本を以前に読んだことがきっかけでした。数学者でありながらも詩人のこころを有している岡潔という人物に惹かれている最中、たまたま寄った古本屋で本書を見つけ、内容もよくわかっていないのに、ただ岡潔の本ということだけで購入しました。数学にも『情緒』が必要だという著者の考えは、新鮮で驚かされました。

2. 茨木のり子『詩のこころを読む』

2冊目は、茨木のり子『詩のこころを読む』。詩人である茨木のり子さんが、生涯で印象に残っている詩の数々を自身の思いと共に紹介してくれる本です。

読むに至った経緯

今まで生きてきた人生の中で、詩というものに興味を持って触れたことがなかったのですが、一月の終わり頃から精神的にしんどい時期で、そういう心境にそこはかとなく悲しみを感じさせる中原中也の詩が優しく寄り添ってくれました。その経験をきっかけに詩のもつ魅力に興味が出てきて、詩の楽しみ方というものを知りたくなり、調べているうちに本書に辿り着きました。この本を読めば、どんな人でも必ず一つは心動かされる詩に出逢えると思います。

3. 村田沙耶香『コンビニ人間』

3冊目は、村田沙耶香『コンビニ人間』。コンビニで働くことでしか社会と繋がれない普通とはかけ離れたアラフォーの女性が、自分だけの生き方を見つける話です。この本を読んだ後、「普通」や「常識」というものが不気味で気持ち悪く感じられるかもしれません。

読むに至った経緯

私の愛読書の一つでもある本書。今回でおそらく読むのは4回目になります。コロナ自粛期間が始まった頃に、端から貪るように読んでいた村田沙耶香さんの作品たち。彼女の作品には、ユートピアの皮を被ったディストピア的な作風のものが多いです。ちょうど貸していたこの本が返ってきたので、何気なく読み返してしまいました。平易な文章で書かれているのに、いつ読んでも色褪せることのない衝撃的な作品です。

4. 小林秀雄『読書について』

4冊目は、小林秀雄『読書について』。濫読や全集のすすめ、小説の読み方といった読書技法、良い文章とは何か、そして美しいものを見ることなど、実用的アドバイスに溢れるエッセイ集です。

読むに至った経緯

京都の四条あたりでTOEICの試験があった日の帰り、祇園四条に店を構える天狼院書店という本屋に立ち寄りました。

そこは、古民家を改築していて、書店としてだけでなくカフェも併設して営業しています。本棚に並べられた本は、ここの書店員ならではのこだわりを感じられる配置で、小さい書店スペースながら何時間でも楽しめるような空間を演出していました。そこで私がたまたま見つけ、手に取った本が本書です。軽く目を通すつもりが、小林秀雄の読ませる文章に惹きこまれてしまい、気づけば1時間程堂々と立ち読みしていました。普段新品で本を買わないのですが、この本との運命的な出会いを逃すことができず、買わざるをえませんでした。元々小林秀雄には取っ付きにくい印象を持っていたのですが、この本のおかげで親しみやすくなり、もっと彼の作品を読んでみたくなりました。

5. カミュ『異邦人』

5冊目は、カミュ『異邦人』。母親の死を泣かないものは死刑になるというお話です(ざっくりしすぎ)。

読むに至った経緯

この本を買うに至った経緯は、京都に住む友達に借りていたギターを返すために電車で向かう際に、読む本を持ってくるのを忘れてしまったことがきっかけです。読む本が手元にないことがどうにも我慢できなくて、梅田の紀伊国屋に立ち寄り、悩み悩んだ末にその日の気分に任せて購入しました。時間をかけすぎて結局待ち合わせには遅れましたが、本書は人生の一冊になったような気がします。本書の主人公ムルソーに自分を投影しすぎてしまい、読了してすぐ2回目を読み始めるほどに没頭しました。

最後に

3月に読了した本との馴れ初めを簡単に説明しました。本を読むことは当然楽しいものですけど、次に読む本を選ぶ時間も同じくらい楽しくて、心踊りますよね。偶然立ち寄った本屋で買うつもりもなかった本と運命的な出会いをする経験はさらに格別で、そのために書店に赴いているといっても過言ではありません。何度でもそのような出来事が訪れてほしいものです。

後編もありますので、良ければ読んでみてください。

砂肝でした。

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