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文学は実学である|日記|2022/12/16

12/16(金)

今日は研究を早めに切り上げ、丸善京都本店に寄った。久方ぶりの書店。ワクワクが止まらない。

いつも通りまずは雑誌コーナーをチェック。様々な分野の著名人たちが各々の好きな本を紹介している読書系雑誌があると、とにかく買っておきたい衝動に駆られる自分にとって、ここは危険地帯だ。今日も新しいものが出ていたが、「立ち読みをしない」という奥義を使い堪えた。

次に新刊本コーナー。多和田葉子の長編三部作が完結していた。3作目『太陽諸島』。もうタイトルが強い。自分は『地球にちりばめられて』しか読めていないけど、これは近々読み返さなくては。ただ2作目がそろそろ文庫本で出そうなことだし、とりあえずはそれまで待とうかな。

そして最後に気になっている本を探しに行った。今特に注目している本は荒川洋治『文学は実学である』だ。これが近頃気になっていて仕方がない。現代詩作家の荒川洋治という方が書かれているのだが、恥ずかしながら全く存じ上げていない。けれど数頁目を通しただけで、この300ページほどの単行本の中に豊穣な知識が詰め込まれていることが予感された。そして何より文体が好みだった。自分が日記やエッセイを書く上で取り入れたいようなリズムがあって、文章を上達させるという目的でもこの本を読みたいと思った。けれどこの本、学生にとってかなり値が張っている。税込で3960円。彼女からは常日頃無駄遣いを辞めるよう釘を刺されており、中々購入まで踏み切れなかったが、帰りの電車の時刻まで30分ほど残されていたので、全ての時間を使って悩むことにした。

しかし立ち読みをすればするほど、この本が輝いて見えて困った。そして長い時間をかけてゆっくりと何度も楽しめる重厚な本であること、読書案内としても非常に優れていることがわかった。これがあれば当分読みたい本を探すのにも困らなさそうだった。

結果、僕はこの本を買うことにした。かなり熟考したため、勢いで買ってしまった時に覚える少しの罪悪感もなく、とても満ち足りた思いで書店を後にした。そしてカバーが施されたこの本を大事にかかえて河原町通りの人混みをかき分けて駅に向かった。

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