見出し画像

知らないおじさんと海を散歩

仕事終わりに、ウォーターフロントを1人で歩いていました。

すると突然、後ろから自転車に乗った初老の男性に、「Are you Japanese?」と話しかけられました。
びっくりしながら「Yes!」と答えました。

「日本に7回旅行した事があるんだ。今はマウントヴィクトリアの近くに住んでるよ。もし良かったら、このまま海沿いを散歩しない?」
「ぜひぜひ!」
彼は自転車から降り、一緒に歩き始めました。

「ウォーターフロントはエイやイルカ、ペンギンも見れるんだよ」
「ペンギンはまだ見たことないです!見たいなあ」
「気温が高い日、海をじっと見続けるんだ。keep your eyes open. ただ、それだけさ。」

少し立ち止まり、海を見ると、ちょうど大きなエイが優雅に泳いでいました。

「ほらね、すごく簡単さ。でも大抵の人はスマホばかり見ていて、海すら見ていないのさ」

また、ゆっくり歩き始めました。

「あなたはキウイ(ニュージーランド人)ですか?」
「僕はオランダ人だよ。ニュージーランドには、30年住んでる。世界各国、色んなところを旅行したよ。キューバが特におすすめさ!」

「どうして私が日本人だと分かったんですか?私はよく中国人に間違われるんですよ」

オークランドにいた時に、街中で中国語で話しかけられたことが3回ありました。
最初のクラスメートからも、「初めて見た時、中国人かと思った!」と言われたことがあります。

「僕は日本、中国、韓国、全部旅行したからね、違いが分かるのさ。あなたが中国人?とんでもない!どっからどう見ても日本人だよ」

そう言ってもらえて、なんか嬉しかったです。日本に馴染めず、日本があまり好きでなかったはずなのに。

「日本人は、海外から来た人は全員「外国人」っていう括りでしょ。だから、僕がオランダ人だって分からなくて当然さ」

はっとさせられました。

そして、「Wellington」文字のモニュメントの前に来ました。「i」が抜けていて、そこに立ってポーズをとれる、人気フォトスポットです。

「ここの写真はもう撮った?」
「いや、撮ってないです」
「皆ここで撮るよ?よし、スマホを貸して!撮ってあげるから」

家族連れが写真を撮っていたので、近くにある海に向かって立つ銅像とも撮ってもらいました。

私の番になり、ウェリントン文字でも撮ってもらいました。

「僕は昔、フォトグラファーだった。昔のガールフレンドの写真を撮って、モデルのオーディションに送ったんだ。彼女はコンテストで優勝して、仕事がたくさんある東京へ行ったのさ」

彼は誇らしそうにそう言いました。

「あそこを見て!」
「たくさん鳥がいますね」

海の中に、コンクリートの細い道があり、その上にずらーっと白い鳥が並んでいました。

「カモメじゃない鳥なんだけど、毎日夕方にあそこに集まってるんだ。これからもっとたくさん集まってくるよ。そして、お互いに話してるんだ。ずっとね」

他にも、ウェリントンのおすすめスポットなども教えてもらいました。

「SNSは何かやってますか?」
「僕はSNSは一切やってない、嫌いなんだ。でも、メールアドレスは持ってるよ。それでもよければ、もしまたウェリントンに来た時とか、連絡してくれて大丈夫だよ!」

メールアドレスを交換して、握手をしてお別れしました。

彼との会話の中に、いくつか大事なことを感じました。

とても素敵な、良い出会いでした。


もしよろしければサポートお願いします!!!いただいたサポートは、自分の夢や目標実現のために使用させていただきます!